
「埼玉県八潮市で道路陥没事故がありましたが、実は規模は小さいのですが、あのような陥没事故は年間で2千件以上起きています」

「そうなんですか! 全国のどこかで、毎日必ず2~3件は起きているということですね」

「単純に割り算をすると、1日当たり7件位ですね」

「そんなに起きているのに、どうして八潮市みたいにニュースにならないのですか?」

「八潮市の陥没した下水道管は、流域下水道管と言って、都道府県が管理する下水道管で規模が大きなものなんです」

「大きな事故になったのは、そういう理由なんですね」

「そうですね。しかも、陥没した穴に転落したトラックの運転手が行方不明になりましたね。そういうこともあって、大きく報道されたのだと思います」

「小さい陥没事故は、基本的に報道されないということですね」

「報道されない多くの陥没事故は、市町村が管理しているものです。そこには今の日本が抱える地方財政の問題があると思っています」

「直したくても、財政上の問題があって直せないということですか?」

「自治体によって財政状況がかなり違います。保守・点検のための人員もいるし、予算も充分とれるところもあれば、その反対に予算の確保すら大変という自治体もあるのです」

「下水道陥没問題は、地方財政の問題でもあるのですね」

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「You Tube」からのものです」
下水道管、耐用年数超え380キロ
日本の下水道は、全国の都道府県が管理する「流域下水道」と、市町村が管理する「公共下水道」に大別されます。流域下水道の総延長は約7800キロに及び、そのうち約380キロが耐用年数を超えていることが明らかになっています。これは全体の約5%にあたり、老朽化が進むことで今後さらなる維持管理の問題が浮上する可能性があります。
下水道事業は各自治体の責任に委ねられており、財政状況によって維持管理の対応に大きな差が生じています。下水道の運営コスト自体は全国的に大きな差はありませんが、財政基盤の弱い自治体ほど負担が重くのしかかる構造になっています。例えば、東京都のような豊かな財政基盤を持つ自治体と、鳥取県のように人口が少なく税収が限られる自治体とでは、同じ下水道の維持管理でも財政的な余裕に大きな違いがあります。この結果、財政が厳しい自治体では老朽化した下水道管の修繕が遅れ、インフラの劣化が進むという悪循環が発生します。
下水道管の老朽化が進むと、漏水や破損による環境問題だけでなく、道路の陥没や災害時の衛生問題など、住民の生活に直結する重大な影響を及ぼす可能性があります。特に耐用年数を超えた下水道管の割合が今後さらに増加することを考えると、早急な対策が求められます。
(「ITメディアエグゼクティブ」)
心配なのは市町村が管理する下水道管
日本の下水道管の約98%は市町村が管理する「公共下水道」に属します。この公共下水道は、主に市街地の道路の下に敷設されており、老朽化が進むと道路陥没などの危険が増大します。実際に2022年度には全国で2625件の道路陥没が発生しており、その多くが下水道管の腐食に起因するものでした。
下水道管は通常、長期間にわたって使用されますが、年月が経つと内部が腐食し、ひび割れや崩壊を引き起こすことがあります。特に、古い下水道管では素材が現在の基準に合わないものが使われていることも多く、劣化が進みやすいのが現状です。このような問題に対応するためには、計画的な点検と修繕が不可欠ですが、財政的に余裕のない市町村では十分な予算を確保できないケースが多く見られます。
また、下水道管の劣化は目に見えにくいため、問題が顕在化するのは実際に陥没や漏水といった事故が起こった後になることが多いのも厄介な点です。そのため、自治体ごとの管理体制を強化するとともに、国レベルでの支援策を検討する必要があります。特に財政難に陥っている自治体では、修繕が後回しにされる傾向があり、結果として大規模な事故が発生するリスクが高まります。今後、全国的なインフラの老朽化対策として、下水道管の管理を自治体任せにするのではなく、より広域的な視点で対策を進めることが求められます。
(「gooニュース」)
財政基盤の弱い自治体を国が支えるシステムの導入を
下水道の維持管理にかかる費用は、自治体ごとに大きく異なるわけではありません。しかし、財政の規模が異なる自治体が同じように下水道の維持管理を求められる現行制度では、財政力の弱い自治体に過度な負担がかかっています。特に過疎地域では税収が少なく、住民一人当たりのインフラ維持コストが高くなるため、下水道の老朽化に適切に対応できない状況が続いています。
さらに、下水道事業を担う専門職員の育成も重要な課題です。下水道の維持管理には高度な技術が必要ですが、財政難の自治体では専門職員の確保が難しく、人材不足が問題となっています。全国的に上下水道や学校施設などのインフラ老朽化が進む中で、下水道事業だけを自治体の自己責任とするのではなく、国として何らかのサポートが必要です。
特に、一定の税収が確保できない自治体については、国が直接財政支援を行う仕組みを導入することが必要です。例えば、緊急的な財政出動により、特に老朽化が深刻な下水道管の修繕を支援する制度を整備することで、財政力の差によるインフラ維持の格差を是正できます。また、自治体間での負担を平準化するため、都道府県や国がより積極的に関与する枠組みを構築すれば、持続可能なインフラ整備が実現できるでしょう。
今後の社会の発展や安全性を確保するためには、単なる自治体の努力に任せるのではなく、国全体で下水道の維持管理を支える体制を整えることが不可欠です。現在の制度の見直しを進めることで、より公平かつ効率的な下水道インフラの管理が可能となるでしょう
(「プレジデントオンライン」)
読んでいただきありがとうございました。
よろしければ「ブログ村」のクリックをお願いします。
↓