「「ほぼトラ」という言葉が使われるようになりました」
「何ですか? それはどういう意味ですか?」
「隠語ですけどね。次のアメリカ大統領選ですが、ほぼトランプで決まりではないかという意味です」
「数日前にトランプ氏が圧勝したというニュースが流れていましたが、あれは何の選挙だったのですか?」
「共和党の予備選挙が各州で始まったのです。共和党の立候補者を決めるための前哨戦ですが、女性候補者に圧勝しました。共和党はトランプ氏でほぼ決まりと言われ始めています」
「そうすると、またもやバイデンさんとの一騎打ちになるということですか?ただ、彼は裁判を抱えていますよね」
「バイデン大統領には健康不安説がありますからね。お互い何らかの問題を抱えていて、その辺りがどのように影響を与えるか、まったく読めないのですけどね……」
「2人とも高齢だと思いますけど、おいくつですか?」
「トランプ氏が77歳、バイデン大統領が81歳ですね」
「4歳しか違わないじゃあないですか。見た目は、トランプ氏が若そうですけどね……」
「70歳過ぎての4歳は大きいと思いますよ。1期分ですからね。そういうことも含めて、もしトランプになった時を考えて、今から準備をしろという意味の「ほぼトラ」なんです」
「バイデン大統領が民主党で、トランプ氏が共和党ですよね。アメリカは2大政党制でどちらが大統領になっても同じではないかと思っていますけど……。日本にとって、どちらが良いのですか?」
「私の感覚ですが、トランプ氏の方が日本に対して少し好意的だと思っています。ただ、対日政策においては、そんなに大きく変わらないと思っています。むしろ中国、ロシア、ウクライナに大きな影響を与えると思っています」
「詳しくは、本論でお願いします ↓ 表紙写真は「NHKニュース」の提供です」
トランプ氏が当選した場合のことを考える必要あり
トランプ氏の考え方は「アメリカン・ファースト」です。共和党は、もともとまずは国内の発展を考えようというスタンスの政党です。ある意味、トランプ氏はそういった保守本流の流れを受け継いでいるとも言えます。
ウクライナへの支援は止まるか、滞ると思います。トランプ氏が大統領だった任期中はプーチン大統領とは良好な関係を築いていました。事態が変わったので、そのままという訳にはいきませんが、ロシア寄りのスタンス、つまり今の占領地域を公認した上での和平案を出してくる可能性が充分あります。
ウクライナにとっては、アメリカの支援も当てにできない中で、この危機をどう乗り切るか、全体戦略を立て直した方が良いかもしれません。2/25日(日)の夜9時からNHKで「壮絶・ウクライナ戦争の現実」という特集番組を放映していました。時期は昨年の9月頃です。不用意にロシア占領地域に突っ込んで地雷の犠牲になった戦車や兵士の姿が映し出されていました。兵力で劣っている側が変に突っ込めば、被害が拡大するだけです。相手との力関係の中で冷静な作戦を建てて欲しいと思って見ていました。これからは、防御戦を主にしたことを考えなければいけないでしょう。
(「ABEMA TIMES」)
中国は悪夢を見るかもしれない
トランプ氏が大統領になった場合、最も悪しき影響を受けるのは中国だと思っています。トランプ氏はとにかく共産主義が大嫌いの人間ですので、中国潰しに取り掛かると思います。今でも、一律60%超の関税を課すと言っています。
2022年の中国の対米輸出額は5,818億6,471万ドルです。中国のGDPが19兆2400億ドルなので、全体に占める割合は約3%なので、仮に60%関税を実施したとしても大きな影響はないとは思います。
それよりむしろ金融制裁を発動されたら一気に窮地に追い込まれると思っています。「中国の通貨金融制度は『準ドル本位制』」であり、「中国の経済成長を支えているのはドル」(田村秀男『中国経済衰退の真実』産経新聞出版、2024)なのです。仮に台湾侵攻があった場合、バイデンは在日米軍を動かしますが、金融制裁はしないでしょう。トランプは逆で、在日米軍を動かさない代わりに、金融制裁をすると思っています。中国経済に大きな影響を与えることになります。
(「まぐまぐ!」)
安保条約は「日本監視条約」だった
習近平主席が台湾侵攻を公言している以上、どこかのタイミングでそれを行うということでしょう。台湾有事は日本有事と言いながら、日本の政府、そして与党、特に自民党は何をやっているのかという感じです。支持率が史上最低になったと報道していましたが、下がって当たり前です。真剣味がまったく感じられません。
悠長に構えているのは、日米安保条約があるからと思っているかもしれませんが、あの条約をアメリカが結んだ元々の理由は日本監視のためです。中華人民共和国の誕生(1949)、朝鮮戦争(1950~53)が立て続きに起こり、極東情勢が大きく変化したため日本とはかたちの上で講和を結び、日本を含めて極東地域の監視のために米軍を駐留させる屁理屈として安保条約という業(わざ)を使ったのです。
トランプ大統領が不公平な条約と批判していますが(下図参照)、元々対等な軍事同盟ではなく、日本監視のため米軍の駐留だったのです。アメリカの国益のために米軍を駐留させたので、費用はアメリカが持つのが当たり前と彼らは考えたのです。その考えが変わり始めたのがオバマ大統領の時です。次のトランプ大統領の時に安倍元首相が人間関係を構築したりして、そこから日本に対する警戒感が少し和らいだと思っています。トランプ氏は中国よりも日本を重視したいと思っているはずです。バイデンは中国と日本を50、50で考えていると思います。
とにかく、日本としてはアメリカの大統領が誰になっても良いような態勢をつくっていく必要があるのです。
(「朝日新聞デジタル」)
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