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少子化問題に取り組むためには、大局観をもつことが大事 ―― 予算を付けて解決する問題にあらず

女性

「昨日のブログの話ですが、戦争の名称が定まっていないという話、ちょっとショックでした」

「実はそうなんです。教科書(山川出版社)の書き方を紹介すると「第二次世界大戦の重要な一環をなす太平洋戦争」とあります」

女性

「何か、それも苦しい書き方のような気がします」

「中国大陸での戦いが完全に欠落していますからね」

女性

「15年戦争、日中戦争という呼び名もありますよね」

「左翼的な考え方をもつ人が好んで使う言い方です。起点を柳条湖と捉えるのですが、中国はその見方だと思います」

女性

「大東亜戦争という呼び名は、もう死語なのでしょうか?」

「1940年に成立した近衛内閣が「東亜新秩序」を目指すという方針、つまり欧米勢力のアジアからの排除というスローガンが出されます。そして、1942年に東亜の解放のための戦争ということが東條英機首相より示されます」

女性

「1942年は、もう戦争が始まっていますよね」

「そうですね。だから、取って付けたという感が否めないところがあると思います。ただ、1943年には大東亜会議まで開いています」

女性

「日本がアジア諸国の独立のために貢献したというのは、そのことをもって言っているのですね」

「そういうことですが、そう言ったことに対して国内においても異論が出ます。外務省は大東亜省設置案について反対を唱えます。独立というのは、本来的にその国の国民が決めることであり、外部の力によって与えるものではないというのです。それから、中国の独立については何も考慮せず、東南アジアの国々に対して独立を言うのも変です」

女性

「至極もっともな意見だと思います。というように、どれもぴったりと来る戦争の呼び名が未だにないということですね」

「総括をして名称もきちんとする、そして教訓として学ぶべきことは、大局観をもった指導者を育てる教育、これに尽きると思っています」

女性

「大局観ですか。祖父は囲碁を好んで打っていたのですが、よく大局観と言っていました」

「布石というのは、囲碁の言葉です。大局観をもっているからこそ、布石が打てるし、それを上手く打つことが出来る人が名人です」

女性

「ここからが本論です ↓」

 

 少子化問題の解決は、連立2次方程式を解くつもりで

少子化の問題を解決するためには、連立2次方程式を解くような姿勢で臨む必要があります。

ところが、代々の日本政府の発想は、掛け算、足し算を使う頭しかありません。これでは、少子化問題は解決しません。2005年から少子化担当大臣を置いていますが、今の問題意識でいる限り、少子化担当大臣を置いても、少子化は止まりませんし、実際に止まっていません。何故なのか。簡単に言えば、ピントがずれているからです。ネクストバッターズサークルで素振りをしているようなものです。

現象的に少子化となっていますが、そこに至る過程においていくつかの因果関係が入り組んでいますので、それを解きほぐす必要があります。それをしないで、児童手当てや保育園を増やすなど、子供関連予算を多少増やしたからと言って根本的な解決に至ることはありません。せいぜい、少し改善する傾向が出る程度でしょう。


(「You Tube」)

 マスコミの雑音に惑わされないように

「日経」(2021.10.3日付)が「育児男女差際立つ日本」として米ノースウェスタン大学の教授らの欧州19か国のデータ分析を紹介し、「欧州以上に日本や韓国の男女の分担が不平等なことは、両国の低出生率と密接に関係している」とのコメントを紹介していますが、そもそも日本や韓国と欧州の各国とは国づくりの考え方が違いますので、単純に比較して良いのかという問題があります。民族そのものの背負ってきた歴史が全く違います。

例えば日本で言うと、家族主義的な国家観のもと、男女の役割分担論に基づいて家事については女性が担い、外に出て食料を調達するのは男の役割というのが古来よりありました。家事という観点から見れば不平等かもしれませんが、家族の生活全体から見ればそこには役割の上での平等という考え方が貫かれていたのです。

そして、古代より20世紀の終わりの頃まで、人口問題はなく、順調に増えていたのです。「家事に男性が関わらないから人口が減る」というならば、古代から昭和の時代にかけて人口が増え続けたことに対して説明がつきません。男女の役割分担の考え方は、日本では今に始まったことではないのです。多分、韓国もそうだと思います。

こういうふうに考えると、先に紹介した男性の育児に関わる時間を増やすようにすれば、少子化が改善するという主張は一面的なものだということが分かると思います。日本の歴史と国づくりの考え方に添って、少子化問題を考え対策を立てる必要があるのです

(「国土技術研究センター」)

 人口減解決のための4つの視点――地域の再生、地域教育の創造、地場産業の育成、故郷意識の醸成

日本人は子育てを地域という共同体、そして家族の中で考えてきました。「子」とは普通は言わずに、複数を表す「供」を付けて子供と言うのは、その名残です。英語には「child」と「children」というように単数と複数がありますが、日本では1人でも複数形を使います。そこには子供に対する考え方の違いがあります。子供は地域という異年齢の子供集団の中で育つもの、そこで社会性を育くむものという考えがあったのです。そして、年齢を重ねてある程度成長すると、貴重な労働力として農作業や地域の手伝いなどをするようになったのです。

日本は大家族制度をとっていましたので、子供が幼い時は祖父や祖母、近くに住む親類縁者、それでも足りない時は近所の人たちが子育てを応援してくれたのです。子育てに対して、そのようなサポートがあったため、男たちは安心して外に働きに出ることが出来たのです。地域を中心に、大家族制度が成り立ち、そこで人口の再生産が行われていたのです

戦後、特に高度経済成長を経て工業社会に変貌する過程において、行政は財政の効率化のために市町村合併や学校統廃合を繰り返し行いました。核家族が増え、地域から子供集団が消え始め、地域が従来の機能を果たさなくなっていきました。個人主義的な考え方が広まり、子育ての負担が夫婦にすべて掛かるようになっていったのです。

子育ての負担は精神的にも経済的にも重いので、当然子供は少なくても良いということになり、出生率の低下、人口減として表れ始めたということです。さらに近年は女性は社会で活躍せよということで、女性を意識的に管理職として登用する傾向が出ていますので、ますます人口減は進むことになります。

 この構造を変えないで、子ども庁を作ったり関係予算だけ増やしたりしても人口減に歯止めは掛かりません人口減を招いているのは、一つは男女の出会いの問題、二つ目は地域の有機的機能が無くなったこと、三つ目は夫婦に精神的、肉体的負担がすべて掛かるようになったことが原因です以上の三つはお金で解決する問題ではないのです

戦略的に間違った政策を立てても空回りするだけです。大局観をもって碁石を打っていないので、いつまでたっても上達しません。戦争で負けたことが何も教訓になっていないということです

(「You Tube」)

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