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日本の学校教育で足りないもの (2) —— 金融教育 / お金の運用を親が教える時代 ―― ピケティの法則( r > g )

「今日は金融教育のことをお話ししたいと思います」

女性

「昨日は、金銭教育でしたよね。どう違うのですか?」

「金銭教育というのは、お金の使い方と収支の管理、その2点が主な内容です。金融教育は持っている資金の運用とその仕組みや理屈を学びます」

女性

「いわゆる、財テクですか?」

「財テクという言葉の響きが良くないので、余り使いたくないのですが、簡単に言えばそういうことです」

女性

「経済の勉強をする時に、金融の勉強をすると思うのですが……」

「小学校では習いませんが、中学高校で関連がある科目で言うと公民、高校現代社会、高校政治経済ですかね」

女性

「それでは、不充分だということですよね」

「というか、貨幣の役割から始まって、日本銀行だとか株式会社といった基本事項を教えて終わりという感じになっています」

女性

「それだけでは足りないということですか?」

「金銭教育もそうなんですが、主体的にお金と関わることができるようにする必要があります。例えば、起業教育ということを言いますが、金融の基礎的な知識はどうしても必要です」

女性

「それで今、ふと思ったのですが、金融を勉強するとお金の流れが分かり、どこに投資すれば良いとか、どの土地が値上がりしそうとか分かってしまうのでしょうか?」

「経済や金融の勉強をしたからといって、未来予測は出来ません。なぜなら、経済や金融は生き物だからです。だからどんなに経済学が発展しても、次の日の金融市場の予測はできないと思います」

女性

「生き物である経済や金融の生態を、まず知ることから始めようということなんですね。ここからが本論です ↓」

 世の中には3通りの人間がある――倹約家と浪費家と、あとは……

『自助論』に政治家コブデンが労働者を前にして「古来、世の中には二通りの人種がいる。金を貯める人間と金を使う人間――すなわち倹約家と浪費家だ」と言ったという話が紹介されています。

これを今の時代に合わせて言い換えるとすれば、金を貯める人間と金を使う人間そして、金を運用する人間の3種類がいる、となります。そして、この3種の人間のうち、一番お金を多く手に入れる人種は、誰なのかと言うと、最後の運用する人間になります。それについては、今から5,6年前にフランスの経済学者のトマ・ピケティがそのことを明らかにする法則を発表しています

トマ・ピケティという方は、22歳でロンドン経済学校で博士号を取得し、米マサチューセッツ工科大学で教鞭を取り、パリ経済学校設立にも携わったという人です。その彼が『21世紀の資本』という700ページを超える学術書を出したところ、大変よく売れて話題になりました。日本でも発売されていますので、その本を見た人もいるのではないかと思います。

 その中で明らかにした公式が r > g という非常にシンプルなものです。これは何なのかということですが、r は「return(資本収益率)」を表しています。資本収益率というのは、資金を株や土地、マンションなどに投資して、そこから得られる収益の割合ですg は、「growth(経済成長率)」を表しています。労働者の賃金は、この「growth(経済成長率)」にほぼ比例して動きます。

だから実際に日本の経済状況を思い浮かべて頂ければ納得できると思います。ここ近年は低成長経済なので、春闘で組合側から賃上げ要求が出されても、経営側は首を縦に振っていません。最低賃金の額は、法で定めていますが、近年横ばい状態なのは、経済が成長していないからです。

ピケティはこのシンプルな法則を導き出すために、約15年かけて、約300年間の世界経済に関するデータを分析したそうです。そして、21世紀の後半にかけて、rは4~5%、先進国のgは1.5%位ではないかと予想しています

 ピケティの法則( r > g )が意味するもの

 ピケティの公式( r > g )を見て気付かれた人がいるかもしれませんが、資本主義市場経済が続く限り、格差がどんどん広がることを意味しています。うさぎとかめの童話があります。「かめ」が労働者でコツコツ働いたとしても、「うさぎ」が資金を運用した場合、「うさぎ」は寝ていても「かめ」に勝つということを、この公式は示しています。

(「www.ac-illust.com」)

先日の12日ソフトバンクグループの孫社長が決算を発表し、純利益が4.9兆円になったと発表しました。これはトヨタを抑えて国内企業最高の利益です。ソフトバンクは投資会社です。約500社に投資をして、収益を上げたのです。トヨタはモノづくりの会社です。トヨタが「かめ」で、ソフトバンクが「うさぎ」になります。やはり、現実の世界では「うさぎ」が勝ってしまうということです。

そして、今までの経済理論によると、所得再分配機能により格差が自動的に調整される働きがあり、経済的な不公平はやがて是正されるという説明が教科書に載っています。しかし、そうはならないというのが、ピケティの公式から示された結論です。

 格差拡大社会を前にして、個人が考えること

それでは、どうすればいいのでしょうか。国レベルで考えると、金融で上げた収益について多くの課税をする必要があるということです

それから、個人レベルの生き方を考える場合は、「 r 」を考えた経済生活を組み入れなければいけないということです。そうしないと、差がどんどん広がるということを公式が示しています

かつての時代であれば、労働者はいつまで経っても労働者としての生活を送るしかなかったのかもしれません。だから、労働者階級という言葉が生まれたのでしょう。ただ、現代は0円から起業できますし、数百円あれば株投資もできます。つまり、スマホと銀行口座が開設できれば、あとは500円コインあれば株投資できます。もちろん、大した利益にはならないかもしれませんが、練習だと思って資金を運用し、孫社長のように大きな資金を最後に動かすようになれば良いと思います。

「r」に回すようなお金がないというのであれば、これは働くしかありません。ただ、働き方を工夫する必要があります働きながら何か資格を取るようにして、自分の労働価値を高めるとか、副業を見つける、転職を考えるなど、収入を増やして元金を作ります。

この資本主義市場経済は、どのように生きても自由ですが、経済生活というのは、基本的には弱肉強食の世界です平等、権利という概念は、政治の世界の話です。政治的には平等に扱われる必要がありますし、それは権利ということで主張しても構いません。しかし、経済生活の分野においては、競争をしているという自覚が必要です。だから、時には「かめ」になり、時には「うさぎ」になったりして、様々な役を巧みに演じて競争に勝つように努力してみて下さい。「団結、オー」とやっている暇があったら、自分を高める努力をします。労働生産性が高まっていないのに、つまり収益が上がっていなければ経営側は賃上げに応じるはずがありません。時間があったら、ギグワークもよし、市場動向調査でも良いでしょう。とにかく、次に繋げることを考えます

(「LINE Corporation」)

そのような現実を子供たちに教える必要があります。それぞれの家庭ならではの金銭教育、金融教育を工夫して行ってみて下さい。くれぐれも、学校教育には期待しないようにして下さい。

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