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「子どもファースト」の時代に見合った予算の組み方を考える時代 / 時には「基金」を創設して急場をしのぐことも

「無用な学校統廃合を止めさせるためには、お金の問題をクリアする必要があります」

女性

「どうしたのですか、何かあったのですか?」

「ある代議士の事務所に学校統廃合について陳情に行っていろいろな話をしたのですが、最後はお金の問題だと思ったのです」

女性

「教育論議をしたとしても、それはそれ、最後はそうは言っても予算はどうするのかということですね」

「そういうことですが、そうなると価値観と既得権の問題になってきます。価値観というのは、教育よりやはりお金だろうという考えが今は強い。その価値観が、少子化だから教育が最優先、お金の問題は二の次とならないと話が進展しません」

女性

「既得権は前例ですよね」

「要するに、社会状況が変わっても、為政者の考え方が変わらない限り、何も変わらないということになります」

女性

「それで統廃合問題が対応できれば良いとは思いますけどね」

「無理ですね。従来のカネ優先では対応できません。親や住民を説得できないでしょう。子供一人の「価値」の重さがここ20年位で完全に変わってしまいましたからね」

女性

「重くなったということですね。やはり、少子化の影響ですか?」

「そうですね。ヨーロッパでは「子供ファースト」の考えの下、小さな学校、小さなクラスで丁寧に教えようという考え方になっていますが、日本は思考停止状態で相も変わらず子供を多く集めてという考えでいます」

女性

「ある程度の人数がいないと、教育効果が上がらないと言っていますけどね」

「現実に、いじめ、不登校が増加しているので、そういう抗弁は成り立たないと思っています」

女性

「ここからが本論です  ↓」

 

 少子化の流れを止めるために、予算の組み換えを

自治体が学校統廃合に踏み切る大きな理由は、教育予算の問題があります。国や都からの支出金(援助金)がありながらも、限られた自治体予算の中で教育費が占める割合は大きなものがあります。話を分かりやすくするために具体的な数字を出します。例えば、町田市を例にとりますと、約1200億円の予算のうち教育費が約180億円(15%)です。ただ、これでは足りていないのでしょう。例えば、2018年度は市債を発行して、そのうちの18億円を小中高の施設整備に使っています

ただ、このまま地方の人口減が続けば、予算額が減り、それに比例して教育予算も減っていきます。日本は教育に対する公費支出の割合がただでさえ低い国なのに、ますますその割合が低くなり、教育力が低下します。

すべては因果関係で繋がっていますので、そこからは負のスパイラルに入っていくことになります。つまり、予算削減→教育力低下→国力・経済力低下→予算削減→教育力低下というように、坂道を転げ落ちるように2流国家、3流国家になっていくと思います。ただ、国力が弱くなれば、当然周辺諸国の軍事力の標的になるのが現代社会の常識です。つまり、教育にお金を掛けることは、国の防衛にもなるということです。

(「財務省」)

 ODA予算の一部を国内の教育費に回すべき

国家予算をどのように組むのか、そこに国の哲学がありますので、為政者は将来の日本の国家像を考えて予算の組み換えを行う必要があります。何の考えもなければ、省庁の力関係で決まってしまいます。文科省の力は省内では弱い立場なので、多くの予算を持ってくるためには、政治的な判断が必要です。

余分なお金がないのならば仕方がないのですが、例えばODAとして日本が他国に対して援助している予算金額は2021年は1兆5900億円で、過去最高です。そのお金をどこに何のために使っているのかということですが、『日経』の記事(2021.8.2日付)によると、東南アジアに対する医療機器などの無償資金協力、中南米やアフリカに対してワクチンの品質保持に必要な冷凍庫や輸送用車両の機材供与、インドに対して人工呼吸器や酸素濃縮器を届け、フィリピンには沿岸警備システムへの資金協力をしたと報道しています。

1兆5900億円という金額は、「OECDによると、日本は2020年の支出純額ベースで米国やドイツ、英国、フランスに次ぐ5位だ」(『日経』)そうです。国内の教育費に回すお金はないけれど、ODAで外国にお金を回すことが出来るというのが政権の態度だということが分かります。かつては、中国にGDPで追い抜かれてからもODAを供与し続け、2018年に安倍首相が終了を伝達するまで続けられたのです。日本の政府は、一体どこに顔を向けているのかと思います。国際的なお付き合いもある程度は仕方がありませんが、ODAを拠出し続けたからといって、いざという時に他国が助けるかどうかという保障はありません。中国が経済力に見合った資金を出していないことを指摘すると同時に、自国の子供たちのためにODAの一部を回す算段を考えて欲しいものです。

(「ドイツビジネスガイド」)

 「基金行政」の中に、自治体が主体となって行う教育・文化行政を入れる

今年の6月3日に、自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部が、子供に関する政策を一括して所管する「こども庁」の創設を提言する緊急決議案をまとめました。本部長の二階幹事長は「子供関連予算を思い切って増額してもらいたい」と訴えています。ようやく、カネより教育という流れの兆候が出たところです。文教予算の増額が無理ならば、目的別に基金を創設して対応するという手もあります。

一昨日の『日経』(2021.8.30日付)の1面の見出しは「乱立200基金、余る2.6兆円」というものでした。基金というのは、必要な事業ということが分かっているけれど、あらかじめどの位の予算をとっていいか分からない時にプールしておくお金のことです。例えば、自然災害に備えた基金がそうです。多分あるだろうし、必要です。しかし、金額をはじくことができません。

 

<基金事業4つの型>

取り崩し型 あらかじめ設定された基金を取り崩して事業資金に充てる
回転型 貸し付けや出資に使われ、最終的に資金を回収する
保有型 債務保証の原資として使うものなので、使わない
運用型 基金を取り崩さないで株式や債券で運用してその利益で事業を行う

(『日経』2021.8.30日付転載)

基金と言っても4つの型がありますが、「取り崩し型」の教育基金を創設すれば良いと思います。つまり、予め100億なり200億といった基金を確保してもらいます。この資金を例えば、教育整備事業に使うようにするのです。勝手に使ってもらっては困るというのであれば、使途を限定すれば良いだけの話です。例えば、冷暖房など空調関係とか、新校舎建て替え費用に限るなど、用途を限定してしまうのです。「ICT教育推進基金」、「不登校生徒対策フリースクール創設基金」、「高機能校舎建て替え基金」など名称はいろいろ考えて予算を確保してもらうのです。

余談ですが、「基金、国会監視働かず」という見出しで『日経』が報道していました。今まで、中には怪しげな「基金」もあったのです。「日中緑化交流基金」は1999年に日本政府が100億円を拠出して創設され、中国の大地に毎年約1000万本、計約7万haの植林事業に充てられたのです。どうして他国の緑化増進のために、日本国民の税金を使わなければいけないのかよく分かりません。2021年の3月末をもって事業は終了しましたが、当の中国は感謝するどころか尖閣海域に連日威嚇のために警備艇を派遣しています。

政治が目を向けるのは、まず国内です。その国内が疲弊し始めていますし、少子化が深刻になってきていますODAも大切かもしれませんが、今の日本には他国に向けてカネを配るほどの財政的余裕はありません。貴重なお金を次世代を担う子供たちのために最優先で使うという時代に入ったという認識を持つべきでしょう

予算節約のための統廃合の時代ではないということです。「小さな学校、小さなクラス」が世界の流れです。

(「リセマム」/全国で膨大な数の学校が廃校となっています)

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