「3回にわたって明治維新を振り返ったのですが、今までのイメージとは変わってしまいました」
「良くなったのですか? それとも、その逆ですか?」
「少し悪くなりましたね。明治に入って「西洋かぶれ」に日本が罹ってしまったのかなと思いました」
「実は、明治4年に岩倉使節団が派遣されます。条約改正を名目に薩長の中心メンバーが米、英、仏、独、露に行きますが、107人の大所帯の上、1年10か月にわたる長期派遣だったのです」
「それで肝心の条約改正は出来たのですか?」
「改正の見込みがないのに多額の税金を使って大勢で出掛けて成果はありませんでした。その時の派遣で政府メンバーは「西洋かぶれ」になった気がします」
「成る程、いろんな観点から歴史を紐解くと面白いですね」
「それで今日は病気や健康という視点から、食の歴史を振り返ってみたいと思います。縄文の頃に遡りたいと思います」
「縄文というと、1万年位前ですよね。全く想像できないですが、だけど確実にあったのですよね。比較的豊かな時代と言われるようになったと聞きましたけど……」
「当時の人たちのことが遺跡の発掘からいろんなことが分かるようになりました」
「食料事情が良かったそうですが、何でそんなことが分かるのですか?」
「骨の発育とか骨密度で分かります。そして、それと貝塚から出て来るものと合わせれば何を食べていたか分かります。狩りをして魚を獲って、植物や海藻を食べていたことが分かりました」
「栄養のバランスが良さそうですね」
「骨の発育が良く、骨格もしっかりしているので、意外と現代人よりしっかりしていたかもしれないと言われています」
「毎日、野山を駆け巡っていますものね」
「だけど寿命は短かっただろうと言われています。老人の骨が殆ど出てこないのです。そんなところから分かります」
「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「株式会社 明治」提供です」
縄文時代でも安定した定住生活 ―― 三内丸山遺跡
健康であれば、長生きというのが現代社会の方程式ですが、当時は狩りで動物に襲われる、他の部落との抗争、伝染病の流行などで命を落とすケースが多かったと思われます。医者がいない時代ですから、仕方がありません。
三内丸山遺跡(青森県)は縄文の中頃の遺跡ですが、定住生活をしています。住居周辺には川や海もありますので、そこで獲れる魚、山で獲れる山菜や木の実など食料事情は良かったと思われます。
大陸から稲作が伝わるようになり、定住が進みます。それと同時に食糧の確保が容易になりますので、寿命は延びますが骨格は縄文時代より弱くなっています。これは米が獲れるようになり澱粉を多めに摂取するようになったのと、かつてのように野山を駆け巡ることが少なくなったためではないかと言われています。
(「青森観光コンベンション協会」)
華麗な生活のように見えて、実際には不健康な生活 ―― 平安貴族
平安時代の貴族は、歴史的に最も短命な人々ではなかったかと言われています。彼らは、室内で殆どの時間を過ごし、身体を動かすのは蹴鞠をする時くらいです。ただ、蹴鞠はその場で足を動かすだけなので、大した運動量ではありません。男性ですらその程度なので、女性は全くと言って良い程運動をしていなかったようです。
入浴して全身を洗うこともなかったので、皮膚は不潔であっただろうと言われています。平安京は海から遠かったので、生ものは食べることは出来ず、乾燥品が多かっただろうと言われています。
栄養に偏りがありがちで運動不足。皮膚が不潔状態なので天然痘や皮膚病に罹りやすく、結核や脚気に罹る人も多かったのこと。平安貴族の平均年齢は男32歳、女27歳という数字が出ています。華麗な生活のように見えますが、不健康な生活だったようです。そんなことから政権がやがて武士階級に移ることになります。
(「イラストボックス」)
武士の時代になり米の品種改良が進み、生産量も上がる
武士の食事は玄米食が普通でした。そのため、カロリーやビタミン不足はなく、戦場に行く場合は、味噌、梅干し、かつおぶしといった保存がきくものを持って出掛けたと言われています。
白米、清酒、砂糖が登場するのは、中世から近世にかけてです。白米を武士が口にすることが出来るようになったのは、人糞のお陰と言われています。『古事記』には人糞を示唆する話が載っているのですが、古代の人たちは稲や田を神聖視していましたので、そのようなものを撒くことに抵抗感があったのです。
ところが武士が活躍する戦乱の時代となり、石高が重要となります。少しでも多く収穫したいということで、背に腹は代えられないということで人糞を使い始めます。その結果、多くの米が獲れるようになったとのことです。水で栽培する穀物は、水と共に肥料も吸収するので多収穫になるそうです。品種改良も進み、戦国の半ば頃には96種の品種がすでにあったと言います。日本人の研究熱心さは昔からあるのですねる
(「日本お米協会」)
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