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「春闘」が死語になる時代 ―― 時代は工業社会から高度情報化社会へ

「『いまは三次元変化の時代』という、素敵な言葉に出会いました」

女性

「どなたの言葉ですか?」

「『致知』というオピニオン雑誌の今月号の巻頭言でアサヒビール社友の福地茂雄氏が使っています」

女性

「敢えて、『三次元変化』と命名したのは、どうしてですか?」

「彼の説明をまとめると、あらゆる分野で、変化の奥行きが深く、しかも変化のスピードが速いということです」

女性

「確かに、私も感じます。私が小学校の時は、ポケベルが出て、そのうち携帯電話が出てきて、さらにコンパクトになってガラケーと言われる機種、それも古くなって今のスマホでしょ」

「そっちですか? 成る程、生活実感が伴っているということですね」

女性

「だけど、もうこの辺りで流石にストップじゃあないでしょうか?」

「それぞれ商品が出るたびに、凄いと思ってこれ以上はないだろうと思っていると、しばらくすると誰が考えるのか知らないのですが画期的な新製品が出てくるのです」

女性

「私は中学校が私立だったので、母親がポケベルを持たせてくれたのですが、その時に凄いものが出来たと感動しました」

「今だと、子供のおもちゃレベルですよね」

女性

「ということは、20年、30年経つとスマホが子供のおもちゃになってしまうのでしょうか」

「可能性としては無くはないと思います。実は、自分の脳と他人の脳を通信で接続し、考えたことをテレパシーで伝え合う研究が今年から日本で始まっています」

女性

「えっ、本当ですか!? SFの世界みたいになっちゃいますよね」

「ある科学者がSFで描かれていることは、やがては現実化できるだろうといっていますからね。電気自動車の充電も、走りながら空気中で出来るだろうと言われています」

女性

「文明の機器の発展もそうですが、当然それに合わせて社会や組織のあり様、働き方の変化、労働組合のあり方なども急速に変わる必要があるでしょうね」

「兆しはあります。停滞は許されません。停滞は後退に繋がるからです。今日は、その一断面を紹介したいと思います。ここからが本論です ↓」

 春闘は大量生産・大量消費の工業社会の遺物

春闘は1955(昭和30)年から始まった労働組合と企業による交渉を言います。その正式名称は連合によると「春季生活闘争」だそうですが、なぜ1955年から始まったのか。朝鮮特需が終わり、不況期に突入し企業の人員整理による解雇が頻発しました。それに対抗するために、産業別に労働組合がまとまり連合を形成し、企業側に組合の要求をまとめて訴えるという方式が生まれます

新年度の4月からの賃金を含めた労働条件について組合が企業側に要求をし、交渉を経て妥結をします。労働組合側が企業に要求を提出するのが2月、その回答が企業から来るのが3月頃なので「春闘」と言われるようになったのです。日本の戦後の一つの風物詩なのかもしれませんが、これも10年位で無くなるだろうと思っています。

その理由は、組合側が求める賃金に関する要求の内訳は、ベア(ベースアップ)と定期昇給ですが、これらは年功序列型賃金が前提です。年功序列型賃金というのは、日本独特のものですが、会社に所属する年数によって基本的な給与額が決まってしまうというものです。従って、入社年数が浅い間は仮に能力が秀でていたとしても、周りと同じ「低い」賃金が支給されます。そして、その「低い」部分は長年働くことによって取り戻してもらうという考え方なので、普通は終身雇用制とセットで提示されます。

春闘という言葉は、年功序列型賃金体系を前提にした言葉ですが、それが「風前の灯」なのです。その賃金体系は工業社会の大量生産時代においては有効に作用しても、これからの時代はそれを従業員に一律に適用するのは無理が出てくると考えられるからです。時代にそぐわないものは、商品と同じで新しいものに取り換えられる運命となります。

(「産経ニュース」)

 時代は工業社会から高度情報化社会へ

時代は工業社会から高度情報化社会となり、「同じものを大量にみんなで」作る時代から、製品の差別化とソフトとデータの組み合わせといったことを考える時代となりました企業は従業員に対して、従来とは異なった労働力の提供を求め始めています。今までは、組合の団体交渉で提示すればそれで済んでいたのですが、もうそういったアバウトな時代ではなくなりつつあるということです。

「高齢社会白書」(2021年版)によれば、現在日本の人口の28.8%が65歳以上の高齢者です。今後はこの比率が高まると同時に、生産年齢人口が急速に減少します。それにも関わらず、二人の会話にあるように、高度な科学技術が必要な製品開発が今後も引き続き要請されています。そういった流れを受けて、今後、企業はシニア社員の積極的活用とともに定年制の廃止、さらには能力給の導入などの動きを見せています。

 

定年撤廃
ノジマ 80歳までだった臨時従業員の雇用上限を廃止
YKKグループ 65歳だった正社員定年を廃止
定年引上げの動き
クボタ、三菱マテリアル 65歳に引き上げ
成果主義の導入
昭和電線HD、 60歳以上にも成果主義を適用
カシオ計算機 60歳以上に現役の6等級より細分化した12等級の成果主義を導入

(「日本経済新聞」2021.10.14日付より)

 

 ベースアップという言葉が早晩消えることになる

日本の賃金体系は全体的にまだ年功色が強いのですが、生産性が上がっていないこと、生産年齢人口が減少し、優秀な労働者の取り合いになることが予想されること、さらには老齢でも能力のある社員はいる。以上の3つの理由から、成果主義と言う名の能力給の導入が各企業で進むことになります。それは同時に年功序列型賃金システムの崩壊となります。

ベースアップという言葉がまず早晩消えるでしょう。一律のベースが無くなるからです。そうなると、やがては春闘も無くなるということです。労働組合運動もその中身が問われる時代に差し掛かったということです。

次回は、その辺りを具体的に話をしたいと思います。

(「ten-nabi.com」)

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