「ちょうど昨日ジェンダーランキングの話をしていたら、今日の「朝日」はその話でした。論説委員の文章ですが、順位にこだわって書かれた文章でした」
「『日曜に想う』という表題からすれば、作家か芸術家に書いて欲しいですね。論説委員が散文を書いてどうするのかと思います」
「散文的ですけど、テーマはジェンダーです」
「だから結局、順位のことを終始話題にして終わった文章になっています。なぜ、ナミビアとルワンダはトップ10に入ったのか。同じアフリカなのに139位のナイジェリア、10位のスイスも気になると言っています」
「120位的な空気が満ちた日本でも……と書いています」
「つけられた順位をひたすら信頼して、挙句の果てに自分の国を見下すような文章を書く新聞社なので、モノの見方が歪んでいます。書いても良いですが、こんなにスペースを取って書く問題ではありません。日米共同声明に関する社説より長い文章です。感覚が狂っています。そして、日米首脳会談の「社説」にもその歪みが見られます」
「日本の役割を米中の仲裁役として期待しているような書き方ですよね」
「共同声明の文章で読まなければいけないことを読まず、書かなくてもよいことを書いています」
「例えば、前者で言うと何ですか?」
「「尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする……一方的な行動」と声明は言っているのに、「尖閣諸島を念頭に……」の1句で終わっています。「南シナ海における、中国の不法な海洋権益」に対しては、「強引な海洋進出」と一段階トーンダウンしています」
「それでは、書かなくてもよいことを書いているというのは、どこですか?」
「「ミャンマー国軍に市民への暴力の……」という下りです。社説の表題が「対中、主体的な戦略を」とあります。ミャンマーは重要ですが、表題の付け方を見る限り書く必要はありません」
「あと、総じて中国に優しい書き方をしていますよね」
「「対立をエスカレートさせない……」「米中双方に自制を求め、……」という表現を使っていますが、もともとすべて中国が仕掛けてきて問題になっていることばかりです。そのことが全く分かっていないような書き方です」
「「朝日」の限界かもしれませんね」
「これでは部数が減っても仕方がないでしょうね。勝手に社会で起きたことを「編曲」してしまっています。ここからが本論ですが、各紙の「社説」を紹介したいと思います」
目次
日米共同声明についての各紙の社説一覧
「朝日」「毎日」の4月18日付「社説」を見ると、その扱う分量が通常の話題と同じです。かなり歴史的な内容を持つのが今回の日米共同声明です。新聞社がどの程度のスペースを使って、どのように報じたのか、まさに新聞社の社会を視るその視点とレベルが問われていると思っています。「朝日」の「社説」はこの共同声明と同性婚を扱っています。同程度という判断がそこにはあるのでしょう。それだけで、本質が見えていないことが分かります。
「毎日」は「菅・バイデン会談」とし、単に首脳同士が個人的な考えで会談をしたと言いたいのでしょうか。なお、今回の共同声明の中で大事な視点は経済安保ということであり、キーワードは「サプライチェーン(供給網)」です。この言葉を紹介していないのが、「朝日」と「毎日」の2紙です。この2紙は扱いが他の新聞と比べて半分です。歴史的な意味も半分位しかわかっていないということです。
各紙の社説の表題と小見出しを表にしてみました。
読売新聞 | 強固な同盟で平和と繁栄導け――対中戦略すり合わせ責任共有を
・台湾情勢明記は適切だ ・人権弾圧に深刻な懸念 ・気候変動と五輪で協力 |
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産経新聞 | 「台湾」明記の意義は重い――同盟の抑止力高める行動を
・もっと人権問題を語れ ・経済安保に本腰を入れよ |
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日経新聞 | 日米同盟の深化で安定と発展を
・中国は行動を改めよ ・日本は主体的に貢献を |
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東京新聞 | 日米首脳会談-米中との間合いを測れ | 首相「防衛強化」―軍拡競争を危惧する |
朝日新聞 | 日米首脳会談-対中、主体的な戦略を | 結婚と平等 賽は投げられた |
毎日新聞 | 菅・バイデン会談―問われる日本の対中戦略 | こども庁の新構想―組織ありきでは動かない |
中国共産党の世界征服計画にどのように対処するか――その戦略方針が「日米共同声明」
今回の共同声明の意義は、中国共産党の「一帯一路」という名の世界征服計画を念頭に置いて発せられたところにあります。世界征服なんていう馬鹿げたことを考えているはずがない、トランプ政権の途中までは、そのように考えていたと思います。コロナ禍がきっかけとなってアメリカの中国共産党を見る目が完全に変わります。共和党、民主党を問わず一致してしまったというのが現状です。そのため民主党のバイデン政権になっても対中国政策については、共和党トランプ政権の基本政策が殆どそのまま引き継がれています。
この間の中国共産党の振舞いを見て、日米の首脳が改めて中国共産党の恐ろしい野望を確認し合ったのだと思います。そのために2人だけの会談が必要だったのでしょう。日本の与党の中枢部には、親中派と思われる人物が何人かいます。絶対に直接聞かれたくない内容だったのだと思います。
しかし、共同声明に、まさか中国の世界征服計画などという文言を入れる訳にはいきません。記者会見でも言う訳にはいきません。ただ、マスコミは共同声明の文章や発せられたメッセージを分析して、両首脳が本当は何を想定して、何を言いたかったのか、アメリカと日本は何を政策的に合意したのかということを正確に報道する必要があるのです。共同声明の文章を勝手に自分流に解釈することは許されません。編曲が許されるのは、音楽と小説の世界だけです。
中国共産党の世界征服計画をいかに止めるか。それを止めつつ、協力しなければいけないこともある。話は単純ではありません。その戦略を世界の自由と民主主義を愛する国・政府に向けて発信したのです。だから、今回の共同声明は、今までの共同声明とは質的に全く違ったものです。そのように読み解く必要があるのです。
(「Gnews.org」)
政治的、軍事的な圧力を強めつつ、自由主義国間の経済的連携を高める
政治的、軍事的な圧力がまず必要です。それがなければ、台湾、尖閣という生命線が突破されてしまいます。「東京新聞」は「軍拡競争」と言っていますが、ピントがずれています。ちなみに、この発想は「赤旗」と同じです。
そして、中国に政治的圧力をかけようとすると、中国からの経済的圧力を受ける場合があります。それを想定して自由主義諸国の間での新たな経済的連携と「サプライチェーン(供給網)」を構築する必要があります。特に、基幹産業について、自由主義諸国間で重要部品が調達できる態勢づくりを進める必要があるのです。
さらに最新技術が中国にわたると、それを軍事技術に転用することが起きます。そのため、守るべき科学技術をどのように保護していくのかということが重要になってきます。
このことを共同声明は「新たな時代における同盟」という項目の中で「日米両国はまた、両国の安全及び繁栄に不可欠な重要技術を育成・保護しつつ、半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携する」としています。「機微な」という言葉の中に、単に部品の調達網というレベルではなく、軍事的、技術的重要な部品、技術も含むことを言おうとしています。
気候変動とコロナ対策については、共同声明の後半に触れています。中国とも協力して行っていく必要があります。完全に対立する訳にはいかない苦しさというか、もどかしさがそこにはあります。
(「kipc.or.jp」)
読んでいただき、ありがとうございました。
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