「今回が75回目の憲法記念日となりました。世界一古い憲法です」
「そうなんですね。ただ、私は小学校で平和主義は人類がようやく辿り着いたゴールなので、これを守っていくことが大事と教えられた記憶があります」
「ゴールだから、平和主義は不変ということですね。言葉の論理だけを辿ると、それはそれとして成り立ちますが、現実の社会の中で考えると平和主義は2つの考え方に分かれます」
「2つと言うのは、何と何ですか?」
「武器と戦争を放棄することによって平和を実現するという方途と、逆に武装をすることによって相手にプレッシャーをかけて緊張関係を生み出す中で平和を実現しようという道です」
「日本の憲法は、前者ですよね」
「それが一番理想だとは思いますが、現実的には無理だろうと言われていたのです」
「無理かもしれないけど、理想を追求したい、追求すべきという世論が日本の中に結構ありましたよね」
「教育の問題もありますし、日本の戦後は平和を思う存分享受しましたからね。何となく、錯覚を起こしてしまったのかもしれませんね」
「錯覚というと?」
「武装もせず、平和外交と言って、ニコニコ顔で握手していれば、平和と繁栄が保障されるみたいな錯覚を持ったような気がしてなりません」
「国民の中にも、日本が先頭に立って世界の平和外交をリードすべきだと考えている人がいますものね」
「そもそも平和外交という言葉自体が、国際社会では成り立ちません。国際社会では、経済力・軍事力と外交力は表裏一体のもので、不可分なものです。日本がその役割を果たすためには、経済力・軍事力の分野において、世界で1,2位を争う位になる必要があります」
「世界で唯一の被爆国だから、平和外交の先頭に立つべきという意見もありますが……」
「それは手前勝手な論理で、どの国も認めないと思います。アメリカも認めていないでしょ」
「確かに、そう言われれば……。ここからが本論です」
「3紙」の世論調査が発表される――改憲必要が急激に増加
新聞社名 | 改憲必要あり | 改憲必要なし |
朝日 | 56% | 37% |
毎日 | 44% | 31% |
読売 | 60% | 38% |
5月3日憲法記念日ということで、改憲についての話題で紙面を裂く傾向が強かったと思います。注目したいのは、世論調査のデータです。今回のデータを上に示しましたが、大きな特徴は、ここに来て「改憲必要」と判断される人が急速に増えているということです。
その原因は、どこにあるのでしょうか。今から1年前は、「必要あり」と「必要なし」が拮抗しましたので、今回の状況については、ウクライナ問題の影響が大きいと思います。連日、現地ウクライナから、生々しく、なお且つ悲惨な映像が家庭にも配信されていることが、国防ということを考えさせるきっかけになっていることは確かだと思います。
(Yahoo!ニュースーYahoo!JAPAN)
改憲をリードすることがマスコミに求められる
マスコミの役割、特に新聞の役割というのは、何でしょうか。啓蒙という言葉があります。レ点をふって読み下すと「蒙(くら)きを啓(ひら)く」となります。つまり、無知蒙昧な民衆に対して、これからの最先端の考え方はこうであるという方向を示すという意味です。つまり、時代の最先端の考えを広く国民に知らせるという意味ですが、これがマスコミの代表格である新聞各社に求められているのではないかと思っています
今回の憲法記念日を迎えるにあたって、新聞各社がどういうスタンスで臨むのか、非常に興味があるところでした。朝日、毎日は護憲派スタンス。護憲派スタンスでは、ウクライナ問題を1ミリ足りともプラスの方向に動かすことは出来ません。何故ならば、世界が力というベクトルで動いてしまっているからです。
(「産経ニュース」)
「専守防衛」は今や無責任な考え方
5月3日付の「朝日」の紙面を見ると、護憲のスタンスで書かれた記事が満載です。ある意味、驚きます。社説「今こそ平和主義を礎に」から始まり、東大の石川健治教授を登場させて「これからの立憲主義」と題したインタビュー記事で2/3面を使い、「世界史の中の憲法9条」とその解説記事の「9条の平和主義 国際社会のパスポート」で2/3面を使い、「改憲させない!私たちは非戦を選ぶ」の意見広告が表裏の併せて2面を使っています。こうなってくると、9条のプロパガンダです。
「理想と現実の緊張関係の中で、自衛のための必要最小限度の実力は持つ。そのうえで専守防衛に徹して経済発展を進め、開発援助や平和構築支援を通じて国際社会の発展に寄与する」(「9条の平和主義 国際社会のパスポート」)とあります。「自衛のための必要最小限度の実力」を具体的に提示する必要があります。NATOの常識ではGDPの2%です。日本も5年をメドにその水準に引き上げようというのが自民党の考えとして出ています。隣国の中国の軍事力は日本の5倍です。仮に2%になっても、日本だけでは自衛など出来ません。それをどう考えるのかを示す必要があります。
そして問題なのが「専守防衛」です。かつての人海戦術で行われた戦争とは違い、ミサイルや自爆ドローンといった近代兵器が飛び交う時代です。「専守防衛」で戦っているウクライナの惨状を見れば分かるように、最初に多くのミサイルを撃ち込まれることを覚悟しなければいけないことになります。当然、多くの犠牲と被害が出るでしょう。「専守防衛」と言うことは、それを容認することであり、極めて無責任な考えだと思います。
(Yahoo!ニュースーYahoo!JAPAN)
共産主義者のプロパガンダになり果てた「朝日」
新聞には2つの役割があります。一つは、時代の先進的な情報を国民に知らせる。二つ目は、社会の中に対立した意見があれば、それを公平の立場から報道するということです。新聞は政党の機関紙ではないので、特に後者の役割が重要です。偏った意見だけを掲載して、読者が偏ったモノの見方しか出来なくなるようでは、困るからです。
2面を使っての意見広告ですが、ある特定の政治団体の意見や立場が表明されています。「改憲させない! 私たちは非戦を選ぶ」と大きな見出しとともに、「ころすな」というドキッとするような言葉とともに、賛同を得た方の名前が書かれています。
日本人の誰も、戦争をしたいと思っていませんし、誰も人殺しをしたいとは思っていません。あたかも、戦争をしたくて仕方がない人や、戦争のどさくさに紛れて人殺しをしたい人たちが憲法を改正したがっているのだと思わせるような印象を植えつけるためのイメージ広告です。
この意見広告を主導しているのは、「市民の意見30の会・東京」というところですが、一般社団法人になったそうです。そのホームページを見ると、今までの意見広告の内容は分かるのですが、代表者の名前も含めて、どのような組織なのかがよく分かりません。そういったことと、市民という言葉を使っていることを併せて考えると、共産党系の外郭団体だと思われます。ホームページを見ても実態がよく分からないような団体の2面にわたる意見広告を出すのは、考えものだと思っています。
(「市民意見広告運動」)
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