「今日の『日経』(2021.9.7)の夕刊に「日経平均、3万円台」と1面トップで出ていましたね」
「終値は3万円を切っていましたけどね」
「だけど、数日前にこのブログで日経平均3万円を予言していたので、単純に凄いなと思います」
「ただ、3万円のあたりで利益確定狙いの売りが多く出て、結局終値が3万円を切ったということは、市場は現在の政局について安定したものとして見ていないということです」
「3万円までは、菅総理自主退陣を評価する動き、3万円から先の動きは新総裁誕生期待の動きということですか?」
「経済活動、特に株価の場合はそのように区切って説明することは出来ないのですが、3万円あたりで止まって、少し下がったというところに、現在の政局の難しさを反映していると思っています」
「どういうことですか?」
「総裁への立候補を迷っている方もいますし、自民党総裁レースの行方が混沌としていますからね」
「ただ、株価というのは、政治情勢だけで動く訳ではありませんよね」
「株価というのは、企業活動の収益と将来性、さらにはその国の発展性、そしてどの程度の流動資産が社会にあるのか、それと現実の政治の動きを分析すればおよその動向は掴めるものです」
「今、簡単に言いましたけど、その動向がよく分からないから困っているのです。今あげた中で、どれが一番重要なのですか?」
「そのように、どれと言われても困ります。重要度というかテーマはその時々によって違うからです」
「現代のテーマを考えた時は、どうでしようか?」
「現代のテーマという意味が今一歩よく分からないのですが、ミクロ経済、マクロ経済という言葉があるように、2つの視点が必要だと思います」
「ミクロの部分が、企業活動の収益と将来性、マクロの部分が、その国の経済環境とか発展性ということでしょうか」
「そういったものを織り込みながら株価は日々推移していくものなのですが、一番重要なものは国の土台となる経済環境です。それが良ければ、多くの企業が成長できるからです」
「ここからが本論です ↓」
国の目標を言葉として示す必要あり
日本が一つの国として纏っていくための標語(コピー)が必要です。企業や私立学校などの組織体が発展していくためには、組織として纏る必要があります。そして、纏るためには、標語が必要です。何のために、この企業が存立しているのか、それを社会に示しながら自分たちの目標になるようなものを言葉として作る必要があります。
誰もが知っているような大企業には、そういった目標(キャッチコピー)があります。いくつか紹介します。
トヨタ START YOUR IMPOSSIBLE
日立 Inspire the Next
日本航空 明日の空へ、日本の翼
東芝 Leading Innovation
H.I.S Always Be Challenger!
国も同じです。ただ、今の日本にはありません。少し前は、観光立国と言っていましたが、コロナ禍で破綻しました。他律的なスローガンにするから、何か外部要因が変化しただけで使えなくなるのです。自律的なもので、なるべく短い言葉で分かりやすいもの、国民の多くが共感できるものを考え出す必要があります。難しい作業だと思いますが、仮にもしそういった言葉が編み出されれば、大きな効果を発揮するでしょう。
ちょうどこれから自民党の総裁選があります。総裁になった人が日本の次のリーダーになる可能性が高いと思います。勝った負けたではなく、国際競争社会の中で生き抜くための国づくりという視点から、適切なコピーを編み出す必要があるのです。「日本文明の発展」でも良いのですよ。
(「産経ニュース」)
多くの課題を「根底で結びつけている環」がある
日本にとっての難題は人口減とエネルギー問題ですが、それ以外にも多くの課題があります。ただ、一つひとつの問題をバラバラに捉えるのではなく、必ずそれらの問題を「根底で結びつけている環」があります。その環を解きほぐすことを考える必要があります。日本の開国期によいお手本がありますので、それを紹介します。
時は幕末、動乱の時代です。開国してみたら植民地競争の真っ只中にいることが分かり、近代国家日本を急いでつくる必要があることに気付きます。工業を起こして経済力を高め、軍事力を強めて欧米諸国に対抗しなければいけない。もちろん日本の文化と伝統を守らなければいけないし、憲法を制定して議会を開設する必要もあります。公教育も普及させなければいけない。そのように羅列してしまうと、何から手を付けて良いか分からなくなります。
明治時代の先人たちは、「環」を教育と捉えたのです。だからいち早く文部省を創設して、国の教育方針である「学制」をその翌年(1872年)に発布しています。教育によって人材を育成し、その人材がやがて近代国家の礎になっていきます。まさに「人は石垣、人は城」(武田信玄)と考えたのです。
「一点突破全面展開」という言葉があります。孫子の兵法の中の言葉ですが、このように一点つまり環を見つける作業をするのが先です。そうしないと、個々バラバラの課題に多くの人数と時間をかけて取り組むことになります。そして、何のことはない、殆ど成果が出なかったということになりかねません。今の日本は、迷路にはまりかけています。早く抜け出さないと、負のスパイラル地獄に落ちることになります。
(「ベンチャー通信」)
資源がない日本――生き残るためには、優れた人材をいかに輩出するかを考えるべき
国際ジャーナリストのビル・エモット氏(英エコノミスト誌編集長)は「日本、人材開発の認識欠く」(『日経』2021.9.3日付)の中で「日本に欠ける点を挙げれば、男女ともに人材開発への認識だ」と指摘しています。
このインタビュー記事は、人口減にどのように取り組むべきかという趣旨で行われていますが、彼は、人口減と人材開発を併せて考え、その解決の途は人材開発、つまり教育制度も含めた人材育成のシステム開発を急ぐ必要があると言っているのです。
イギリスも日本も同じ島国、お互いエネルギー資源が豊富ではありません。似通った境遇にある国ということで、相手の国のことがよく分かるのかもしれません。
日本の教育政策には、人材育成という観点がありません。子供の面倒を見るという意識が強いのかもしれません。保育的な意識で教育を捉えています。だから、35人学級、40人学級ということで子供をまとめる、そして教育予算が少なくなれば節約のために学校統廃合を考える。こんな感じです。そして、その子どもの面倒を文科省と厚労省が行っている、人材育成については経済産業省が担当しているという意識が為政者の中にあります。
縦割り行政による弊害がこんなところにも表れているのです。それを防ぐために「子ども庁」の創設を考えたのでしょうが、上手く制度設計が出来れば良いと思っています。
(「ABEMA TIMES」)
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