
「相も変わらず不登校が多いです。10月に小中生の不登校生徒が35万人で最多になったと報じられています。小学生のお子さんが2人おられますけど、どのように感じられていますか?」

「ウチは高学年と低学年に一人ずついますが、不登校にだけはなって欲しくないと思っています」

「働けなくなりますからね」

「不登校児の親の5人に1人は離職をしたそうです」

「中学生ならまだしも、小学校の低学年の子どもを一人で置いておく訳にはいかないですからね」

「とにかく、学校にだけは行ってねと子供達には言い聞かせています」

「心配ですよね。今や、中学生の15人に1人が不登校です」

「しばらくは心配しなければいけないということですね。ただ、どうしてこんなに不登校が増えたのですか?」

「原因があるから、このようなことになっているのです。ただ、文科省は原因をきちんと把握していません。そのため、旧態依然とした教育をこれからも行おうとしています」

「その辺りを探っていきたいと思います。ここからが本論です ↓ 表紙は「note」からです」
「何のために生まれて 何のために生きるのか」――現代教育が欠落している視点
近年、不登校の児童生徒数は急増し、35万人を超えて高止まりの状況にあります。この現象は、単なる個別の心理的要因によるものではなく、日本の学校制度そのものに構造的欠陥があることを示しています。
最も大きな欠落は、思春期の子どもたちが「自分は何者か」「どのように生きるのか」という根源的問いに向き合う機会を奪われている点にあります。それが実は人間が生きる上で一番重要なことです。アイデンティティの概念を提唱したエリクソンは、この確立を青年期の課題だとしたのです。
現代社会は、地域共同体の弱体化、家庭の多忙化、SNSによる人間関係の疲弊などにより、かつて地域が担っていたアイデンティティ形成機能がほぼ消滅しました。しかし、学校は依然として従来型の「一律・一斉教育モデル」を維持し、知識習得を中心に据えたままです。この「社会変化」と「学校構造」の大きな乖離、つまり子供達を取り巻く社会環境が大きく変化したのに、それに対応して学校の組織や教育内容を変えなければいけないのに、それを怠っています。これこそが、不登校増加の根本原因です。

(「shigaakihito.com」)
中央集権的教育行政が改革を阻んでいる
本来、学校は地域の文化や社会構造、子どもの特性に応じて柔軟に運営されるべきです。しかし日本の学校は、文部科学省が学習指導要領を基幹とした教育内容・時間割・評価体系まで事細かに規定する中央集権的制度の下に置かれています。
公立学校は国の画一的統制のもとにある「下請け組織」と化しており、地域差や学校差を反映したカリキュラムを編成する裁量を著しく欠いています。こうした構造では、子どもの多様性や地域差に基づく柔軟な教育は不可能です。
たとえば、過疎地と都市部では子どもが置かれた生活環境も人間関係の構造も全く異なりますが、提供される教育はほぼ同一です。また、学校が独自に「仲間づくり」「遊び」「対話」「自己理解」「地域学習」などの人間形成プログラムを組み込もうとしても、教科時数の縛りが強く、本質的改革に着手できません。時代遅れの中央集権教育行政こそが、今日求められる教育改革の最大の障壁になっています。

(「NPO法人一新塾」)
改革の基本理念――アイデンティティ教育を教育の中心に据える
これからの学校は、知識詰め込み教育ではなく、「自分をつくるための場」として再設計されなければなりません。そのために必要なのは、アイデンティティ形成を教育の中心理念として据えることです。アイデンティティ教育とは、子どもが「自分の特性・価値観・強み」を理解し、「どう生きるか」を主体的に選び取る力を育てる教育です。その実現には、以下の4つの柱が不可欠です。① 仲間づくり(協働性):多様な人と安全に関わる経験を積ませる。② コミュニケーション(対話性):自分の考えを言語化し、他者と調整する力を育てる。③ 遊び・体験(実感性):身体性や創造性を通じて感情・関心を育てる。④ 自己理解(内省性):自分の特性、価値観、生き方を問い直す習慣を育む。
これらは、かつて地域共同体が自然に提供していた経験ですが、それが失われた現代では、学校が意図的にカリキュラムの中に組み込んで、それ取り戻すしかないのです。アイデンティティ教育を実効性あるものにするためには、学校現場の裁量拡大という制度改革が不可欠です。以下、具体的な方向性を素描的に示したいと思います。
学校組織の柔軟化―― ①学級担任制を緩和。②チームティーチングを意識的に採り入れる。③個別最適・協働学習。④異年齢グループを意識的に作る。子供は異年齢集団の中で成長します。とにかく、画一的な教室構造をほぐすことを主眼とします。そして、地域の様々な団体と交流ができるような態勢をつくります。
子どもたちが不登校に追い込まれる最大の原因は、社会が変わっても学校が変わらないという構造にあります。現代は簡単に知識を得ることができます。それをベースにした教育を展開しても、今の子どもたちを惹きつけるのは容易ではありません。学校は“知識の供給装置”から“人間形成の共同体”へと転換しなければなりません。その鍵を握るのが、アイデンティティ教育です。そして、その実現の障碍になっているのが、文科省主導の中央集権的教育行政です。地域の多様性に応じた柔軟なカリキュラムこそが、子どもが自分の人生を切り開く力を育て、学校を再び「居場所」として機能させる最大の条件となるのです。そうすれば、「人が育つ学校」への転換が進み、不登校も自ずと減少していくでしょう。

(「www.ibmjaapankenpo.jp」)
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