
「初任給30万円時代、ということで話題になっています」

「私は生まれるのが、少し早かったかなと思っています」

「ちなみに初任給はどのくらいでしたか?」

「10数年前のことで、よく覚えていませんが、10万円台の後半だったと思います」

「当時は就職氷河期を抜け出した頃ですか?」

「リーマンショック(2008年)があって、第二次就職氷河期に入った頃の時代です。就職先があって、有難いという雰囲気があった時代です」

「それから10数年、お給料は上がりましたか?」

「勤務年数に比例して上げて頂きました」

「新入社員のお給料は、どうなんですか?」

「ウチは中小企業なので、大手のように30万円という訳にはいかないと思います」

「日本は大企業と中小企業の2重構造と言われてきましたが、その構造は変わるどころか、格差が固定、さらには拡大する傾向になってきましたね」

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「日本人材ニュース」提供です」
大卒初任給30万円時代
近年、日本の賃金体系に大きな変化が見られます。特に注目されるのが、大卒初任給の大幅な引き上げです。かつては20万円前後が相場とされていましたが、企業間の人材獲得競争が激化する中で、初任給の相場は急速に上昇しています。特にIT企業や外資系企業では、すでに初任給30万円を超えるケースも珍しくなくなってきました。
この変化の背景には、少子高齢化による労働人口の減少という事情がありますが、企業は魅力的な給与を提示しなければ、有望な人材を確保できないという事情が出てきたからです。特に、高度なスキルを持つ理系やデジタル分野の人材は引く手あまたであり、従来の給与体系では競争力を維持することが難しくなっています。こうした状況が、大卒初任給30万円時代を生み出す要因となっているのです。
しかし、一方で課題も存在します。中小企業にとって、この水準の初任給を支払うことは容易ではありません。そのため、企業間の格差がさらに広がる可能性があります。また、初任給の上昇が長期的な給与体系の変革につながるのか、あるいは一時的な現象にとどまるのかも注視する必要があります。
(「au Web ポータル」)
年功型賃金から成果型賃金へ
日本の企業文化において長らく主流だった年功型賃金制度が、近年大きく変化しています。日本は農耕民族の国なので、定住生活を営む上で年長者の知識や知恵、さらにはリーダーシップが貴重でした。そういう事情の中で、自然に年功型賃金制度が定着していったのだと思われます。2022年6月にフォー・ノーツ株式会社が400名の男女に実施した調査によると、「あなたの会社は年功序列ですか?」の質問(単数回答)に対しては、以下の回答結果でした――年功序列である(17.8%)やや年功序列である(54.0%)年功序列ではない(28.3%)。成果主義と年功序列が共存している状態と言えます。
第一次産業(農林水産業)や第二次産業(製造業)においては、年功者からの知識や技術の伝達に負うことがまだまだ多いと思われますので、年功型賃金制度でも違和感はありません。
しかし、第三次産業(サービス業)になると、状況は変わります。特に、近年はデジタル化が進み、それは若い社員ほど適応が早いですし、成果を上げる場面が増えていると思います。実際に、「初任給を30万円以上に引き上げる主な企業」(『産経』2025.1.19日付)ということで紹介されている企業は殆どがサービス業です。銀行、証券、保険、商社といったところが多く、第二次産業の中で、建設業がわずかに顔を出している程度です。成果型賃金体系への移行が今後は進んでいくとは思いますが、業種によってそのスピードは異なるということです。
(「日本経済新聞」)
成長が見込める中小企業を社会全体で育てる
日本経済における大企業と中小企業の格差は「2重構造」ということで、これまでも問題視されてきましたが、近年その差はさらに拡大しています。その要因の一つが、資本力と人材の獲得競争における差です。大企業は豊富な資金を活用し、優秀な人材を確保するために高い給与や充実した福利厚生を提供できます。一方で、中小企業は資金力に限りがあり、高額な給与を支払うことが難しいため、優秀な人材の確保が困難になっています。
さらに、テクノロジーの進化により、業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいますが、その導入スピードにも格差があります。大企業は最新の技術を活用し、生産性を向上させることができますが、中小企業では導入コストや人的リソースの不足がネックとなり、デジタル化が遅れるケースが多いです。その結果、生産性の差が広がり、企業間の競争力に大きな影響を与えています。
また、資金調達の面でも大企業は有利です。金融機関からの融資を受けやすく、新たな事業投資や海外展開を進めることができます。ただ、いずれの大企業も中小企業の時代があったはずです。その持っている技術が高いとか、開発した製品が高い評価を受けるなどの要因があり成長したのだと思われます。成長できそうな企業を見出して、社会全体で育てる環境を整備することだと思います。例えば、名古屋では下の図のようなシステムを作って中小企業を育成しようとしています。
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