「中国の香港国家安全法の制定に対して、支持を表明している国もあるんですね」
「ロシア、キューバ、北朝鮮などをはじめとしておよそ40数か国が支持を表明したそうです。ただ、自主的な支持表明ではなく、中国側が結びつきの強い国に要請したようです」
「そういう点では、抜け目がないですね」
「逆の見方をすると、自信があるようで、実はないのでしょうね」
「そうですね、本当に自信があれば、そういう要請をしないでしょう」
「ただ、今回のことで中国は国際信用をなくしましたね。これが後々大きく響いてくると思います」
「信用がなくなっても良いと考えたのでしょうか?」
「そういう感覚ではなく、香港はこの1年間揺れ動きましたから、これ以上騒がれても困るという感覚だと思います」
「困るも何も、民意がどこにあるのかを究明して、それに対処すれば事態は収まるはずですよね」
「そういう回りくどいやり方を統治とは考えないのが共産主義者の特徴です」
「何か逆に焦っている感じがします」
「来年の2021年は中国共産党結党100周年の年です。節目の年なので、それまでに懸案事項を解決して、勢いに乗りたいという気持ちがあることは確かだと思います」
「自分で決めたスケジュールに沿って進もうという、その発想がよく分かりません」
「そうですね、日本人は流れの中で考えていくという感じですからね。ただ、習近平は2035年までに社会主義現代化を完成するという目標を立てています」
「そんな先まで考えているのですか?」
「それまで国家主席を務めるつもりでしょう」
「その時点で何歳になるんですか?」
「82歳ですね」
「定年は考えず、それまで頑張ろうということですね。(ここからが本論です ↓)」
人権は世界の標準的なモノサシ
人権思想は、国境や宗教などを巡って、有史以来絶えず争いの絶えなかったヨーロッパから湧き起こった思想です。どういうことか、他国との領土争いに勝つためには、国権を強くする必要があります。ところが、国権を強くすることは、対外的には長所だったのですが、国内的には権力が暴走するといった問題が起こるようになりました。時代的には、中世の絶対王政期です。そういった圧政から国民が自らを守るための論理が人権だったのです。そんなことから、西洋人権思想と言ったりすることもあるのです。
その人権思想が、戦後世界の標準的なモノサシとして認定されることになりました。1948年に世界人権宣言が国連の総会で採択され、1966年にその内容において国際人権規約が採択されています。国際連合に加盟している各国は、その内容を承認したものとされます。ただ、中国の場合は常任理事国として、国際人権規約を積極的に批准しなければならないのに、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(B規約/自由権規約) については署名だけして、批准をしていません。
同規約は、裁判を受ける権利から表現の自由、選挙権を含む政治に参加する権利などを保障するものです。その様な人権規約を批准するようにデモをして、拘束されてしまった人が出る始末です。
今回の「香港国家安全法」の制定は、2重の意味で国際的な信用を失墜しました。1つは、1984年にイギリスから返還された際に取り決めた香港の自治を50年間守るという約束を破ってしまったことです。2つ目は、国益のためならば、人権を踏みにじる国だと分かってしまったことです。
共産主義者は演繹的にモノを考える
共産主義者は演繹的にモノを考えるので、先に目標を定め、そこに向けて遮二無二(しゃにむに)進もうとする特徴があります。
中国政府は、台湾と日本を睨みながら行動してくるでしょう。尖閣はその2つを取りにいく場合、絶対に抑えておく必要がある要所の島です。
最近になって、日本側が抗議をすると、尖閣は中国領であると反論をするようになりました。接続水域には、連日中国の公船が姿を現しています。そのことを常態化することにより、日本の漁船が近寄らないようにするとともに、実効支配の機会を伺っているのだと思います。
領土というのは奪われた後、いくら相手や世界に向かって「日本のものだ」と百万回叫んでも返ってくるものではありません。何が大事かと言えば、実効支配をすることです。なぜ、沖縄が返還され、北方領土が返ってこないのか。アメリカとソ連の違いと言う人がいますが、違うと思います。沖縄には日本人が残ったのに、北方領土からは日本人がいなくなってしまったからです。
竹島は、戦後の防衛の空白を突かれて韓国に実効支配されてしまいました。軍事的建造物がつくられ、人も常駐しているので、それを奪い返すのは大変です。
尖閣は日米安保の適用範囲となっていますが、それはあくまでも日本の施政権が及んでいることが前提です。奪われたので、後はアメリカ軍さんお願いします、と言って動く訳ではないと思います。その場合は、「お前がやれよ」と言われるのがオチです。だから、今のうちに早急に手を打つ必要があるのです。灯台でも良いのです。何か構造物を建てるだけで違います。囲碁と同じです。要所に「石」をまず置くことを考えることです。
日本への「攻撃」はすでに始まっている
ある国を自分の領土にしたいと思った時に、何を考えるかということです。①武力侵攻 ②土地を買い取る ③自国民を送り込んでの独立運動 ④相手国の政権の弱体化 ⑤相手国のマスコミを味方につける。およそ、この5つ位ではないかと思います。
①は最後の最後です。武力侵攻していった時に、相手国の国民が拍手で出迎えてくれるような環境を作りたいと思っているでしょう。そんなことは起きるはずがないと思っていると、自然災害と同じで、徐々に浸食され、最後は不意を突かれてあっという間に侵略されてしまいます。
大事なことは、ほんの少しの変化に敏感になることです。崖から小石が落ち始めた、水が出始めた、これらは崖崩れの兆候です。自然現象に兆候があるように、社会事象にも兆候があります。ただ、楽観論で日々過ごしていると何も見えてこないと思います。北海道では、中国資本の土地買収が進んでいます。アイヌを先住民族と認めてしまった日本政府。両者が組んでの独立運動が起きる可能性が全くないとは言い切れないのです。
コロナの第二波が来ている時に「Go Toキャンペーン」を言い出しているような政府では、危ないでしょう。一事が万事という言葉があります。危機管理能力が落ちてきているのではないかと思います。
ただ、尖閣の問題については、政府だけではなく、マスコミも腰が重いです。真面目に報道しているのは『産経』ぐらいで、その他の新聞は、ほとんど報じていません。NHKも1回3時のニュースで報じた程度です。国民の多くが見ている朝、夜のニュースでは流していません。
なぜなのか。この辺りについて、石平氏が『中国が日本に仕掛ける最終戦争』(徳間書店.2018年)の中で明らかにしていますが、中国と日本の報道機関は、「日中記者交換協定」を結んで、中国を敵視しない、2つの中国をつくる陰謀に加担しない、日中国交正常化を妨げるような報道はしないことを約束させられ、違反すると中国支局を閉鎖させられるそうです。
「国会議員が中国側の言いなりになるというのは、中国から金をもらっているか、ハニートラップのような弱みを握られているのか、あるいは支援者の企業経営者が中国進出していて、そのつながりで圧力をかけられているということもあるのかもしれません」(石平、黄文雄 前掲書 163ページ)と言っています。
与党、野党関係なくターゲットにされます。自国の政府には威勢が良いが、中国のことになると何も言わないという野党があります。一応、疑った方が良いと思います。
将来的には、国会議員という職をなくし、AIとオンラインを使っての直接民主主義のシステムの導入を考えましょう。
ギリシアの民主制の原点に戻りましょう。そうすれば、隣国の変な工作が無くなるのではないかと思います。
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