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フィンランド、NATOに加盟か ―― ロシアと1000キロを超える国境を接している国

「今日は、ムーミンで有名なフィンランドを話題にしたいと思います。ムーミンは知っていますよね」

女性

「もちろん知っていますよ。何とも言えない、愛くるしいキャラクターが好きです。あと、フィンランドは北欧4か国の中で日本人観光客に最も人気がある国なんですよ」

「そうなんですね。ところで、ムーミンの作者の故トーベ・ヤンソン氏はフィンランド人だということを知っていましたか」

女性

「だから、ムーミンのテーマパークがフィンランドにあるのですね」

「ムーミン谷もありますよ。ムーミン谷はフィンランド第三の都市タンペレにありますが、その近くに世界で唯一常設の「レーニン博物館」があります」

女性

「どうしてそこに、ロシア革命の指導者の博物館があるのですか?」

「1917年にレーニンの指導によってロシア革命が成功すると、ソビエト政府はフィンランドの独立を承認します」

女性

「成る程、独立の父ということですね。ただ、どうして独立を承認するのですか?」

「レーニンは1897年から1900年までシベリアに追放されるのですが、その収容施設での同室者がフィンランドの共産主義者オスカリ・エングベルイだったのです」

女性

「そういった人間関係の賜物だったのですね」

「ただ、そのレーニンが1924年に死去しますが、その後のソ連との関係は良好とは言えなかったのです」

女性

「いろいろ苦労したんですね」

「ただ、そこには生活の知恵というか、ロシアとどのように渡り合っていくかというノウハウの蓄積もあると思います」

女性

「そのフィンランドがNATO加盟に向けて動き始めています。ロシアの一連の行動を見て、恐くなったのでしょうか?」

「表向きはそのように見えますが、完全に計算づくでしょう。絶好のタイミングだと思ったのでしょう。1995年にEU加盟、そしてNATOに加盟することによって安全保障を確実にしようと考えているのです」

女性

「成る程、ロシアはウクライナで手一杯ですものね。ここからが本論です ↓」

 フィンランドの帰属――14世紀スウェーデン、19世紀ロシア

フィンランドは、ロシアとスウェーデンの間に挟まれながら、その独自の歴史を刻みつつアイデンティティを確立してきた国だと思っています。人口が約500万人、森と湖の国です。国土の多くはマツや白樺の森に覆われ、何しろ湖の数が2万~10万と言われ、国土の1/10が湖ということです。

そのフィンランドは、14世紀にスウェーデンの統治下に置かれます。ところが、1809年にスウェーデンとロシア帝国が「ロシア戦争」をして、その結果現在のフィンランドがロシアに割譲されます。当時はというか戦前までは、戦争に敗けた側が領土を差し出すか賠償金を払うという「不文律」みたいなものがあったのです。

話は逸れますが、太平洋戦争の終盤になってソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して満州地方から日本に攻めてきましたが、彼らの頭の中にその「不文律」があったことは間違いありません。日本に勝ち目がないと分かった瞬間に戦いを仕掛け、戦勝国として分け前に預かろうという魂胆だったのです。つい最近、ロシアのある国会議員が北海道はロシアの領土のはずという発言をしましたが、スターリンがアメリカに北海道を要求したことを踏まえての発言なのです。

(「旅行のとも、ZenTech」)

 フィンランドの外交術――ロシア相手に多くの知恵を発揮

1809年にフィンランドはロシアの大公国となります。言葉は恰好良いのですが、どの程度の自治が保障されるかは、ロシア次第となります。最初のうちは比較的自由だったのですが、19世紀の半ば頃からロシア化政策が実施されます。

「フィンランド化」という言葉があります。1970年代頃から、欧米や日本で論壇や政界で使われていたのですが、大国の間を行ったり来たりしながら、その命脈を保つために盟主国の意向に沿うような国家運営をするしかないという意味で使われていたようです。そこには、主体性のない国家運営という批判めいたニュアンスがありますが、それに対してフィンランドのあるジャーナリストは「ロシアと1000キロを超える国境を接したフィンランドが、自由な体制を維持し、東欧諸国のような衛星国として従属させられないために、どれだけの知恵と叡智を発揮してきたかを考えてもみて欲しい」と発言しています。

外交は腹芸と言われますが、日本以外の国は巧みに外交術を駆使します。最近は、かつての時代より多くの情報が流れますので、諸外国の政治家や高官がウソを巧みに使いながら自国の権益を主張するというテクニックをお茶の間でも見られるようになりました。

北方領土交渉で日本は完全に手玉に取られたことが最近分かりました何のことはない、北方4島の開発資金を殆どすべて日本に出させておいて、今回のウクライナ侵攻による制裁の報復として平和条約交渉を打ち切ってきました。元々北方領土を返す気などなかったのですが、経済開発で深い関係となってどうしたものかと思っていたところに、今回の経済制裁。ロシアは渡りに船という反応を即座にしました。交渉は完全に頓挫したということです。

このようになった原因は何なのか。答えは簡単です。外交交渉は性悪説が基本なのに、「信頼関係の醸成」という性善説の立場で海千山千のロシアと交渉をしたからです

(「時事エクイティー時事通信」)

 教育費は大学院まで無償

フィンランドは、教育に力を入れている国として有名です。OECDが3年に1度実施しているPISA(学習到達度調査)で常に上位の国だからです。フィンランドは小国が生き残るためには、人財育成が欠かせないという認識のもと、学校教育を公立・私立に関わらず、さらには就学前から大学院に至るまですべて無償です。だから、本当に自分の生活・経済環境に不満があるならば、学校生活で頑張って自分の才能を開花させ、社会で勝負する途も用意されているということです。

そして、これは日本の教育にも参考になると思うのですが、就学前教育「プレスクール」という制度を設けています。2001年に制度化されたのですが、これは就学前の1年間を学校生活への移行期間として、統一したカリキュラムのもと学習するということをさせています。中にはついていけない子供もいますが、その場合は1年猶予できるのです。逆に、必要ないという本人の希望と周りの判断があれば1年早く小学校に入学できます。人間の発達段階は人それぞれです。それに合わせた制度設計になっています。日本のように、形式的ではないということです。

日本には北の北海道フィンランド協会から九州フィンランド協会まで、14の友好協会があります。草の根活動を広げて、様々な交流をする中で真の友好を深められたらと思います。

【参考文献】 

百瀬宏、石野裕子編著『フィンランドを知るための44章』(明石書店、2008年)


(「アマゾン」)

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