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AI時代の教育改革 ―― 文系・理系を超える新しい学び  / 人材ミスマッチを乗り越える「学問統合」への提案

「AIが人間の知的労働を代替し始めたそうです。といっても、これはアメリカの話です」

女性

「具体的に、どのようなことが起きているのですか?」

「会計士だった人が辞めて、配管工になったという最近の実例があるそうです」

女性

「ホワイトカラーからブルーカラーへの転身ですか……。日本でも、そういう流れが現実に起きるでしょうか?」

「AIが普及して、一番影響を受けるのはホワイトカラーであることは確かです。ホワイトカラーからブルーカラーという流れは、少なからずあるとは思います」

女性

「そういった流れが将来あるかもしれないと思っていないとダメですね」

「そうですね。一生懸命勉強して資格を取った瞬間に、その仕事はありませんよと言われたらショックだよね」

女性

「職業選択の際には、AIのことまで考えなければいけない時代になったのですね」

「創造力は人間だけが持っている能力ですから、それを利用する職業ならば当面は大丈夫だと思います」

女性

「単に計算したり、書類を書いたりとか、といった仕事はAIに取って代わられるということですね。ここからが本論です ↓ 表紙は「ダイヤモンド・オンライン」提供です」

AI 時代に消える仕事、残る仕事

『日経』(12.4日付)に「会計士→配管工給与3倍」という見出しで、アメリカの転職事情が報じられていました。それによりますと、カリフォルニア州近郊で配管工として働くチョン・マイさん(47歳)は、会計士からの転職組だそうです。AIを駆使して会計業務を簡便に済ますことも考えたそうですが、将来性と、収入面を総合的に判断して転身を決意したそうです。

確かに、マイさんが見切りをつけた税理士、会計士といった専門職は、将来的に大きくその仕事内容が変わる可能性があります。日本でもマイナンバーカードが完全普及して、国民の資産や収入について国が完全掌握できるようになれば、税額の自動計算から徴収まですべて自動で行われるという日が来たとしても不思議ではありません。現在は、「マイナンバー保険証」とか言っていますが、本当の狙いはそこではないと思います。その次のシナリオまで財務省は考えていると思います。

過去50年間を振り返ると、バスの車掌、駅の切符切り、株式市場の場立ち、デパートのエレベーターガールなど、多くの職業が姿を消しました。早晩に、バスやタクシーも自動化となり、コンビニをはじめ、あらゆる店舗で無人化が進むでしょうし、役所の人員も削減されていくでしょう。AIの普及によって、ホワイトカラー職の雇用が半減するとの予測は、決して誇張ではありません。

(「You Tube」)

 日本の大学教育が抱える“文理ミスマッチ”

AI時代の急速な変化を踏まえて最も重要なのは、日本の大学教育をどう再設計するかという点です。先月の28日に文科省は、大学の文系学部を理系学部へ「転換」するための支援基金を200億円増額する方針を固めたというニュースが報じられました。別にわざわざ「転換」する必要はなく、既存の理系学部の定員を増やすなどすれば良いだけのことだと思います。

それはともかく、AIとの共生時代をにらんで、技術系の人員が不足することを踏まえた措置です。推計では、2040年に管理業務・事務職などホワイトカラーが320万人余剰となる一方、数理・デジタル分野の専門人材が330万人不足するとのことです。ところが、普通科に進学した高校生の文理選択の状況は、理系志望27%、文系47%で、このままでは大量のミスマッチが起きる可能性があります。そのため、2040年までに理系志望39%、文系志望30%にすることを目指すそうです。文系学生が多い大都市圏の私大を中心に、理系学部や文理横断型の学びへの転換を促したい考えのようですが、相も変わらず「対症療法」的な教育行政を進めようとしています。

そういった小手先の改革をするのではなく、日本独特の「文系・理系区分」そのものを問い直すことが今求められています。理系、文系という日本独特の区分は、1918(大正7)年の高等学校令で「高等学校高等科ヲ分チテ文科及理科トス」と定められて以降、前例踏襲ということで現在まで受け継がれてきたものです。自然を相手にするサイエンスと人間社会を対象とするテクノロジーを機械的に分けて、効率的な人材育成を図り始めたのが最初です。要するに、人材を促成栽培のような発想で捉えていたのです

(「ABEMA TIMES」)

 

 AI時代の学問は“統合”へ――文系総合学部という提案

アメリカでは、産業界や金融界でも「リベラルアーツ教育」の重要性を説く声が高まっていますAIは文理を問わず活用されるため、単一分野の専門性だけでは対応できない課題が増えているからです。2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文氏も「サイエンスがより豊かになるためにも文科系の学問も広く知っておくとよい」と述べています(「ノーベル賞対談詳報」『産経』2025.11.23日付)。特に、哲学の素養はサイエンスの創造に役に立つと思います。アインシュタインは相対性原理を構築する上で、古代ギリシアのデモクリトスの思想がヒントになったと言っていました。

近年、文系学部は日本の中で「厄介者」のように扱われる傾向がありますが、実際には文系こそがAI時代に再評価されるべき領域です。私は、法学・政治学・経済学・哲学・教育学・情報学などを統合した「文系総合学部」を設置する時代が来ていると考えています。

かつては知識量の多さが障壁となり実現不可能でしたが、AIを活用すれば必要な知識やデータは瞬時に得られます。条文や判例は覚える必要はありませんし、人名や年号も無理矢理記憶する時代ではなくなりつつあります。むしろ多様な学問を横断的に学び、そこから発展して何かを見出したり、創造したりすることこそ、これからの時代に求められる能力ではないでしょうか

(「スペースシップアース」)

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