
「トランプ大統領の相互関税が大変な騒ぎになっていますね」

「アメリカがくしゃみをすると、世界中が風邪をひきます」

「超大国を証明しているようなものですが、日本中が慌てていますよ。石破首相とトランプ大統領の電話会談が昨夜あったようです」

「電話会談で解決することはありません」

「やはり直接会わないとダメなんですか?」

「相手はアメリカの製品を日本がもっと買ってくれれば良いと思っています。アメリカに売ることだけ考えるなというのがトランプの言い分なので、それに対して説得をする必要があるのです」

「どのように説得すれば良いですか」

「「物の売買だけでなく、サービス部門まで見て欲しい」でしょうね。日本はクラウドサービスや動画配信などアメリカ企業に多額の支出をしていて、デジタル赤字が6兆円以上あります」

「そういうことはご存じなのでしょ?」

「どうでしょうか。わざと知らないフリをして、相手がどう切り出してくるか見るのではないかと思います」

「いずれにしても直接会って、個別的に交渉するということでしょうか?」

「交渉の余地があるかどうかを最初に聞く必要がありますけどね……」

「だけど、今までにない仕打ちのような気がします」

「いざとなれば見放されるということを今回知ったということですね。日本はアメリカに保護されるものだという甘えみたいなものがありましたからね」

「見放されても良いような態勢をこれからは作る時代かもしれませんね」

「ここからが本論です ↓表紙写真は「プレジデントオンライン」提供です」
トランプの「アメリカン・ファースト」政策
ドナルド・トランプ前大統領が掲げた「アメリカン・ファースト」政策は、関税強化などを通じて明確に現れました。アメリカ経済の保護と国内雇用の確保を最優先するこの方針は、確かにアメリカ国民の一部からは歓迎されましたが、国際社会にとっては大きな波紋を呼ぶものでした。とりわけ、トランプ関税に代表されるような一国主義的な政策は、長年かけて築かれてきたグローバル経済の枠組みや信頼を大きく揺るがせたのです。
世界は常に「リーダー国家」の存在によって秩序を保ってきました。過去を振り返ると、ローマ、オランダ、イギリス、そして20世紀以降はアメリカがその役割を担ってきました。リーダー国家とは単に力を持っているだけでなく、世界全体を見渡し、多国間の調和を図る役割を持つものです。しかし、トランプ氏はこの歴史的な流れや国際社会の機微を理解していないかのように振る舞いました。
彼の政策は、「世界のためにアメリカがある」のではなく、「アメリカのために世界がある」というものです。その結果、アメリカは自ら国際的なリーダーの役割を放棄しようとしているように見えます。こうした動きが進めば、世界は再び「力と力」がぶつかり合う、弱肉強食の時代へと戻ってしまう危険があります。無知で視野の狭い人物が世界のリーダーになったとき、我々はその影響を最も身近に、そして痛烈に感じることになるでしょう。
(「イラストマンション」)
関税障壁時代の経済政策
関税を高く設定し、他国からの輸入品を締め出す。こうした保護主義的な経済政策が、今また世界の主要国によって採用されつつあります。アメリカのトランプ大統領は、「自国の利益が最優先」という立場を崩さず、国際社会の批判をものともせずに自らの政策を強行してきました。しかも、こうした関税政策が次の政権に引き継がれる可能性すらあるのです。
こうした時代にあって、日本がどのように対処するかが問われています。石破首相が4月4日に野党との党首会談を実施したのは、まさにその方針を国民的に議論しようという意思の表れでしょう。会談を行うからには、ただ形式的に行うのではなく、明確な方向性と戦略を持って臨まねば意味がありません。
自給自足経済体制の構築を目指す時代なのかもしれません。これは耳触りが良い言葉である一方で、非常に困難な道のりでもあります。戦後、日本は防衛、経済、食料、情報といった多くの面でアメリカに依存する体制を築いてきました。英語教育の拡充に象徴されるように、その傾向は今なお続いています。しかし、食料自給率がカロリーベースで38%という現実は、日本の脆弱性を浮き彫りにしています。
今こそ、日本は「依存から自立へ」という経済モデルへの転換を真剣に考えるべき時です。それは単に農業を重視するだけでなく、エネルギー、技術、インフラといったあらゆる面での内製化を進めることを意味します。もちろん、それは簡単な道ではありませんが、将来的な安定と独立性を確保するためには、避けて通れない課題です。
(「日本経済新聞」)
日本的な文化国家を作る時代
かつて日本の製造業は、安い人件費を求めて中国などの海外に進出し、そこで生産した製品を主にアメリカ市場に向けて輸出してきました。これは経済合理性に基づいた動きであり、ある意味で時代の要請でもありました。しかし今、そのモデルは大きな転換点を迎えています。アメリカの保護主義政策や世界的な供給網の混乱により、「現地生産・現地消費」の流れが加速しているのです。
この変化は、日本にとって大きなチャンスかもしれません。国内回帰の時代。つまり、日本国内での製造・消費を中心とした経済構造の再構築が求められているのです。その中で、英語教育に偏重する教育方針も見直されるべき時が来ているかもしれません。これからの日本には、農林水産業を重視し、「自国でつくり、自国で消費する」という意識が必要です。
また、行政の在り方も問われています。「地方自治」ではなく「地方分権」。それぞれの地域が独自の強みを活かし、地域経済を自立的に回していく体制が理想です。そうすることで、国全体の底力も自然と高まっていくことでしょう。
そして、世界が再び「力」の時代へと向かいつつある今、日本は同じように「力」で対抗すべきではありません。むしろ、日本が誇る「和」の精神、協調と尊重に基づいた価値観を持って、国際社会に働きかけていくべきです。力には力でなく、和で応じる。日本ならではの文化国家を築き、世界の模範となる未来を目指すことこそ、今求められている道なのです。
(「FUN! JAPAN」)
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