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「国際的分断時代」(1) ―― 民主主義国家と独裁国家に分かれて対立し合う時代

女性

「国際的な分断時代というのは、どういう意味ですか」

「知らないのは無理がありません。私が作った言葉ですから。今は丁度グローバル時代が終わろうとしています。新しい時代を何て表現すれば良いのかなと思って、仮に付けた名称です」

女性

「平和なグローバル時代が終わろうとしているという認識で良いのですね」

「それで良いと思います。大きな戦乱がなく、基本的に世界が平和を共有した時代と言えると思います。日本は丁度、平成の時代にあたります。明治から平成まで、初めて戦争がなかった時代なんです」

女性

「えっ、そうなんですか。明治は日清、日露戦争、大正は第一次世界大戦、昭和は太平洋戦争で、平成になって戦争がなかったのですね」

「平成は戦争はなかったので、本来はここで長期的な国家戦略を考える必要があります。それが殆どなされていません。今になってそのツケが来ていると思っています」

女性

「民主党政権になったのも平成の時代ですよね」

「内政が安定しなかったというのも当然あるでしょうね」

女性

「ようやく安定し始めたところでしょうか」

「内容の評価はさておいて、「新しい資本主義」ということで長期的な政策提言を出せるようになった段階です」

女性

「高度経済成長期には、所得倍増計画がありましたものね」

「何事もそうですが、計画がないところに目標達成はあり得ません。現状分析をきちんと行って、日本の立ち位置を確認して、目標に向かって公私ともに協力していくということだと思います」

女性

「公私共にという発想は日本では薄いと思いますけど……」

「そうですね。政府だけ頑張って行えば良いみたいなところがありますね」

女性

「依存体質というのでしょうか。マスク1つ取ってみても分かりますよね。政府が外して良いよと言うまで、日本人は外さないと思いますよ」

「その辺りは、国民性が出ていると思います。夏の暑さが本格的に来る前に、「戸外ではマスクを外せ」で良いと思いますけどね」

女性

「空気感染はしない訳ですからね。外国人観光客が本格的に来日します。日中の暑い中、マスクをして歩いている日本人の姿を見て奇異な感じを受けるかもしれませんね」

「ある程度は国際社会に合わせるということだと思いますけどね」

女性

「金利も日本だけ低いまま維持するみたいですね。ここからが本論です ↓」

 金融当局者は丁寧な説明を心掛けられたし

日銀総裁や財務省など金融当局者は、データを示して丁寧に国民に説明する必要があります経済活動は、政府や日銀だけが行うものではないからです。企業や家計の行動が経済に大きな影響を与えるからです。協力してもらう方向を指し示す必要があるからです。政治家の記者会見とは、意味的に全く違います。その違いすら、よく理解していないフシがあります。

今の情報の発信の仕方は、単なる事実発信に終わってしまっています。指揮者としての役割を自覚していないと思っています。指揮者として、演奏する曲のイメージを各パートに対して強弱のメリハリも含めて伝えなければいけません。理屈は同じです。 (下の表は各国の長期金利です。6/18現在)

日本 0.25%
アメリカ 3.80%
イギリス 2.32%
フランス 1.98%

 

今の状態は、周りのいくつかの楽団と日本の楽団の音調が違っていて、日本の団員がこの曲で本当に良いのかと動揺が入り始めたような段階です。団員を落ち着かせて協力してもらうために、何故このままで良いのかという理屈を説明しなければいけません。

黒田総裁の通り一遍の説明では丁寧さが全く足りません多分、長期的な展望がないまま短期的目線で低金利政策を維持しているだけだと思っています。しかも、本人の口から「急速な円安は日本経済にとってマイナス」発言が出る始末です。「急速」が困るなら、利上げをするしかないですし、それが全く出来ないのならば、含みをもたせての「予告」でも良いのです。それでも市場の動きを牽制できます。それを行うのはあなたでしょと思っています。

 民主主義国家と独裁国家に分かれて対立し合う時代

「国際的分断時代」と冒頭書きましたが、これは、両者の分断が進むであろうという意味です。そして、その2つのグループは仲間内では結束力を高めるような動きをします。内に対しては結束、外に対しては排除と攻撃という2つの顔をお互い持ちながら対立する時代となったということです。

日本は民主主義国家グループの中に入って、周りとの調和・融和を図る必要があります。金融政策も同じです。「金融面から需要を刺激し続けることが十分に可能だ」(黒田日銀総裁)との判断ですが、輸出立国ならその理屈は成り立ちますが、日本はエネルギーと食糧の輸入大国です。円安が続けば、在庫がなくなり新しく買い付けた高い価格の原材料や食料が日本国内に入ってきますので、当然物価は上がり、需要を打ち消すことになります。

低金利政策を維持したからといって、海外のエネルギーと食糧事情が切迫しているので、需要を刺激し続けることなど出来ません。

(「産経ニュース」)

 WTOの改革が進むことはない―― グローバルという言葉も死語になる

「国際的分断時代」の動きを今後はしばらく追っていきたいと考えています。というのは、大きな流れを理解しなければ、判断を誤る可能性が高いからです。目指す方角さえ大体合っていれば、目的地に近づくことができます。小さな誤りは、途中修正すれば良いのですが、方角が間違っている場合は、進めば進むほど目的から遠ざかります。すべての努力が無駄になります。いかに大局観が大事かということです。

今回は紙数が余りないので、WTO(世界貿易機関)の話題をお届けします。この国際組織は世界の国が自由貿易体制で結束を固めるために作った組織です。この閣僚会議がスイスの本部で行われていました。今回、食料危機への対策を明記した「閣僚宣言」を何とか採択して閉幕しましたが、これからはWTOが実質的に果たす役割は殆ど無くなるだろうと思っています。

理由は「国際的分断時代」です。そして、WTOは全会一致主義という理想論を掲げているため、今後は機能不全になることが予想されます。

「グローバルな課題への対応を進めるため、加盟各国と議論を続けていく」と萩生田経済産業相は言いますが、グローバルという言葉はすぐに死語になるでしょう。「上級委問題を含むWTO改革にどう取り組むかが重要な課題」(東條吉純立教大教授/国際経済法)との指摘ですが、WTO改革が進むことはありません。無駄な努力をしないことです。

(「西日本新聞」)

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