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中国の躍進の理由は「若き」ブレインを生かしたから / 相手を分析できなければ敗北する

「中国の勢いの元は一体何だと思いますか?」

女性

「戦狼(せんろう)外交とか言われていますが、ローンウルフのように常に強気で妥協しませんよね」

「その強さは、経済力と軍事力の強さに支えられたものなのです。急速にそういった力を付けた要因は、何だと思いますか?」

女性

「アメリカが目を覚まさせて、日本が育てたという言い方をする人がいますよね」

「ニクソンの突然の中国訪問(1972年)が大きなきっかけを与えたことは確かですね」

女性

「いわゆる、ニクソンショックですよね。学校で習いました」

「ただ、彼はその後、『もしかしたらフランケンシュタインを蘇らせたかもしれない』と言ったのです」

女性

「その勘は的中した訳ですね」

「そうですね、ただ、ここまで蘇ってくるとは思っていなかったでしょうね」

女性

「蘇るだけではなく、襲い始めましたからね」

「そのフランケンシュタインのエネルギーは一体何なのかを考えてみたいと思うのです」

女性

「日本がエネルギーを与えたという人もいますよね」

「国交回復した途端に、日本企業がこぞって中国に進出しましたし、ODA(政府開発援助)による資金供与もありました」

女性

「ODAはつい最近まで中国に行っていましたよね」

「1979年にスタートして2018年の40年間3兆円を中国につぎ込んだのです。止めるのが遅すぎですね。2010年に抜かれた時点で止めるべきでしょう」

女性

「一事が万事で、何事も決定が遅い感じがしますけど……」

「感じではなく、確実に遅いと思います。これは、昔ながらの「決済システム」を使っているからです」

女性

「それは、何ですか?」

「昨日のブログにも書いたのですが、下から積み上げていくやり方ですね。もう、そういう時代ではないのですけどね……。成功体験があるために、それに固執している企業や組織が多いと思います」

女性

「そういうことを含めて、日本と中国を比較してみたいと思います。ここからが本論です ↓」

 敵対的な目で見ると、相手を客観的に分析できない

敵対的な目で見ると、場合によっては相手を正確に捉えることが出来ないことがあります。それは、変な願望が入ってしまうからです。「中国崩壊」といった類の本も出ていますが、そうなってしまえという感情を込めてしまうと見誤りがちとなります。そうではなく、少し離れた位置から中国のこの間の勢いは一体どこからきているのか、客観的に分析し、学ぶべきことがあれば素直に学びたいと思います。

中国に関する書籍や論文は本当に星の数ほどありますが、総じて批判的なものが多いと思います。中国や中国共産党が行ってきたことに対する批判、中国側に立っての日本に対する批判、つまりどちらかの立場からの批判ばかりなのです。

孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」というものがあります。ナポレオンが座右の銘にしていたのが『孫子』なのです。その中の有名な一節です。彼を知り、つまり相手を知るのが第一とあります。ソクラテスは「汝自身を知れ」と言いました。自分とは何か、実は自分が最も分かりにくいので、まず自分の正体を掴めと哲人は言ったのです。

ところが、孫子に言わせると、それよりもさらに分からないのが相手だと言うのです。

どういうことでしょうか。

孫子が言っているのは、いざ戦おうとする時に、相手を見誤ることが多いと言っているのです。感情的になってしまって、冷静に分析できないまま相手を見てしまうからです。相手があるスポーツでは、よくあることです。所謂、ひとり相撲です。まず相手を捉まえるべき、と孫子は言っているのです

日本軍はアメリカに対して戦争を仕掛けました。開戦当時のアメリカの経済力は日本の約4倍です軍事力と経済力は比例しますので、データ的には無謀な戦争だということが分かります。つまりデータ的にほぼ負けが分かっているような戦争を何故始めたのか、簡単に言えば、頭に血が上って冷静な判断が出来ないまま、淡い期待を抱いて開戦に突入してしまったのです。そういう愚は、2度としないようにすることが大切です。

 中国の勢いの元(もと)は一体何なのか

2005年の時点でGDP(国内総生産)は、中国は2.2兆ドルの世界4位、日本は4.5兆ドルで世界2位でした。その頃、中国は2020年頃には日本を抜いて2位になると言う人がいましたが、そのことさえ本気で信じなかった人が多かったと思います。ところが、実際にはその5年後の2010年に日本に追いついて、現在は日本の3倍です。

