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急速に進む「円安」 ―― 何のリアクションもなければ150円にいく / 金融関係者には、複眼的な能力が求められる

「前回の続きと思ったのですが、為替の変動が急激に動いているのと、鈴木財務大臣の昨日(9/7日)のコメントを聴いてこりゃダメだと思い、急遽今回は円安問題について話をしたいと思います」

女性

「145円を睨む動きと言われていますが……」

「何らかのリアクションをしなければ、すぐに150円になると思っています。」

女性

「急激な円安は困るのでしょ」

「とにかく為替レートは円高にしても円安にしても企業にとって急激な変動は困るのです。喜ぶのは、為替ディーラーくらいのものです。そして、彼らは各国の金融担当の要職にある人がどういう発言をするのか、常に聞き耳を立てているのです」

女性

「昨日は記者たちが鈴木財務大臣にコメントを求めていましたが、彼の応えを注目していたということですか」

「だから、彼がコメントを工夫すれば円安の流れを止められるかもしれないのに、真正直なことを言うから、ディーラーは安心してドル買いをしてしまうのです」

女性

「その結果の円安の進行ということですか? そんなに影響力があるのですか?」

「具体的に説明しましょう。例えば、1000万ドルの資金を動かすことができるディラーまたはファンドがあったとします。1円の変動で約千万円の利益となります」

女性

「逆に損をすることもあるということですね」

「その通りです。天国か地獄か。真剣にならざるを得ません。だから、逆にディーラーが迷うような発言をするのが正着なんです」

女性

「私は聞いていなかったのですが、何て発言されたのですか?」

「記者団に囲まれて、今回の急激な円安は好ましくないと応えると、記者の中から為替介入とかを考えていますか、という質問が出ます。こういう時に、政府としては想定外の円安なので、為替介入、金利引き上げなどを日銀と協議をしなればならないかなと思っている、というようなコメントを出すのが望ましいのです」

女性

「彼は何て答えたのですか?」

「影響が大きくなるようなことを、ここで応えるのは差し控えたいというようなことを言ったのです」

女性

「もう少し、余韻を持たせた方が良かったということですね。チャンスを逃した訳ですね」

「もともと日銀の黒田総裁は頑迷な低金利保持論者です。記者たちも黒田総裁にコメントを求めても従来通りの答えしか返って来ないだろう。だから鈴木財務大臣に向かったと思うのですが、彼のコメントを聴いた各国のディラーたちは、何の心配もせずに円を売ろうと決めたと思います」

女性

「成る程、一つの言葉が大事ということですが、ただ疑問なのは、そういう曖昧な言葉を発しても良いのですか」

「政治と経済は違う原理で動きます。政治家の中には、そういうことすらよく分かっていない人が結構います。政治的な課題について、曖昧な発言は基本的に許されませんが、経済、特に金融関係は言葉をぼかした方が良いのです」

女性

「ディーラーを迷わすくらいの方が良いということですね。その辺りを含めて、本論で深めたいと思います。ここからが本論です ↓表題のイラストはRecord Chinaの提供です」

 為替レートは経済力の関係が分かる指標

為替レートは、様々な要因で変動するものです。ただ、基本的には国同士の経済力の力関係が数字として表れます。経済力が弱ければ円安になりますし、強ければ円高が進行します。ただ、経済の指標が表に現れるまでに一定のタイムラグがあります。つまり、今の円安の原因は過去の10数年以上にわたる経済活動が呼び込んだものです

つまり、この円安は日本売りの側面が多分にあるということです。どうして、日本が売られるのか。一言で言えば、日本としての戦略がきちんとまとまっていないからです。要するに、日本という国を一つの有機的な組織と見た場合、国としてのまとまりも含めて、アイデンティティが確立されていません。

高度経済成長を達成した時代は、平和な技術大国であり輸出立国というアイデンティティが確立していたのです。観光立国という一つの目標を立てようとしたこともありましたが、コロナ禍で頓挫してしまいました。そういう、他律的、季節的なものではなく、世界をリード出来るような生き筋を確立する必要があるのです

(「NHK」)

 金融関係者には、複眼的な能力が求められる

金融関係に携わる人には、複眼的な能力が求められます。金融というのは、言ってみればカネの流れに過ぎません。そんなことから、ともすると軽視される傾向があるのですが、その流れを予測するのは、天気予報より遥かに難しいのです。

ただ、そのように難しいのは確かですが、基本的な「公式」があります。金利が高いところに通貨は流れ、経済力の強い国の通貨は高くなる、というものです。ドル金利が高く、アメリカの経済力の方が日本より強いという変数を「公式」に当てはめると、円安という答えが出てきます。至極当たり前の結論なのです。

ここにきて、「円安倒産」が出ています。8月で7件発生したとのこと。何も対策を立てなければ、確実に増えます。ただ、そういうことを言うと、最近の政府は支援金をバラ撒くという社会主義的な発想に行き当たります。そういった対症療法的な発想では、世界の競争社会の中を生き抜くことは出来ません。

きちんとした国家戦略を立てて、未来を見据えた政策を立てる必要があります。そのためには、金融や財務の関係者は複眼的な視点を持って欲しいと思います。特に国際金融の部門では、中国の資本の流れを絶えず意識する必要があります。アメリカはそういったものを見据えた上で、インフレ退治を口実に金利を上げているのではないかと思っています

(「yomiuri.co.jp」)

 中国では、かつてない程の資本逃避が起きている

今、中国ではかつてない程の資本逃避が起こっています。資本と人間は「自由」を求めて移動しますので、当然と言えば当然かもしれません。香港に対する強権的な統治に加えて、ゼロコロナ政策による金融センターの上海のロックダウン。そして、ここに来ての不動産不況とも言うべき事態の発生の中で金利を引き下げたのです。

中国はかなり頭の切れる人間がその統治に携わっていると思っているのですが、中国は自らの経済的力量をよく認識しているので、今までアメリカの金利より少し高めに設定していたのです。そうすることによって、自国通貨を守っていたのですが、ここに来て守り切れなくなっています。2022年の4月以降は、米国債の利回りが上昇して、中国の金利と逆転したのです。そういったこともあり、中国本土からの資本流出が進み2022年の1月と4月を比較すると1019億ドルの減少となりました。

2015年には、アメリカは中国に対する配慮で、利上げを止めた経緯があります。ただ、今はそういう配慮をする気配もありません米中対立時代に本格的に突入しましたアメリカが金利を一つの武器にして中国を金融面で攻撃し始めている、というのが私の認識です。

日本の金融当局者は、そういったことを含めて世界の大きな流れの中で、日本の金融政策を考えて欲しいと思います。マクロとミクロの視点、2つ必要です。日本の金融政策は、ミクロの視点でしか考えていません。これでは、カネの流れを立体的に掴むことは出来ないと思います。

(「読売新聞オンライン」)

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