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ゲノム解析を通じて「日本人」ルーツを探る――「アイヌ異民族説」を考える / 「黒潮南方ルート」が確認された

「日本人の成り立ちを探ろうとするプロジェクトがあること知っていましたか?」

女性

「へえー、そういうのがあるのですね」

「「ヤポネシアゲノム」プロジェクトと言うのですが、今年の3月で5年間の調査が終わったそうです。9月に都内でシンポジウムが催され、そこで得られた成果などについて発表するそうです」

女性

「楽しみですね。ゲノムなので、遺伝子レベルでの調査ということですよね」

「今は当時の人骨からDNAを採取できるので、サンプル採取さえ上手く出来れば、かなり精密なことが分かるそうです」

女性

「私は北と南から日本列島に人がやってきて、長い間かかって混血したと習いました」

「「2重構造モデル」(埴原和郎氏提唱)と言われている説です。今回のプロジェクトで、それが近似的に成り立つことが証明されたようです」

女性

「細かい修正はあるということですね」

「大陸からの渡来は、従来学説より長く、7世紀くらいまで多くの人の渡来があったことが分かったようです」

女性

「アイヌ人、沖縄の人も調べたのですよね、どうでしたか」

「アイヌ人、オキナワ人が遺伝的共通性をもつことが明らかになったそうです」

女性

「アイヌ民族は、本州の日本人とは違う民族という説は、遺伝学的には否定されたということですね」

「現代日本人に占める縄文系の割合は12~13%ということで、思ったよりかなり低い数字でした」

女性

「ということは、南方系からの移民が結構多くいたということですね。ここからが本論です ↓」

(2人の会話の内容について「ゲノム解析で『弥生人』見直し」『日経』2023.5.26日付参照)

 「アイヌ異民族説」を考える

日本人のルーツを探ることによって、今までの論争に終止符が打たれるかもしれません

そのうちの一つが「アイヌ異民族説」です。つまり、アイヌは日本人とは全く違った人種であり、言語や文化など様々な分野に於て日本人とは異なった民族である、というのが歴史学会の常識だったのです。それに異論を差し挟む説を唱える人もいたのですが、少数派に留まっていました。

そして、「アイヌ異民族説」を前提にしての法律が先行します。1997年には「アイヌ民族」(旧アイヌ法)として認定し、2019年4月には「アイヌ新法」が成立しますが、その中でアイヌを北海道の「先住民」と規定したのです。こういった法律だけが先行する事態に対して、疑義を差し挟む議員や識者、学者がいたのですが、「歴史修正主義」という激しい言葉を浴びせられて来たのです。

ゲノム解析によって、アイヌ人、オキナワ人が遺伝的共通性をもつことが明らかになった以上、「アイヌ民族」という言い方そのものが学問的に無効だということになると思います。

(「Yahoo! ニュース Yahoo! JAPAN」)

 言葉や文法もルーツを探る手掛かりとなる

ルーツを探る手掛かりは、、外見、宗教、風俗などがあり、それらを有効に使うことにより、より精密な分析が出来ると思います。

例えば、日本語について「山川日本史」は「語法は朝鮮語やモンゴル語などと同じアジア大陸北方のアルタイ語系に属する。ただし、語彙などには南方系の要素も多く、その成立についてはまだ明らかではない」(9ページ)としています。

中国語や英語は主語、動詞という順番ですが、日本語も含めてアルタイ語系は動詞は最後に付けます。そんなことから、北方からの渡来系が多いのではないか、中には「騎馬民族王朝征服説」という学説——「東北ユーラシア系の騎馬民族が南朝鮮を支配し、やがて弁韓を基地として日本列島に入り、4世紀後半から5世紀に……征服王朝として大和朝廷を立てたという説」(Wikipedia)——まで出る始末でした。

文法だけを考えるからそういう極論が出てきてしまうのですが、日本語は母音文化です。朝鮮語やモンゴル語は子音文化なので、その点で大きく違います。日本語は音節の数が濁音,半濁音を含めて112しかありませんが、例えば英語の音節は8千以上あると言われています。母音文化と子音文化では、その位違うのです。そして、文法よりも発音が先に成立しますので、南方系の移民の言葉がまずありきだったと思います。社会が複雑化する中で複雑な言葉を使うようになり、そのための文法が必要となったのです。

(「小野測器」)

 「黒潮南方ルート」が確認された

南方系とすると、彼らはいつ頃日本列島にやってきたのかということになりますが、その点で今から約6万年前にマレー半島からインドネシア諸島・カリマンタン島が陸地で繋がる「スンダランド」と呼ばれる広大な大陸がありました。約4万年前にはこの「スンダランド」から日本列島に黒潮に乗って到達するルートが2つあったとのことです1つは九州西方沖から対馬海峡に向かうルート、もう1つは台湾、沖縄を経て太平洋沿岸に達するルートです。

これらのルートで日本列島に移住してきた人々も縄文人の祖先となったと考えられています。そして、今回のゲノム分析でも、それが確認されています島根県出雲市や鹿児島県枕崎市に住む人々、そして沖縄の人とは遺伝的に近かったとのことです。9月以降にまとまった発表があると思います。それにより、更に詳細が分かってくると思います。

学説変更もそれに伴ってあるかもしれません。

(「note」)

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