そのエネルギーは一体何なのかということです。日本の資本が協力した部分はあります。日中の貿易額は2004年の時点で、日米の貿易額を追い抜いています。つまり、中国は日本の最大の貿易相手国になり、さらにODAによって日本から資金援助をしてもらったので経済大国に急速に成長したという人がいますが、実はそれだけでは辻褄が合いません。つまり、それにプラスアルファ、何かがあったということです。それを探り当てようということです。

実は、2006年に「教育フォーラム 働くこと実りある人生」と題して、北城格太郎氏の講演会が開かれ、その中で中国の大学の問題を紹介していました。そのメモによりますと、中国の大学生は、勉強し過ぎて体を壊す者が多い、そんなこともあり、大学は夜の11時で閉めることを決めたそうです。その位、努力する。そして、人口の5%、つまり6500万人位は優秀な人財がいて、彼らが今必死に努力している。それが中国だということを講演者は言っていました。

その頃の日本は「ゆとり教育」と言う名の「ゆるみ教育」の真っ最中、大学を乱立していた頃です。当時も含めて、現在においても体を壊すくらいに勉学に没頭する者はいないと思います。高校までは猛勉強、大学でも引き続き猛勉強という話を日本では殆ど聞いたことがありません。しかし、その油断が、うさぎの油断であり、カメではなくフランケンシュタインにあっという間に抜かれるということになったのです。

 中国は若いブレイン(頭脳)が活躍している

『2025年日中企業格差』の中で、多くのページを割いてアリババに関連する記事が多くあります。その中で、一番印象深い話を紹介したいと思います。

アリババの馬雲(マーユン)会長は今では、すっかり有名人ですが、彼のアリババcomが立ち上がったのは1999年のことです。次の2000年にソフトバンクの孫社長との運命的な出会いが、アリババを世界的な企業にすることになります。

そのいきさつをそのまま近藤氏は紹介しています。感動的な話だと思ったのでしょう。私も浮世離れした話だと思いますので、少し長いですが、そのまま引用させていただきます。

2000年に訪中した際、20社くらいの若い(中国の)インターネット企業の社長と会い、1社あたり10分ずつ話を聞いた。その中でただ1社だけ、私が即断即決で投資を決めたのが、アリババだった。最初の5分、マーからプレゼンを聞いて、残りの10分を私からマーに『ぜひ出資させてほしい』と頼み込んだのだマーは、『では1、2億出して欲しい』と言ってきたが、私は『いや、20億受け取って欲しい』と言った。その後、私はマーと押し問答をやって、『何としても受け入れて欲しい。お金は邪魔にならないだろう』と説得。結果、マーも『分かった』となった」(近藤大介 前掲書、145ページ)

その当時のアリババは赤字会社だったそうですが、孫社長の嗅覚にかなったのでしょう。殆ど、神業的な見分けのテクニックを駆使したのです

このアリババは2014年にニューヨーク証券取引所に3億2千万株上場します。2000年にアリババに投資して32.4%の株式を取得していた孫社長は540億ドルの資産を手にすることになったのです。この話から『資本論』が想定している資本主義とは違う経済が展開していることに気付いて欲しいのです。そして、皮肉なことに共産主義国家の中国ではそれに気づいて起業する若者たちが増えているのに、日本では相も変わらず古い資本主義のイメージで経済を見ている人が多いのです。日本の若者は就活のことは頭にあるけれど、起業など考えたこともないという人が殆どでしょう。中国と日本のバイタリティの違いは、実はそんなところにあるのです。

また、孫社長の姿勢が素晴らしいと思います。日本の大企業の社長は、そういった場に行こうとは思わないでしょう。それこそ誰かが報告して、いろいろな部署を通って上に行くというルートを辿るのでしょう。そういうシステムは、現代のようにスピードが求められる時代には合っていないことに気付く必要があるのです。

繰り返すようですが、アリババは何か生産的な仕事をして巨大企業になったのではありません。アイディアをビジネスにして、それをSNSを使って拡大していったのです。従来の資本主義的な生産様式とは違い、ここには搾取とか、剰余労働といった概念が入り込む余地はありません。

アリババの社員数は2万2千人。会社の就業規則は1つだけとのこと――「イルなら従え、イヤなら辞めろ」。本社の大部屋で多くの若者がパソコンを叩いている。会社の脇には保育園が設置されている。菓子をつまみながら、音楽を聴きながら、若者たちがパソコンを叩く企業なのです。マー会長は「今後30年で日本市場を全面的にカバーする」と言っているのです。日本も迎え撃つ準備をしないと、このバイタリティあふれる企業に呑み込まれると思います。

読んでいただき、ありがとうございました。

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