「中国では不動産不況が問題になっているそうですね」
「1か月位前にNHKで特集を組んでいましたので、多くの日本人に知られるようになりましたが、そこから金融危機が起きる可能性も出てきたと言われています」
「世界第二位の経済大国で、金融危機というのは起きるのですか?」
「金融というのは、お金の流れ、人間で言えば血液です。体力があって頑強な人でも血管が詰まって病気になることがあるでしょ」
「理屈は同じなんですね」
「そうですね。不動産不況を初期の病気だとすると、それに何も手当てをしないと病気が拡大し、金融危機を招くということです」
「金利を下げたりしているみたいですけどね」
「熱があるのに、うがいをしているようなものです」
「治療の方法が合っていないということですね」
「そういう段階ではなく、未完成物件を完成させて購入者に物件を引き渡すように国が援助すべきだと思いますけどね」
「そのまま放置していますよね」
「購入者にしてみれば、ローンの支払いをしているけど、買ったマンションはいつまでも完成されないままですよね」
「建設業者からすれば、お金を払ってくれないから中断しているということですよね」
「不動産業者には、お金がないのです。国が乗り出すしかないと思っています」
「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「Yahoo!ニュース- Yahoo!JAPAN」提供です」
金融危機はカネの流れが詰まるのが原因
金融危機はカネの流れが詰まることによって引き起こります。経済活動というのは、カネとモノ・サービスのキャッチボールですので、ボールが上手く回っていれば何も問題がないのです。仮に、どこかの業種でボールが回らなくても、手当てをすれば良いだけのことです。
ボールが回らなくなった場合は、中央銀行か政府がその原因に応じて処置をします。その処置が遅れると、入院、つまり金融危機が起こります。起きるかどうかは、その処置の早さと的確さ次第です。
ただ、中国の金銭感覚といいますか経済感覚が欧米のそれとは違います。例えば、100万円を貸してそれが支払われなければ、100万円が不良債権となるというのが先進国のいわば常識ですが、金利が一部でも、例えば100円でも支払われていれば不良債権ではないのです。だから現在、恒大不動産の裁判が始まったみたいですが、会社側はほんの一部の利息を払えば、破産処理をしなくても済むのです。今後の難航が予想されます。
(「photoAC」)
中国の不動産不況は人災
中国の不動産不況は、ほとんど人災と言って良いと思います。21世紀になって中国ではカー付きマンションライフということが言われ始めます。実は、それまでは小物であっても個人がローンを組むことは出来ませんでした。それが一気に解禁となり、庶民がローンを組んでマンションを購入するようになります。
マンションブームとなり、そのマンションも鉄筋むき出しの状態で販売できますし、それでも飛ぶように売れてしまいます。中国では土地は買えません。業者は地方政府に土地の使用権料さえ払えば、すぐに上物を建てることができます。
結構ボロい商売ということで、雨後のタケノコのように不動産業者が次から次へと現われ、巨体な利益を得ていきます。人口14億人の中国です。中には、投資目的で2軒、3軒分購入する人もいましたし、法人が大量に購入する場合もありました。需要が無限にあるかのように思えたのでしょう。気が付いたら24億人分のマンションをつくってしまったみたいです。完全に作り過ぎです。
(「ニッポンふるさとプレス」)
裁判所が破産法を適用するかどうかを判断する
こうなった場合は、どこから手を付けるのかということです。普通であれば、工事がストップしているのは不動産業者に資金が枯渇しているためなので、業者が裁判所に破産申請をして破産手続きが始まります。そうしないと、業者の債務が膨らみ続けるからです。そして、その時点で清算をして、債権者に払えるものは払って、すべて終わりにします。そうすればお互いに再スタートを切れます。
中国の場合は、破産法を適用するかどうかは裁判所が判断します。しかし、この破産の認定がなかなか下りないのが現実です。これは何故なのかということですが、中国独特のビジネス慣行があるためだと思っています。どういう慣行なのか。相手がカネを支払わない場合は、支払わなくても構わないという理屈が通る社会なのです。つまり、業者がローンを組んだ人がローン代金を払わないため、工事がストップしている。彼らが悪いという理屈が通ってしまうのです。
購入者からすれば、いつまで経ってもマンションが完成しないためローンを止めていると抗弁するのですが、旗色は悪いのです。業者が悪くないとなれば、裁判所は破産法を適用しないでしょう。しかも、利子をいくらかでも払っていれば大丈夫なのです。そして、結局事態が改善に向かって何も動かないということになるのです。
次回(木曜日)は、中国経済を取り巻く構造的な問題を、歴史の流れを踏まえて書きたいと思います。
(「YouTube」)
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