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青山修子

人生100年時代の健康教育を考える / 定期的にスポーツを楽しむ――健康を手に入れる時代

青山修子
女性

「何か、運動をしていますか?」

「実は少し出っ張ったお腹を戻そう、筋力をつけようと思って、密かにスポーツジムに週に1回ですけど、通っているのです」

女性

「えっ、そうなんですか! 偉いですね」

「会社の同僚の結婚式があって、40代の時に作った式服が着られなくて、これではいけないということで一念発起したのです」

女性

「よく聞くパターンですね。効果の方はいかがでしょうか」

「週1回、行った時は2時間から3時間は走ったり、トレーニングしたりしているのですが、体力はついたと思うのですが、体形の方までは、という感じですね」

女性

「何時、トレーニングしているのですか?」

「駅の近くのスポーツジムなので、早く引ける日があるので、その日に行っています。専用のロッカーがあるので、勤め帰りに行くという感じですね」

女性

「そうすると、夕方とか夜ですね。トレーニングをするならば、朝、もしくは午前中が良いみたいですよ」

「その根拠は何ですか?」

女性

「最近の研究によると、筋肉が付くのと、男性ホルモンのテストステロンが大いに関係しているということが分かってきたそうです。そして、そのテストステロンの分泌は、朝方や午前中が高いそうなんです」

「早いうちのトレーニングの方が効果的ということですか?」

女性

「そうみたいですね」

「だけど、トレーニングを終わった後、疲れて仕事ができなくなりそうです」

女性

「ほどほどにしたらどうでしょうか。ここからが本論です」

 

 「人生100年時代」が本格的に到来する

厚労省の「人生100年時代構想会議」の中で海外のある研究によると、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きるであろうということが報告されています。そして、多分日本は世界一の長寿社会を迎えることになるだろうと言っています。

そうなってくると、定年の年齢を今よりもさらに引き上げる、もしくはそういったものを完全に廃止するといったことを今後は社会的に考える必要がでてくると思われます。

そして、人生100年という長きにわたる期間を健康に過ごすための方策を子どもたちに伝えることを考える必要があります。

(「北陸銀行」)

 体育と健康教育の違い

体育というのは、身体活動を行うことが一つの目的において行われます。その結果、友達とのコミュニケーションがとれたり、身体能力が高まったりといったことがありますが、もともとは学校教育の教育課程の中に組み込まれたものです。従って、マット運動があったり、鉄棒があったり、ボールを扱う種目があったりということで、そういったものを通して運動に親しむというのが狙いです。

それに対して健康教育というのは、人生100年時代にふさわしい健康体を獲得するために、学校教育の段階から子どもたちを啓蒙していこうという考え方に基づいています。

従って、①栄養 ②睡眠 ③運動 ④こころ ⑤生活習慣といった5つの面から子供たちを教育します(「健康教育学会」ホームページによる)。そして、生涯スポーツという言葉があるように、一生涯何かのスポーツと親しんで付き合うことができれば、それも一つの財産となります。体育系の部活動も、勝敗ということ以外に、そういった観点からも指導する必要があるということです

例えば、栄養学の観点から、何をどのように摂取すれば良いのか、つまりお腹が空いたので好きなものを食べるのではなく、健康を考えた食生活とはどういうものなのかを学ぶ必要があります。睡眠もそうです。眠たくなったら寝るというのでは、殆ど犬猫と同じです。健康のために、どのような睡眠を心掛ける必要があるのか、ということを小学校のうちから学びます。

とにかく、従来の体育のイメージで捉えるのではなく、「生涯スポーツ+生涯健康」を学校教育で考える時代に入ったということです。そして、家庭でもそれに合わせて子供たちに機会を見つけて、様々なアドバイスをしていって欲しいと思います。

(「はりもぐブログ」)

 定期的にスポーツに親しむ時代―—行政はスポーツ環境の整備を

これからの時代は、健康についてもグローバルな視点で捉えていって欲しいと思います。地球環境といわれる自然環境が保たれなければ、我々の健康も維持できません。コロナ禍の騒ぎを見ても分かるように、全体が健康でなければ、個人の健康も危うくなる恐れが出てきます。全体あっての個人であり、個人あっての全体です。一人ひとりが、社会の一員としての自覚をする、具体的には、ケガの予防、運動のメカニズムや感情のコントロールの術を知る、歯の健康や生活のリズムの作り方などを具体的に学び、実践します。そんな幅の広い教育活動を展開する必要があるということです。

スポーツに参加することと平均余命の関連について Peter Schnohr氏らの報告があります坐位中心で運動 不足の人と定期的にスポーツ( 8 種類)を行っている人 を全死因死亡率で検討した上での報告です。その結果を見ると、テニスは9.7年、バドミントは6.2年、サッカー 4.7年、サイクリングは3.7年、水泳は3.4年、ジョギ ングは3.2年、健康体操は3.1年、スポーツジムでの運 動は1.5年と、個人スポーツよりソーシャルスポーツ (チームスポーツ含む)のほうがより長寿と関連していたとの報告がありました。

テニスが平均余命において、一番長い期間を期待できるということが統計学上明らかになったのですが、その理由として、テニスは“インターバルトレーニング”(不完全な回復を挟 んで運動を繰り返すトレーニング)に当てはまるから ではないかと述べています。サッカー 、サイクリング、水泳、ジョギ ングは運動を継続します。結構、心臓に負担が掛かるのかもしれません。その辺りの科学的なメカニズムの解明については、これからだと思います。


(「シクロケム」)

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