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悪い円安が密かに進行している ―― 日本経済のファンダメンタルズが落ちている / 人材育成に焦点を当てた成長戦略が必要

女性

「昨日話題にした米中首脳会談ですが、3時間以上にも及んだみたいですね」

「要するに、平行線だったのでしょ。話が噛み合う訳がないと思いますよ。人権問題を持ち出せば、内政干渉と言って改めようとはしません」

女性

「台湾問題も国内問題という捉え方ですものね」

「中華民族の悲願と言っていますけど、歴史的にも間違っています。台湾は、現在の中国に帰属していたことは一度もありません」

女性

「中国のコミュニケの文章を読む限り、取り付く島もない感じがします。日本は、どうすればいいですか?」

「妙案はありません。地道に国の防衛を固めて、経済発展を図るしかないと思いますが、それが上手くいっていないと思います」

女性

「国の防衛はともかく、経済発展を考えると、日本もアメリカも中国とは経済的な結びつきが強いですから、商取引を簡単に止めることはできませんよね」

「いわゆるサプライチェーンの問題ですね。急に取引を変える訳にはいかないのは当然ですが、経済界の人間、企業者は今の政治的状況を念頭に置いて経済活動をする必要があると思います」

女性

「生産拠点の移管ということですか?」

「簡単に言えば、そういうことです。これからは、海外の工場を国内に移すということもありだと思っています。いわゆる国内回帰ですね」

女性

「そうすれば少子化の問題が少しは解消するかもしれませんね。賃金水準はいかがですか?」

「東南アジア地域に比べれば高いですが、日本の賃金水準は国際的には高くはありません」

女性

「充分メリットがあるということですね」

「メリットのあるなしも大事な観点ですが、今は日本経済がかなり弱くなっています。本国のためにひと肌脱いでやろうという気概を経済人に求めたいと思っています。丁度、NHKの大河ドラマで渋沢栄一を放映していますが、彼の思いに学ぶ必要があるかもしれません」

女性

「ここからが本論です ↓」

 悪い円安が密かに進行している

1ドル115円になりそうな状況です。この1年を見てみると、ズルズルと円安が進んでいます。下のグラフは今年の5月に出されたものです。108円、109円でもみ合って、現在のレートに短期間で来てしまっています。為替レートは上がったり、下がったりするものですが、この間の動き方は余り良いものではありません。何故、こういう動きをするのかということは、経済の場合は確定した因果関係による断定はしにくいのですが、日本経済のファンダメンタルズが弱くなっていることは確かだと思います簡単に言えば、体力が落ちているということです。政府もそういうことが分かっているため、「新しい資本主義」という言い方をして、立て直しに入ろうとしているのですが、立て直しの方向が少し間違っています。そのことについて、以下話をします。

(「日刊SPA!」)

 政治は特効薬があるが、経済の特効薬はない

経済は意志のある生き物のように動きます。どう動くかということは、経済学者など専門家でも予測不可能です。明日の日経平均株価や外国為替レートがどうなるかさえ誰も分かりません。手名付けようとしても、為政者が思ったようには動いてはくれません。どの国も経済発展をしたいと思いながら、なかなか数字が上がらないのは、そのためです。というか、何か経済政策を行っただけで経済成長するくらいなら苦労はしません。そうならないのが経済なので、政治家は政策を語っても良いのですが、結果を誇ってはいけません。結果を出したのは、企業を含めた国民全体の力であって、政治家の力ではないからです。

 経済の特効薬はないが、セオリーはある

体力を付けようとする場合、特効薬はありません。1日、2日トレーニングをしたからといって急に体力がつく訳ではありません。どのようなトレーニングをどの程度、そしてどの位の期間をやれば良いのかということについては、理論があります。経済の考え方も同じです。

最初に行うのは自己診断です。これによって現状を把握し、およそのメニユーが決まるからです。

日本経済のおよその現状を知るためには実質経済成長率を見るのが一般的です。21年は1~3月期と7~9月期がマイナス成長でした。そんなこともあり、21年はプラス2.4%という予測の数字が出ています。なお、来年はコロナ禍の影響が今年よりも少なくなるだろうということでプラス3.2%という予測となっています。ただ、この数字はG7の中で最も低い数字です。これが、現在の日本の経済力です。一応、世界ランキングは3位ですが、テニスに例えると最近の試合は1,2回戦負けが続いているため、世界ランキングが相当下がるだろうという状況に例えることができます。

そして問題なのは、この経済成長率の数字を増やすためなのか、選挙公約なのか分かりませんが、無理矢理バラマキ政策をしていることです先程の例えで言えば、ドーピングをしているようなものです。これでは、一時的に数字は上がるものの、場合によってはマイナスとして跳ね返ってきます。とにかく、経済は生き物なので、不自然なことをすれば、必ずしっぺ返しが来ます。

(「You Tube」)

 堅実に体力が増強するプログラムは何なのか――すべて人材育成に尽きる

まず、基本的な認識として、資本主義経済は自由競争市場で成り立っているため、競争経済であることを自覚する必要があります。これは、国もそうですが、国民も自覚をすべきことです。地上の楽園で生活をしている訳ではありません。自分自身も努力をするというのは、当然の務めだということです。

健康で快活な日々を送るために、日々気をつけて過ごしていると思います。理屈は、同じです。そうしないと病気になり、場合によってはあちらの世界に行ってしまうからです。経済も同じです。成長が停滞すれば、国の経済が立ちいかなくなり、企業や家計が上手く回らなくなります。

経済を発展させる原動力は人材です。武田信玄は「人は石垣、人は城」と言い、関東大震災の復興に力を尽くした後藤新平は「人、人、人」という言葉を遺しています。人的資源の開発という観点から学校教育を見直す時期です。特に、義務教育の捉え方は、保育の延長のような捉え方です。21世紀の人材育成という観点から、教育課程を全面的に見直す時期に入っています。そもそも文科省という一省庁にイニシアティブを預けていることが間違っています。社内教育についても、正規、非正規を問わず再教育を意識的に行い、その価値を高める努力を労使の協力で行う、国はそれを積極的に援助するという態勢を作るべきでしょう。非正規は使い捨て、外国人労働者は上手く使えば良いといった感覚をもっている企業人がいれば、その考え方を変える必要があります。

人材育成が上手くいくようになれば、自然に経済というのは発展していくものです。それは、朝昼晩の正しい食事と適度な運動、目的をもって日々生活すれば、各自の立てた目標に対して、結果が付いてくるようになるものです。経済も理屈は同じです。日々の努力を忘れ、選挙の時になって突然思いついたように無理なトレーニングをし始めたり、サプリメントを飲み始める。これでは、成果が思ったように上がらないということです。

(「東京都社会福祉事業団」)

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