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「いじめ」最多件数を更新 / 教育再生と地方創生は、同じ「土俵」で考えるべし

女性

「今日の新聞各紙3面記事のトップは「いじめ」問題でしたね」

「今は「問題行動・不登校調査」と言うのですね。両方とも、年々増えています。どうするのか、という感じになっています」

女性

「2019年度に全国の小中高校などで認知されたいじめが前年度比12.6%増の61万2496件だったことが分かりました。それから、30日以上欠席している不登校の小中学生は10.2%増の18万1272人で、7年連続の増加です」

「すごい数ですね」

女性

「言い忘れましたが、不登校の児童生徒のうち55.6%は90日以上欠席をしていたとのことです」

「90日というのは、すごい数です。約4か月ですから学期の間すべて休んだということです」

女性

「まず、その深刻さを社会全体で共有することが大切ではないでしょうか。自分の子供が学校に行かなくなったらどうするか、ということでわが身に起こったこととして考えて欲しいです」

「結果があるところに原因があります。ただ、原因が複雑に絡み合っていようと、必ずその糸をほぐすことができるはずです」

女性

「グラフを見ると、平成23年度を境に急激に「いじめの認知件数」が増えています。その辺りの原因を分析していますか?」

「それは多分、周りの問題だと思います」

女性

「周りの問題というのは何ですか?」

「今まで普通の喧嘩と思っていたものを、いじめではないかということで周りが気にし始めたということではないでしょうか」

女性

「こういう問題は、「慣れ」が一番恐いと思っています。異常なことが続くと、それが慣れによって当たり前のような感覚になります」

「そうならないためにも、常に問題意識をもって子供たちの様子を見つめる努力をしていくことが大事だと思います」

女性

「ここからが本論です ↓」




 いじめの遠因は、地域の崩壊に伴う、地域の教育力の低下にある

原因があって結果があります。原因のない結果はありません。この世界は、因果関係で結ばれている世界だからです。

いじめの問題も同じです。現在、最多件数更新中です。ただ、現在が天井地点にあたるかどうかは誰も分かりません。原因が究明されず、問題状況がそのまま放置されるならば、いじめの件数はさらに増えることになります。だから、俯瞰的な立場から冷徹にその原因を分析し、一刻も早い対策を立てることです。

対策ですが、教育の場合は、対症療法的な発想では上手くいきませんそこが教育問題の難しさなのですが、それが社会的に認識されていません。例えば、『日経』の社説の表題は「いじめ対策、法令順守徹底を」(2020.10.23日付)です。これを読むと、道徳教育をしたり、学校での法教育をしたり、いじめ対策防止推進法を守ればいじめがなくなると思っているきらいがあります。
いじめは構造的に起こっているので、対症療法的な発想で対応すべき問題ではありません。

ところで、いじめという現象が、現代において急激に増えているのは何故でしょうか遠因は地域の崩壊に伴う、地域の教育力の低下にあります人間、特に子供を捉える時は、その子供を見つめると同時に、その子の関わるべき空間を考える必要があります。人間は機械ではないからです。機械であれば、ピンポイントで故障した箇所を直すべく対処すれば元に戻ります。そうならないところが人間のやっかいなところであり、複雑なところなのです。

 

 地域の崩壊を招いた大きな原因は学校統廃合


地域の崩壊を招いた原因として、最も大きな原因は学校統廃合です。全国にあった公立小学校のうち約5200校が平成の初めから現在の間になくなっています。それを30余年で割ると、半年に1校の割合で小学校を潰してきたということです

 学校統廃合を推進した方々は、小学校が地域の中心的な施設として重要な役割を果たしてきたこと、そして地域興(おこ)しにいかに貢献してきたのか、という歴史的な事実が全く分かっていないと思っています。

同じ地域に住んでいるからといって人間関係が深まる訳ではありません。何か媒体になるものがなければ、人は近しくなりませんし、組織はまとまりません。子供、学校という媒体があるので、親同士が学校の行事や子供の人間関係を通じて結びつき、それが地域に根を張って一つの有機的な共同体としてまとまっていくのです。

そして、人間がつくる組織は、関わる人間が多ければ多いほど、長い時間が経過していればしているほど強固になるという性質があります関わった人々の思いが、組織を強くするからです。学校統廃合というのは、せっかく強固な地域になりかけたものを、壊す作用があったのです。地域を基盤に人間関係が築かれて、地域の人たちに包まれて子供たちが成長できるような態勢があれば、いじめや不登校は起きにくくなります。多くの卒業生によって支えられるような学校づくりをする必要があるのに、伝統校を廃校にするという愚策を戦後になって繰り返してきました。

小規模校を廃校にして、学校統廃合を現在も進めています。時代錯誤の政策なので、世論の力でやめさせる必要があります今や時代は、逆に小規模校を多く作り、その子にあった教育を個別に与えることを考える時代です。オンライン授業やデジタル教材などを駆使して教育を立体的に考える必要があります。不登校の子や保健室登校の子、更には外国人の子弟の教育問題があります。彼らにも教育を受ける権利があります。技術的に可能になってきたので、彼らの元にオンラインを駆使してでも授業を提供する必要があります。そういった発想の転換が必要です。

 

 「子どもを育てるためには、一つの村が必要」―— 児童・生徒を導くために地域が一体になる

「子どもを育てるためには、一つの村が必要」――これはアフリカのある国の諺です。鳥や動物は、親子関係だけで一人前の大人に成長します。人間という高度で複雑な生き物は、それだけではまともに成長しないと考えた方が良いと思います。唯物論的に食わせて寝かせて、勉強を教えていれば普通にまともな大人になるだろうと思うかもしれませんが、そうではないのです。

その証左がいじめや不登校の数として表れているのです。子供は社会を映しだす鏡です。病的な社会状況であることを、いじめや不登校という本来あってはいけない事例の数字をしっかり見つめる中で、自覚する必要があるのです。

『日経』の社説「検証が必要なのは、いじめ対策の柱として国が導入した道徳教育の効果だ」とあります。この社説を書いた人は、道徳の教科書を真面目に読んだのでしょうか。疑問です。

教育を対症療法的に考えてはいけないと先に言いましたが、道徳の教科書を読ませた途端にいじめが減る訳ではありません。何故か。一言で言えば、人間は機械ではないからです。頭だけで考えると、道徳は人間の生き方を教えること、正しい在り方を学校できちんと教えていれば、いじめなんかしなくなるはず、と考えるかもしれませんが、必然的にそうなるとは限りません。

では、ならないのかと言われれば、なるかもしれないと言うしかないのです。つまり、人間を良き方向に導くためには、いろんな要素を組み合わせたものをその子に与え続ける必要があるのです。人間関係がある程度整った地域の存在、指導力ある教師の養成、子供たちの心の琴線に触れるような内容を伴った道徳の教科書と授業、クラスの中の人間関係、学校と親との信頼関係など、様々な条件が揃って始めて子供たちは健全に育ちます。何か一つ与えれば、急に目覚めて善人になる訳ではないのです。現実は漫画の世界と違うということです

読んでいただき、ありがとうございました。

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