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台湾、総統選挙近づく ―— 「台湾人」が台湾のアイデンティティになりつつある / 1人あたりのGDP、日本は台湾に抜かされた

女性

「総統選挙が近づいたこともあり、台湾に対して報道と関心が高まっています」

「与党が民進党です。それを野党の国民党と台湾民衆党が追う展開になっています」

女性

「最初の頃は、民進党楽勝の見通しが流れましたが、最近の報道を見ますと「三つどもえ」になっています」

「若者の支持者が一番多いのが台湾民衆党です」

女性

「それは何故ですか?」

「あくまでも私の考えですが、台湾が党名に入っているからではないかと思っています。台湾人として生きたいというのが、若者たちの考えとして強いと思っています」

女性

「中国とどのような関係を取るのかという点ではいかがですか?」

「中国に近い順番で言うと、国民党、台湾民衆党、そして現在の政権政党の民進党です」

女性

「国民党が一番中国寄りなんですか? かつては本土で権力争いした間柄だと思いますけど」

「そうなんですが、私は国民党と共産党の体質はよく似ていると思っています」

女性

「類は友を呼ぶということですか?」

「国民党も結構したたかですからね。政権を取れば「1つの中国2つの政党」と言い出すかもしれませんよ」

女性

「共産党は怒るでしょうね」

「そうでしょうね。だけど、中国の発展にとってはそれが良いことだと思っています」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙は台湾の夜景です。「東洋経済オンライン」提供です」

 「台湾人」が台湾のアイデンティティになりつつある

台湾語の学習熱が高まっているそうです。この背景には、自らを「台湾人」と考えている人が増えているといった事情と関係があると思います。調査によると、「台湾人」と考えている人は2020年調査では64.3%だったとのこと(2018年/54.5%)。「台湾人でもあるし中国人」を大きく引き離しています。

台湾での公用語は、中国華語です。これは本土から来た国民党が本土の中国語を基に普及させた言葉です。台湾語というのは、17~19世紀に中国の福建省から台湾に渡ってきた人たちの言葉が元になったと言われています。2022年から中学では台湾語の学習が必修とする措置が取られるようになったとのことです。

(この項、龍元秀明「台湾語、次世代につなぐ」『日経』2023.2.8日付 参照)

(「日本経済新聞」)

 1人あたりのGDP、日本は台湾に抜かされた

個人の経済的豊かさを表す1人あたりのGDP(国内総生産)の値ですが、2022年に日本は台湾に抜かされてしまいました(日本: 4万2347ドル/27位//台湾: 4万4821ドル/24位)。2023年は抜き返したものの、予測(下のグラフ)によれば、今後は引き離されていくことになります。

ただ、今から約10年前の2012年において、日本は台湾の2.3倍だったのです。台湾の経済発展もありますが、日本の経済的崩落もあるのです。

その原因を世界最高の高齢化率を上げている人がいますが、それだけではありません。プロ野球の故野村克也監督は、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」と述べていました。台湾の少子化は日本より深刻です。教育も含めて、構造的な問題がそこにはあるのです。

(「日本経済新聞」)

 台湾も「1つの中国」

国連における中国の代表権交代(中華民国→中華人民共和国/1971年)以来、本土の中国は台湾の国際的地位を弱めるための活動をしてきました。最終的な狙いを「1つの中国」に定めているからです。

ただ、台湾も「1つの中国」と言ってきました。ただ、その中身は共産党が言うところの「1つの中国」ではありません。本土が共産国家である限り、「1つの中国」と声高に叫ぶことは併合の危険があるため、それを控えているに過ぎません。かと言って、「2つの中国」と言えば、独立運動と見做され、武力介入の口実を与えることになります。武力で統一されてしまえば、あとは香港と同じような運命となります。遅かれ早かれ、本土基準の統治が貫徹されることになります。それは耐えられない未来となりますので、そうならないように慎重に歩むことが求められています。

日本に来ている台湾の留学生がいます。彼は総統選挙の1票のために台湾に帰ると言っています。台湾の将来を遠く日本からも心配している青年がいます。そういった故国思いの人が増えれば、国は発展するものです。ある意味、それが教育の原点でもあり、経済発展の原点でもあるのです

次回(12/19)は台湾との交流の歴史について書きたいと思います。

(「NNA ASIA」)

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