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世界競争力ランキング 日本最低の34位 / 経済力を高めるためにはエリート教育が必要

「昔の名前で出ていますという歌を知っていますか」

女性

「いつも、いきなりですね」

「素敵(ステーキ)と言われたいので……」

女性

「多分、そのダジャレ、分からないと思いますよ。ところで、昔の名前と今日の話題がどう繋がるのですか?」

「世界競争力ランキングが長期低落傾向にあります。ところが、それについて新聞、マスコミが殆ど報道していません。ただ、昔の日本NO.1の時代の頃の意識をいつまでも引きずったままでは困ると思っています」

女性

「安倍首相は『大国』という言葉を結構使いますよね」

「今回、第二次補正予算の財政規模は、かなりの巨額です。コロナ対策ということを考えても、巨額です」

女性

「そこには、経済大国という意識があるのでしょうか?」

「実際にそうであるならば、プライドをもって事に当たれば良いと思いますが、現実にはそうでなくなりつつあります。政治家は国内のわずかな変化に敏感になって欲しいと思っています」

女性

「何となく、ええわ、ええわという感じが漂っていますよね」

「れいわの時代ですけどね」

女性

「今日は連発しますね。何かあったのですか?」

「……すいません。GDP だけを見れば世界3位ですが、1人当たりのGDPは世界26位です。ということは、人海戦術で世界3位を保っているのであって、今後の人口減を考えるとお先は余り明るくないのです」

女性

「人口が減少しても、それを技術開発やAIによってカバーするようにすれば良いという意見があります」

「そういうシナリオ通りには、なかなか、いかないと思います。そして、そのためには人材開発までにらんだ教育政策を抜本的に考える必要があります」

女性

「9月入学を起爆剤にしたいという政治家もいます」

「教育を政治問題として考えないで欲しいと思います。教育や経済の問題について、もう少し分析的な視点が欲しいと思います」

女性

「ここからが本論です ↓」




 世界競争力ランキング、長期低落傾向にあり

スイスの有力ビジネススクールIMDが2020年版の「世界競争力ランキング」を発表しました。このことについて、「日経」(2020.6.17日付)のみが報道しています。今から10年前の2010年は前年の17位から27位の大幅ダウンということもあり、大きく報道されましたが、順位低下は慣れっこになったのか、近年は余り報道されなくなりました。

【 2020 世界競争力ランキング 】

1 (1) シンガポール

2 (8) デンマーク

3 (4) スイス

4 (6) オランダ

5 (2) 香港

6 (9) スウェーデン

7 (11) ノルウェー

8 (13) カナダ

9 (5) UAE

10 (3) アメリカ

 

20 (14) 中国

23 (28) 韓国

34 (30) 日本

( )内の数字は前年度

(「日経」2020.6.17日付)

 

日本のこの3年間のランキングは25位→30位→34位と下がりっぱなしです。かつては1989年から4年連続で1位になったこともあったのですが、ここ10年位は中国や韓国の後塵を拝する様になっています。IMDは60か国の中のランキングですので、ついに真ん中以下になってしまったということです。

IMD以外にも、WEF ランキングというものがあり、そんなことから気にしなくても良いという論調があることは確かです。ただ、下がっている原因を冷徹に見つめ、そこから発展の法則を見出すことも出来るのですが、その辺りは日本人の多くが苦手とする分野なのかもしれません。というか、変に文系、理系と高等教育の段階で分けてしまっている弊害なのではないかと思っています。

そして、本来ならば、その原因も含めて率先して報道し、原因分析や対案を出すのが新聞社の務めではないかと思うのですが、我関せずで報道もしない新聞社が多すぎると思います記者は現象面だけ報道して文章を書く。その原因について、社会背景を含めて論評する場合は識者に任せるみたいな、変な分業による紙面作りになっています

多分、経費の問題もあり、そのような紙面作りになるのだと思います。だから、多くのスペースは事実報道とどこかの通信社からの原稿によって紙面を埋めることになります。中身の薄い新聞が、日本列島で配られ、新聞社によっては意識的に情報を遮断していることもあります。例えば、朝日は「尖閣」について全く報道しようとしません

 国際政治の影響を受け、国際経済も競争的にならざるを得ない

ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマンが「競争力という危険な妄想」という論文の中で、国家としての経済競争力などというものは存在しないと言っています。彼の真意は、経済は競争するものではなく、本来協調して、お互い発展させるものだという価値観があるのだと思います。

