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今、話題の「10増10減」問題をどう考えるか ―― アダムズ方式を日本の国土に適用するには無理がある

女性

「前都知事の石原慎太郎氏がお亡くなりになりましたね」

「昭和の国士、常に正論を吐き続ける人というイメージを持っています。また、よりによって、今日は骨抜きの「対中非難決議」が衆議院で採択された日です。彼がそれを知ったら、きっと怒っていたと思います」

女性

「もともとは作家から国会議員に転身したのですよね」

「何回か国会議員として当選して、大臣ポストを経験してから総裁選に打って出て先日亡くなられた海部氏に破れたのです」

女性

「もし、その時勝っていれば、随分日本の政治も変わったでしょうね」

「だと思います。憲法改正が実現していたかもしれません。彼は、政界を引退する時にそれが心残りといっていましたからね」

女性

「国会議員を辞めて、都知事選に打って出ていますよね」

「自民党の中の『厚い壁』みたいなものを感じたのではないでしょうか。あと、地方自治は大統領制ですから、知事権限が強く、結構思った通りの政治ができますからね。それに魅力を感じたのではないでしょうか」

女性

「逆に言うと、国会に対して何かあきらめみたいなものを感じたのでしょうか」

「衆議院の議員だけでも500人以上いますからね。野党の中には、反日的な考え方の政党が結構大きな勢力としていますし、与党内でも一枚岩ではありません。総裁選で勝っていれば別ですが、結構大差で負けていますので、先行きが見通せなくなったのだと思います」

女性

「今の国会の状況を見て、どのように思われるでしょうか?」

「彼は口が悪かったですからね。「穴(けつ)の穴が小さい議論ばかりしてんじゃあないよ。コロナなんか専門家の言う通りにしていればいいんじゃあないの」と言いそうですね。そして、「政治家は経済について語るべからず」と言うでしょうね。どうしてだか、分かりますか?」

女性

「政治家は経済家にあらずと教えて頂きました。理由については、よく分かりません」

「理由は2つあります。1つは、経済は『生き物』なので、自由にコントロールできないからです。2つ目は、経済を考え始めると、当面のことしか考えなくなるからです。政治家は10年後、20年後といった将来を見据えて法制度を考えるのが仕事だからです」

女性

「ここからが本論です ↓」

 アダムズ方式に「落とし穴」あり

国会は「国権の最高機関」(第41条)なので、仮に国会が制定した法律に対して最高裁が違憲判決を出したとしても、それに対して国会が応える必要は全くないのです。ところが、「一票の格差」の違憲判決が出るたびに動揺し、その批判に応えようとし、さらにその度ごとの改正手続きを煩わしいと思ったのか、アダムズ方式を採り入れた衆議院定数是正の法律を制定したのです。それが2016年でした。その法律を制定した時は、グッドアイディアと思ったのでしょう。ところが、落とし穴があったということです。

にわかに話題となっているアダムズ方式というのは何なのかということですが、このアダムズというのは、これを考案したアメリカの第6代大統領アダムズの名前を採っています。選挙区の有権者数は当然変動します。ある時点の有権者数を「係数」で割り、その数に応じて議席を配分するというシステムです。

(「読売新聞オンライン」)

 アダムズ方式を採用すれば、東京は30選挙区になる

簡単に言えば、人口が増えた県は定数が増え、人口が減った県は定数が減らされることになります。例えば、今日(2/1)の読売新聞にアダムズ方式による選挙区数の増減のシュミレーションが載っていますが、東京は+5となり、現在の25選挙区から30選挙区になる予定です長崎や愛媛、山口はそれぞれ1減の3選挙区になります「10増10減」という見出しで報道されているのは、全国のうち10の選挙区の定数がそれぞれ1ずつ減って、その分が大都市圏の選挙区に割り振られるということです。当然、定数減となる自治体を地元にしている議員達からは不満が出てくると思います。

ただ、産経新聞は社説で、自分たちで決めた法律に基づいて行うべしと言っています。それは確かに正論だと思いますが、アダムズ方式によって選挙区の区割りを行うことが、本当に日本の選挙風土に合っているかどうかを確認していきたいと思います。

(「産経ニュース」)

 アダムズ方式を採用したのは、軽率であった

一言でいうと、アダムズ方式に基づく選挙区割りを採用したのは、軽率だったと思っています。アメリカのような大平原が一様に広がるような国土ならば良いのですが、日本の地理的な特徴は、アメリカとは全く違います。そもそも有人島だけでも約400あります。さらに半島、入江、森あり山あり谷ありと、地形の変化が多く、その地理的特性を生かして農業、漁業、酪農業、林業といった地場産業が営まれている地域もいくつかあります。当然、人口の分布は均一になるはずがありません。アダムズ方式は、日本のような地形の変化に富むような国に適用すると様々な矛盾が出て来ます。今回、それが露呈してしまったということです。

人口が少ない地域に対して、政治の光が当たらなければ、ますますその地域は衰退していきます単純に有権者数と議員の数の割合を、選挙区ごとに比較するのではなく、もう一つ地域の特性といった要素を加味する必要があります。アダムズ方式をそのまま適用してしまうと、人口減が進んで手を入れなければいけない地域なのに、選出される国会議員は少なくなる、つまり見捨てられていく確率が高くなるということです。

(「イーアイデム」)

 国会議員よりも市会議員の選挙区の方が広いという珍現象が発生

仮に2016年に定めた区割り審議設置法に基づいて選挙区を決めるとすれば、東京は現在の25選挙区から30選挙区になります。そうすると、国会議員の選挙区なのに、東京選出の国会議員の場合は、多くが市会議員、区会議員よりも狭い選挙区から選出されるということが出て来ます。

そして、現在でも例えば、東京八王子市は第24区と第21区に分割されてしまっています。同じ八王子でも東中野、大塚地区は第21区になっています。ある市会議員が「国会議員の選挙区よりも広い選挙区を我々は闘っているのです」と苦笑しながら言っていましたが、そういった可笑しなことが起こっているのです。その市会議員は、「市として国に何かを要望する時に国会議員の助けが必要な時がある。その際に、24区と21区の国会議員の所属する政党が違うと結構やっかいなんです。今回、たまたま両方とも自民党なので、そういった問題は起きませんけどね……」と言っていました。

有権者数という1つのモノサシだけで判断するため、そういった矛盾が出てしまうのです。有権者数ということも大事ですが、県や市といった1つの単位は、住民同士が有機的に繋がっているものと考える必要があります。有権者数だけを考えて機械的に選挙区割をせず、行政区分や地域の実情も併せて考えた上で選挙区を決める必要があるでしょう

(「働き方メディアFledge(フレッジ)」)

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