「言葉は嘘つきだ、という言い回しを知っていますか?」
「言葉は信用できないという意味ですよね。私も長い人生の中で、痛い目に遭っていますので、分かります」
「人の本音を知るためには、言葉ではなく行動を見るべしということです。言葉に惑わされてはいけないということです」
「何か今日は少し熱っぽく語られますが、何かあったのですか?」
「菅総理がベトナム、インドネシアを訪問したのを見て、ふと頭に浮かんだ言葉が冒頭の言葉だったのです」
「総理大臣に就任して最初の外交先ですよね」
「東南アジア諸国を最初の外遊地に選んだというのは異例だと思いますが、彼の問題意識がそこに凝縮していると考えることができます」
「南シナ海、東シナ海に気持ちが向いているということですね」
「彼の頭の中には、海洋進出を企む中国に対してどうするかということがあると思います」
「今日、現地のインドネシアでの記者会見の内容を聞いて、私もそう思いました」
「かつての中国とは違います。世界第二位の経済・軍事大国です。そことどのように対峙していくのか、頭が痛いと思います」
「その問題意識を共有してくれる国ということでベトナムとインドネシアを選んだのですよね」
「日本だけで立ち向かえる相手ではなくなったですからね。国内でまとまらなくてはいけない段階に入ったと思います」
「野党は対立路線を貫こうとしています」
「殆ど、時代錯誤的な対応です。本来は、ここで学術会議が国のあるべき方向性を指し示すことができれば良いのですが、『Hanada』の花田編集長の言葉を借りれば、日本共産党に乗っ取られた団体です。期待は出来ないということです」
「ここからが本論です ↓」
菅総理の最初の訪問地が、ベトナム、インドネシアーーその理由
安倍総理の最初の訪問先はロシアでした。北方領土問題が彼の頭に強くあったと思います。ただ、相手が悪かったのです。一癖も二癖もあるプーチン相手に翻弄されたというのが私の感想です。一癖二癖ではなく、二癖三癖という人がいるかもしれませんが、殆ど成果らしい成果もなく、今から考えると、手のひらの上で完全に踊らされたと思っています。
安倍さんはプーチン大統領との個人的な信頼関係を作ったと言っていましたが、あくまでも経済協力ありきの話だと思います。そして、彼らの考えは、それをエサにして日本と話合いをして、経済協力という名目で極東地域を開発させれば良いだろうという程度のことしか考えていなかったのだと思います。
従来の日本の総理であるならば、最初の訪問地はアメリカ、中国、韓国あたりから入ると思うのですが、予想に反してベトナム、インドネシアでした。多分、一番驚いたのがベトナム、インドネシアの国々ではなかったかと思いますが、中国の南シナ海への進出を最も懸念している国ですし、その点で日本と共同歩調がとれると思ったのでしょう。
中国は南シナ海のほぼ全域を囲むように、9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、「自国の領海だ」と強弁しています。行っていることは海賊国家と同じで、完全に国際法を無視しています。最近は、尖閣諸島は自国の領土と言い始め、日本の領海内に侵入をし始めています。玉ねぎの皮を剥くように、少しずつ入り込んできています。
今回の外遊に先立ち、東京で日本と米国、オーストラリア、インドの「4か国外相会議」を開いています。それについて、マイク・ポンペオ米国務長官はNHKのインタビューで 「これは米国vs中国という問題ではなく、『自由』と『専制政治』のどちらを選ぶかの問題だ」と語りました。自由で開かれた社会を維持するために、その協力国として選んだのがベトナム、インドネシアということなのです。
巨大国家に成長させた原因をつくった第一の責任者はアメリカ
今の中国はこれだけの国が集まってもへこたれるような国ではありません。もっとも、これだけの巨大国家に成長させた原因をつくった第一の責任者は何と言ってもアメリカです。第二は、その後を追いかけた日本です。皮肉なことに、自分たちが蒔いた種が大きくなって、その蔦(つた)が我々の足元に絡み始めているのです。政治家に大局観がないと、こういった大きな過ちをするという見本のようなものです。
愚痴を言っても仕方がありません。対策を考える必要がありますが、中国の発展の原動力は何でしょうか。マスコミはそういった根源的なことを記事にはしない、と言うか日本人は何故かそういった分析的思考を余りしません。感覚で動いてしまうのが、日本人の特徴なのです。ただ、中国と対峙していくためには相手のことを冷徹に分析する必要があります。それは丁度スポーツで相手に勝つためには、相手の戦力分析が欠かせないのと同じです。
そもそも今から15年前の2005年、GDPランキング1位アメリカ(12.5兆ドル)、2位日本(4.5兆ドル)、4位中国(2.2兆ドル)でした。この中国をアシストしたのはアメリカであり、日本だったのかもしれませんが、中国国内を見ると人口の5%にあたる約6500万人の優秀な若者たちが必死に努力したのです。
日本の大学はレジャーランド化が進み、大学全入に向けて進んでいた頃、中国の大学では、勉強し過ぎて体をこわす学生が増えたので、11時になったら大学を閉めることを決めた位です。中国の学生たちは、豊かな暮らしをするために、家族を楽にさせたいために知識と技術を身に付けようとしたのです。もちろん、中央政府の方針により、優秀な学生は国費でアメリカ、ヨーロッパ諸国に留学をさせたのです。個人の気持ちを国家が上手く利用して、国の発展に結びつけたのです。
日本が考えるべきことはエリート教育による人材の育成
何でも自由な国の日本、政府機関の学術会議が反日組織になっているようでは話になりません。そして、野党も共産主義者と結託して政権の足を引っ張ることしか考えていません。こういう状態を変えていく、そして人材育成を考える必要があります。
組織というのは、必ずその組織を引っ張る中心メンバーがいます。いない場合は、たぶん組織は潰(つぶ)れます。国も組織なので同じです。潰さないためには、選び抜かれた精鋭部隊が必要です。それを意識的に育てる時代になりました。中国という巨大なライバルと対抗するためには、どうしても考えなければいけなくなったのです。
項目だけ上げさせてもらいます。
- 高い倫理観と他人への思いやり。
- 知識と教養、基礎学力を兼ね備え
- 課題を発見し、自分で解決の筋道を考え、実行する力
- コミュニケーション力を兼ね備え、チームワークを大事にする
そんな人材を意識して養成する必要があります。エリート教育の導入でしか、今の窮地を脱することはできないと思っています。口で言うのは簡単ですが、大変だと思います。やり方は少しずつ輪を広げるようにします。急に、そのような人材を一度に多く輩出しようとするのは無理です。人間は機械ではないからです。
ただ、すべては人づくりから始まります、戦国武将の武田信玄はいみじくも言っています。「人は石垣、人は城」と。先人の至言を思い起こす時代なのです。
読んでいただき、ありがとうございました。
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