「週休3日制のことが話題になっていることを知っていますか?」
「私なんか、ようやく最近になって、週休2日になったんですよ。しかも、コロナに絡んで。何ですか、それ?」
「自分のことに置き換えて怒らないで下さい。社会の動きということでご理解下さい」
「すいません、つい……。ということは働く日は4日間しかないのですが、それでまともにお給料を頂けるのですか?」
「少し給料は減ります。だから選択をしてもらうということです」
「3日にするか、2日にするかということですね。実際に実施している企業はあるのですか」
「実は、みずほフィナンシャルグループのように、週休3日制をすでに採り入れている企業もあるのです」
「えっ、そうなんですね」
「そういった先行事例を参考にして、自民党の1億総活躍推進本部が今年の4月20日に提言をまとめています」
「働く側としては有難いですけど、何と言っても大事なのは目的、理念ですよね」
「ええ、全くその通りだと思います。その点では、育児・介護の両立支援、そして兼業支援の2つですね」
「2つともここ最近の問題ですよね」
「それから、3日ありますので、大学院での学び直しも出来ます。ただ、それに合わせて大学院のレベルを上げなければいけません」
「そういった問題もあるのですね。そして、素朴な疑問なんですが、どのくらいの企業がそういったことを考えているのですか?」
「2020年の時点で週休2日制を採用している企業は44.9%です。この数字を見る限り、3日制への移行はまだまだ時間が掛かると思います」
「安心したような、がっかりしたような、不思議な心境ですが、これからの流れということで理解すれば良いということですね」
「ここからが本論です ↓」
選択的週休3日制の導入に向けて動き始めた
週休3日制を採用している企業は、世界的にもまだわずかですが、これから社会的論議さらには企業での導入論議があると思います。ただ、週休2日制導入とは違って、今回の場合は、賃金を減らすことになります。つまり、休みを3日にして多くするのですが、その代わり賃金を減らすという契約になります(2割減というのが多いそうです)。従って、原則的に個人個人が判断し、3日制を選択した者と企業との契約による導入ということになります。つまり、企業の中に、週休3日制の社員と週休2日制の社員が混在するというかたちになるということです。
海外の動きを紹介しますと、ニュージーランドでは食品大手の会社で1年間の試験的導入が行われているとのことです。今年の12月までが試験期間です。給与は変えないそうです。イギリスのレディング大学が週休3日制を導入した企業に対してアンケート調査を実施しています。それによると、3日制導入の企業のうち64%の企業が生産性を上げていることが分かっています。
現在は、週休3日制の導入段階ですが(導入率は8.3%)、今後は賃金のことが大きな問題となってくると思われますが、企業によっては従業員に週1日から3日の間で選んでもらい、個人と雇用契約を結ぶということになってくると思います。
ちなみにみずほフィナンシャルグループは、希望する正社員を対象に週休3日で20%減、週休4日で40%減の賃金契約で2020年の12月からスタートしているそうです。
【週休3日制のメリット】
育児や介護など、家族のために使う時間が増える |
兼業やボランティア活動に割く時間が得られる |
専門学校、大学院での学び直しやスキルアップ |
副業(勤務先が認めるという条件あり)に時間を使うことができる |
(「選択的週休3日働き方を柔軟に」『日経』2021.4.24日付の記事を参考に作成)
働き手側の人生設計が重要になってくる時代
今後は、今までより以上に、働き手側の人生設計が重要になってくると思います。週休3日制を利用して、余った時間を副業ということも考えられます。介護、育児という選択もあるでしょう。子どもの受験の面倒をみるというのも、もしかしたらあるかもしれません。そういう選択をしないで、従来通りの働き方をするという人も当然いるでしょう。
そういった動き方の多様化と並行して、定年の年齢を引き上げる動きが出ています。国家公務員の定年を65歳に引き上げることはすでに決まったのですが、民間も定年をそれに合わせて65歳、さらには70歳、もっと進んで定年制を廃止する企業も出ています。
これは労働人口が相対的に少なくなっていますので、それに対応した処置です。再雇用制度を設けて、対応する企業もあります。ただ、シニアの人材と一口に言いますが、貢献度は一人ひとり違います。企業戦士として客観的に判断され、選別化は今まで以上になされると思います。
(「週刊東洋経済プラス-東洋経済オンライン」)
日本的雇用、終焉の時代
日本では年功序列型賃金体系を前提にした、終身雇用制をシステムとして採用してきました。欧米型は個人契約型の雇用システムですが、それとは違った独自のやり方をとってきたのです。
これは多分、日本人が農耕民族であることと大いに関係があると思っています。要するに、皆で同じものを一斉に作るという発想です。横並びが好きなのは、農耕民族のDNAを受け継いでいるからです。入社した年度、年齢が同じであれば、同じ賃金をもらい、昇給についても皆と同じように昇給する。従業員全体の賃金を上げたい場合は、労働組合でベースアップを要求して会社と交渉して妥結をするという慣行が長年行われてきました。
ただ、この21世紀の令和の時代に入り、労働環境がコロナ禍の中で大きく変わろうとしています。そもそも集会を行うことが憚られるようになり、先にあげたように、労働者の前に多くの選択肢が投げかけられるようになりました。
週休3日制、週休2日制、副業、リモートワーク、ギグワーク、起業などです。多様な生き方が出来るような時代になったことは確かです。従来のように、企業人として定年まで勤め上げ、後は年金暮らしというワンパターン的な人生だけではなく、個人の個性と能力、さらには家族の状況に合わせた人生設計を踏まえた働き方を考える時代になったということです。
(ITmedia)
そして、多様な働き方が広がるにつれて、労働組合運動も終焉の時代に向かっていくことになります。要するに、従業員を丸ごと評価する時代ではなくなりつつあるからです。同一労働同一賃金と言いますが、そもそも「同一労働」という概念がやがてはなくなると思います。
実際にアメリカでは労働組合の組織率は1973年の時は31%だったのですが、2018年は6.4%です。この低下はある意味必然性があるものです。日本も後追いすることになります。「団結ガンバロー」の時代ではなくなったということです。そういう余力と時間があるならば、自分を見つめ、時には自身の能力を高め、人生の方向を見つめることだと思います。
(Yahoo !ニュース-Yahoo!JAPAN)
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