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小規模な学校で理想の教育を追究する時代 / 一つの省庁が教育を一元的に管理する時代ではない

「沖縄県の鳩間島(はとまじま)って、知っていますか?」

女性

「ドラマの「瑠璃の島」の舞台になったところでしたっけ?」

「そうそう、地元では鳩間節の発祥の地ということで知られているみたいですね。行く時は、石垣島から定期観光船に乗って行きます。約40km離れているそうです」

女性

「人口は何人位なんですか?」

「竹富町のホームページには、人口約50人とありますね」

女性

「先程、島の様子が分かるユーチューブを見ていたのですが、時間を忘れそうな場所ですね」

「鳩間島の海の美しさは『鳩間ブルー』と言われているそうです。実は、その島に児童生徒9人(小3/1人、小4/1人、小6/3人、中1/3人、中2/1人)の鳩間小中学校があるのです。そのうち7人が留学支援施設の「つばさ寮」で共同生活をしています」

女性

「心を癒しにくるために留学するといったイメージですね」

「そうですね。入学期間は原則1年だそうですが、2年間過ごす子もいるそうです」

女性

「何か事情がある子供たちなんですよね」

「不登校などになってしまった児童・生徒を受け入れる学校のようですが、125年の歴史があるそうです」

女性

「ということは、開校当時はもっと多くの子供たちがいたんでしょうね」

「そうだと思います。学校は島の象徴的な存在なので、何とか残す方法ということで、2018年に寮を併設した上で今のような留学制度を考えたのだと思います」

女性

「素晴らしいアイディアですね。最近は、すぐに廃校しか思いつかない人が多いので、頭が下がります。ところで、9人のうち沖縄県の子供は何人いるんですか?」

「7人が入寮なので、2人だと思います。それ以外は、愛知県や東京都などからの児童・生徒だそうです。そして中には、中学2年生で英検準2級を合格した子もいるそうです」

女性

「そうですか、私は中3で3級でしたからね。それでも、結構凄いねって言われましたからね。ここからが本論です ↓」

 

 小規模な学校で理想の教育を追究する時代

鳩間小中学校には、運動会もあります。片平校長先生が挨拶文を出していますので、一部を紹介します――「運動会スローガン『一致団結 ! 仲間と目指せ最高の勝利 one for all, all for one』のもと、 演技や競技などで、児童生徒と皆様方で運動会を楽しみたいと思います」

9人でどうやって運動会をするのか、興味があるところだと思いますので、種目を紹介します――鼓笛隊パレード、入場行進、開会式、年代別短距離走、縄ない競争、棒術・エイサー、職域リレー、チューリップリレー 、校歌ダンス。今年はこれでもコロナ禍でもあり、縮小して午前中でまとめたとのことです。生徒だけでなく、島民の方が全員で盛り上げ、取り組んでいるようです。児童・生徒は殆どフル出場です。

沖縄県の竹富町教育委員会の奮闘努力によって、伝統ある小さな学校が今もなお地域に根付いて教育活動を行っていますヨーロッパでは少子化の時代に入ったので、「子供ファースト」の考えの下、特に小学校は「小さな学校、小さなクラス」によって教育を行おうとしています。その観点からみれば、鳩間小中学校の取り組みは、最先端なのかもしれません。

ここにICT教育を導入して、教科や科目によっては沖縄県、あるいは本土の学校と無線ランを繋ぐことによって受講でき、それが単位として認められるようなシステムが導入出来れば、1、2年の留学ではなく長期の在学も可能となります。今のままでは、留学体験が本人にとって大変素晴らしい経験であればあるほど、皮肉なことに元の学校に戻った時、さらに落ち込む可能性があります。それでは逆効果なので、羽ばたいて欲しいということで「つばさ寮」と名付けたのだと思いますが、実際にはどうなのか、気になるところです。

(「日本の島に行こう」)

 柔軟に対応しようとし始めた文科省

平成の初めの頃までは登校拒否と言い、現在は不登校と言っていますが、明確な定義はありません。ただ、登校拒否と読んでいた時代は、基本的には登校させることが児童・生徒にとって良いことなので、それに向けて努力をするべきというのが文科省の姿勢でした。

出席については、その頃から柔軟に扱うようになりました。学校外の施設で指導を受けたとしても、それが児童・生徒の「学校復帰への懸命の努力」(文科省通知、平成4年.9.24日付)の表れと認められれば、指導要録には出席扱いとすることができるようになったのです。ただ、施設名を記入するという条件付きです。そのことによって、担任や学校が変わったとしても、子供の実際の状況が分かるであろうという判断があったからです。

ただ、あくまでも学校を子供の教育の中心としていたことは確かです。ところが、最近はそれを少し緩めています。そうも言っておられないような状況が広がっているためだと思われます。

現在は、登校が一番望ましいが、本人の意志を尊重することが一番重要という立ち位置に変わってきています。そして、受け入れ側の学校に対して、「魅力あるよりよい学校づくり」(「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」文科省初等中等局長通知、令和元年.10.25日付)を求め、不登校になる前には必ず予兆があるはずだから、そういった初期段階から支援をして欲しいということを言っています。さらに「不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保」(同上)の中では、「教育支援センター,不登校特例校,フリースクールなどの民間施設,ICTを活用した学習支援など,多様な教育機会を確保する必要がある」(同上)としています。

(「ズバット」)

 子供の実態に合わせて、多様な学校形態を認める時代

不登校の数が13万人となりました。凄まじい数です子供には教育を受ける権利がありますので、子供たちの状況に応じて教育環境を整備するのが社会の務めです。そのため、文科省も柔軟に対応しようとしているのですが、効果が上がっているとは言えません。むしろ、事態は深刻化する方向に進んでいます。これは、何を示しているのか。一言で言えば、日本のような民主主義社会での教育行政を統一的に一つの省庁が取り仕切る時代ではもう無くなったということだと思います。

(「東洋経済オンライン」)

アメリカは教育の地方分権や教育の自由化が進んでいて、ある意味、日本とは対照的な教育行政が行われています。フリースクールを例にしてその辺りを見ることにします。

日本でフリースクールと言った場合は、不登校の子供が安心して通うことが出来る学校のことですが、アメリカのそれは低所得者のために作られた公立学校のことを指します。そして、教育はその子に合わせて提供されるべきという考えが強いので、教育制度やカリキュラムなどは学校によって当然違います。教科書もあったりなかったり、様々です。そして、フリーは無償という意味もあるように、授業料の無償は当然ですが、朝食やランチを無償で提供するところもあるそうです。

アメリカと違って、日本の場合のフリースクールは、あくまでも公立学校の予備的・補助的な存在という捉え方です。だから、学校の卒業認定権はありませんので、生徒が在籍していた学校がフリースクールでの状況を判断して、出席や卒業を認定するというかたちを取っています。

冒頭で紹介した鳩間小中学校が、もしアメリカの学校ならば、本人の意向を尊重して6年でも9年でも在籍できることができます。もちろん、卒業認定権もありますので、そのまま上級学校に進むことができます。

(「cocoiro(ココイロ)/ホームスクーリングやフリースクールなど選択肢が多い」)

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