ただ、国際政治の舞台を見ると、他国を凌駕しても構わないと思っている国がいくつかある以上、経済についても競争的に考えざるを得ないと思います。そして、気を付けなければいけないのは、経済は波なので、大波、小波はもちろん大津波もあるということです。

地殻変動が起きれば、大津波が発生することもあります。政治的な事件で地殻変動が起きることもありますし、債務の累積によっても地殻変動が起こります。前者については予測不可能ですが、後者については、ある程度予測も予防も可能です。ということは、そうならないように細心の注意を払わなければいけないということです

ところが、ここに来て、そういった備えらしき動きが見受けられません。1100兆円という膨大な金額の政府債務を抱えていることを忘れているような感じの予算の組み方です。ただ、ここまで大胆な予算を組む覚悟があるならば、どうして消費税を下げないのかということです。社会保障財源とか言っていますが、税金で集めた紙幣に使い途が書いてある訳ではありません。比較的低所得者の方に長期的に恩恵が行き渡るためには、間接税である消費税率を低くすることです



 経済力を高めるためにはエリート教育が必要

IMDランキングの評価項目というのは、全部で4つあります。経済状況、政府の効率性、ビジネスの効率性、インフラです。

日本の弱点だけあげます。政府の効率性では、財政とビジネスに関する法整備です。ビジネスの効率性については、労働市場です。これは、雇用関係のミスマッチです。インフラについては、健康と環境、そして高等教育です。健康と環境というのは、社会保障と医療体制を、高等教育というのは、高校と大学教育の問題を指摘しています。

経済というのは、フローとストックの両面から見る必要があるのですが、IMDというのは、どちらかというとフローに重きを置いた指標です。だから、これから事業展開する場合に、適した環境なのかという観点を重視した指標です。一方、WEF ランキング(対象148か国)というのは、現在のその国の経済力に重きを置いた指標なので、ストックに重きを置いた指標となっています。アバウトな言い方をすると、IMDは近未来を占う指標で、WEFは現在を表す指標です。

ネットに、コラ―キャピタル パートナーの水野 弘道氏(聞き手 柳川 範之   NI RA理事/東京大学大学院准教授)のインタビュー(テーマ「外から見た日本の「国際競争力」」)がありました。水野氏は言います――「国同士の競争力を 決める要素は二つあります。一つは国民の平均 的なレベルの高さで、もう一つはの レベルの高さです。先進国になればなるほど、 実は後者のほうが重要になります」。

AI時代のエリートを育てるためには、教育のシステムを変える必要があります。そうなると、必ず「平等」ということを巡っての議論が出てきます。ただ、平等といっても実質的平等と形式的平等があるのですが、戦後日本をだめにしたのは、形式的平等に走ったためだと思っています

戦前の日本は、実質的平等の国だったのです実質的平等というのは、形式的平等の「モノサシ」から見ると不平等になります。しかし、その中身を分析すると、実質的平等であったということもあるのです。

例えば、戦前は「飛び級制度」があり「師範学校制度」がありました。国を引っ張るのは一部のエリートなので、それを「飛び級制度」で育て、学校の教員を他の会社勤務者とは違う別ルートで育成したのです。「師範学校」を無償とすることによって、大学の学費が払えないが能力がある人材をここで育成したのです。

歴史に学ぶという言葉があります。何を学ぶかが大事ですが、戦前の「実質的平等」に基づく様々な施策を学んで欲しいと思います。そうすれば、不登校の子やひきこもりの子に対して、多くの労力をかけなければいけないという論理が導き出せると思います。

今の日本の教育の発想は、すべて形式的平等です。休校も全国一斉。教育課程も全国同じ。人間には適、不適がありますその子供の能力に応じた教育態勢をとることが、その子にとっても国にとっても有用な事と思います。みんなで一緒というのは、必ず先陣を走る者の足を引っ張ります。そうなると、国際競争には勝てなくなります。

現代国家の教育目標は、文盲率を下げることでも進学率を上げることでもありません。そういったことを多少犠牲にしてでも、いかに様々な分野のエリートを多く育てるかが重要です。国民全員が英語ができるようににしても、これからの時代は余り意味がありません。AI同時通訳機が普及するからです。ただ、AI同時通訳機よりも優れた英語の使い手が必ず必要ですそのような人材をいかに育てるか、そこに21世紀の日本の命運がかかっています。

そして、そのシステムが構築できれば、様々な経済指標は必ず上がります

読んで頂きありがとうございました

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