「インターネットに配信されたニュース(「COURRiER Japon」)を見ていたら、アメリカで13歳の少女が全米でトップクラスと言われるアラバマ大学医学部へ入学が決まったそうです」
「アメリカは、13歳で大学に入れるのですか?」
「アメリカには「早期保証プログラム」があります。日本の戦前まであった飛び級制度のようなものです。彼女は12歳で高校を卒業し、アリゾナ州立大とオークウッド大学に進学しています」
「何で2つの大学なんですか?」
「同時に入学できるようなんです。そして、驚くべきことはわずか1年で学士過程の半分以上を取得してしまったそうです。そして、生物科学の分野で2つの学士を取得しているとのことです。そんなことから、今回の医学部入学が決まったようです」
「何か、凄いとしか言えないですけど、将来はどういう方向に進むつもりなんですか?」
「もともとはNASAで働きたいという希望があり、そこでのインターンシップの経験によって生物学に目覚めたと言っています。そこから入って、ウイルス免疫学に興味を持ち、今ではウイルス感染に苦しむ人たちを少しでも助けたいということで医療に興味が向かったようです」
「聞いていると、大人顔負けですね。ため息しか出ません」
「自分の子供と比較するからですよ」
「そうかもしれませんが、アメリカにそういう天才少女がいるということは、日本にもいるということですよね」
「当然、いると思っています。ただ、日本の社会は「発掘」の必要性を感じていないだけだと思います」
「「発掘」というのは、そういう人材を育てるシステムということですか? 単純に、飛び級制度を導入するだけで良いのではないかと思うんですけど……」
「いずれにしても制度設計をしなければいけないのですが、文科省は制度設計が苦手ですから、私は無理だと思っています」
「その理由は何ですか?」
「官僚の選抜の仕方とか、省庁内の育成プログラムの問題があるのではないでしょうか。内部のことは分かりかねますが、様々な問題の処理の仕方、最近では私立学校の統治システムの考え方を見ていると、的確に処理できないという印象を持っています」
「ここからが本論です ↓」
目次
文明が高度化すれば、それに比例して高度な人材が必要となる
文明が進展すればする程、その最先端技術は高度となり、それを支える学問、技術分野はより高度となっていきます。つまり、頂点は時代の流れに比例して高くなりますので、当然競争は激化し、教育の在り方に影響を与えることになります。考えてみれば当たり前のことですが、何故か日本では余り真剣に議論されてきませんでした。
そういった状況に対して、日本はリカレント教育、いわゆる学び直しによって社員の能力を高めることを考えてきました。社員教育に関心は向いているものの、学校教育にまでには及んでいません。
(「教育人材センター」)
教育関連のデータは悪化するものばかり
今の日本の教育は、中央集権的管理教育です。殆どの識者がこの教育システムに対して何の問題意識も持っていないようですが、民主主義社会の中で、高い経済力を維持していくためには、現在の教育システムは桎梏となります。というか、現在すでにその兆候が現れています。
(「毎日新聞」)
データがそのことを物語っています。不登校といじめのデータを見ると、年々増加しています。ハレンチ教員も増えています。こういった数字を素直に読み取ることが必要です。かならず、原因があるところに結果が現れるからです。そこから、新しい発展方向が見つかるかもしれないからです。
(「Yahoo!ニュース-Yahoo!JAPAN」)
「ギフテッド」教育が国家の浮沈を握ることになる
2人の会話で紹介した13歳で大学医学部に入学した彼女は「ギフテッド」です。すでに、3歳の時に母親がその能力の高さに気が付いたようです。小学校に通わせたものの、頭が良すぎたため、周りからからかわれ、それがいじめに発展したそうです。
実は、日本でもそういったことがいくつか報告されています。NHKが2年位前に「ギフテッド」の特集番組を放映したことがありましたが、やはりいじめから不登校、ひきこもりという「ギフテッド」の子もいるのです。ただ、それは社会から見れば、大きな損失なのです。
ただ、これからの時代は「ギフテッド」をいかに見出し、育成し、社会システムの中に彼らをどのように組み入れるかが国家戦略として重要になります。そのことに気が付いて、取り組んでいるのが、アメリカとイスラエルです。
その子の志向が何なのか、それを見極めるのが一番難しい
将棋の藤井聡太5冠、史上最年少の10歳でブロ囲碁棋士となった仲邑菫さんも「ギフテッド」です。大谷翔平選手も野球分野の「ギフテッド」であることは間違いないでしょう。「ギフテッド」というのは、いわゆる「勉強」に限らないのです。
彼らを見れば分かると思いますが、才能を開花させるための「触媒」がどうしても必要です。ただ、文化、芸術、芸能、スポーツは比較的分かりやすいのですが、学問関係は非常に分かりにくいと思います。単純に頭が良いということだけでは、分からないからです。数学なのか、言語学なのか、思想なのか、彼らの志向とマッチしなければ上手くいきません。そこが実は難しいところです。「千里の馬は数あれど、伯楽世になし」と昔の人は詠みましたが、志向とマッチせずに埋もれた「ギフテッド」がかなりの数に上っていると思っています。
それを取り逃がすのは、国家の損失なので、探し出して育成するプログラムを開発する時代に入ったということです。他の国が先駆けて、「ギフテッド」が量産されれば、その国が世界をリードすることになります。そして、それは場合によっては、日本がその国の支配を受ける可能性も出てくるということです。
世界は喰うか食われるかという時代であり、そこを現在進行形で生きていることを忘れない方が良いということです。
(「故事・ことわざ、慣用句辞典オンライン」)
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