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「9月入学説」を検証する / 2つの重要な問題点について、国民的な議論を

女性

「休校が長引いて困っています。何とかならないでしょうかね」

「私の勤務校も5月末日までの休校を早々に決めてしまいましたからね」

女性

「分散登校をさせないのですか?」

「その辺りについては、学校の管理者が相談して決めたのですが、させないということになりました」

女性

「私の子供が通っている学校はこの前分散登校があって、課題学習のプリントを一杯もらってきたと言っていました。分散登校については、文科省が昨日付け(5/1日付)で指針を出しましたよね」

「今日の新聞に書いてありましたね。ちらっと見ただけですが、あんな細かいことを文科省が出してどうするのかな、と思いました」

女性

「各自治体の教育委員会に任せれば良いということですね。その細かい指示の中で、小6、中3、小1を優先とありましたけど、中1だけ抜けていますよね」

「深い意味は、ないと思いますよ。敢えて言えば、入学式も行っていないところもあるので、そんなことがチラッと頭をよぎったのかもしれません」

女性

「親としては、勉強の遅れが心配です」

「地方によっては、「ユーチューブ」で授業内容を動画配信しているところもありますね。私の知っている限りでは、茨城県が配信しています(チャンネル名は「いばらきオンラインスタディ」ただ、これは本来文科省の仕事だと思います」

女性

「神奈川県も配信しているという話です。そういうチャンネルを見て、自分でお勉強する子なら何も心配しません。ずっとゲームなので、困っているのです。高校生くらいだと、自覚が出てくるでしょ」

「いえいえ、同じようなものですよ」

女性

「そちらは、遠隔授業で対応していると、この前言っておられましたよね。どんな感じですか?」

「ズームという会議用ソフトとロイロノートというソフトで対応しています。朝は担任がズームで出欠確認をしながら様子を聞きます。その後、午前中に3時間の授業配信をするのですが、結構通信障害があって上手くいかないことが結構あります」

女性

「連休中も続けるのですか?」

「いやいや、結構これでも大変なので、連休中はお休みで、連休明けから再開します」

女性

「ところで、急に9月入学説が出てきましたね」

「降って湧いて来たというのは、このことですね。お金が絡む問題もあるので、単純にはいかないと思います。政治家や学者の中には、ノー天気に世界標準になる良いチャンスだと言う人もいますが、ずらせば済むという問題ではありません」

女性

「意外とポンと決まったりして、と思ったりします」




 突然出てきた9月入学説

国会で国民民主党の議員が質問をし、それに対して安倍首相が「前広(まえひろ)に様々な選択肢を検討したい」と答弁したために、マスコミも紙面を割いて報道したりしています。「9月入学幅広な議論を」(「日経」2020.5.1日付)と、前向きなところもあれば、「9月入学―—『コロナ紛れ』には反対だ」(「産経」2020.5.1日付)と明確に反対の意見を表明しているところもあります。それ以外は、しばらく様子を見ましょうということだと思います。

ただ、首相周辺は乗り気なようです。国民民主党、維新の会も前向きとのこと。そんなこともあり、近く次官級会議が開かれるとのことです。文科省が考えている利点や課題が報道されていますが、極めて評論家的で、相も変わらず無能官庁丸出しの分析です。「国民の理解」「社会への影響」「親や学校の経済的負担」と抽象的な課題を並べて、何が重要で、何を議論しなければいけないかが分かっていないと思います

それを見て心配になったのでしょう。「まず首相主導で実現可能か早急に明らかにし、国民に説明すべきだ。入試改革も満足にできぬ文科省に任せれば混乱に拍車がかかるだけだ」(『産経』2020.5.1日付)ともっともな指摘をしています



② 9月入学で出てくる2つの重大問題

まず第一に、9月に入学をずらした場合、ずらした5か月間の教職員の人件費は誰が負担するのかという問題が生じます。公立の小中学校を除く、私立学校、高等学校、大学は授業料を1年分として徴収しています。ずらした場合は、その授業料は9月から翌年の8月に当然充てられることになります。4月から8月までは授業料を徴収できませんが、教職員には給与を支払わなければなりません。

その費用の負担を誰がするのかという問題です。国公立の場合は、国が負担するで良いのかもしれませんが、問題は私学です。国からの助成金はありますが、いくらかの持ち出しが発生します。これをどう解決するかという課題があります。

第二の課題は、「ギャップターム」をどう処理するかという問題が起きるということです。「ギャップターム」とは、入学の月を9月に変更することによって生ずる5か月間のことです。具体的に考えてみましょう。

2013.4.2日から2014.4.1(かつては3/31で区切っていたのですが、現在は4/1で区切ります)に生まれた子が、今年の4月からの小学校入学予定者になります。仮に今年の9月に入学をずらしたとしても、4月入学の子たちがそのまま入学します。というのは、すでに入学者名簿が作られ、クラス編成まで終わっているからです。従って、2014.4.2から2014.8.31までの子は、次年度に入学がまわされます。

そうすると、来年度は2014.4.2から2015.8.31生まれの子が入学することになります。ということは、その学年の定員が従来の学年よりも約1.4倍になるということです。それをすると、その1.4倍が中学、高校、さらには就職までついてまわることになります

定員超過でそれはできないということになれば、来年度は2014.4.2から2014.8.31までの子を入学させるということになります。今度は逆に、常に定員の半分以下ということがついて回ることになり、何の手当もしなければ、私学関係の財政的負担が増えることになります。

 根本的な変更ではなく、柔軟な発想による対応を求める

 9月入学説というのは、もともと東大が強く提唱していたものです。ただ、2012年に学内で検討会議を開いたものの、反対意見が多く断念したいきさつがあります。

「日経」はそれを取り上げて、再度検討すべしというスタンスですが、東大の9月入学説というのは、大学だけを9月入学にしましょうというものだったのです。大学を先行させて、それに合わせて、高校以下順次秋入学に移行しようという提案だったので、今の9月入学説とは取っ掛かりが違います

   今回の9月入学説は、これを機に小学校から一気に、というものです。こういうのを「どさくさ紛れ」と言います。反日マスコミの中には、これで混乱するのも面白いと思いながら静観するところもあると思います。具体的にシュミレーションをした上で、冷静に判断することが肝要でしょう。

   教科を履修するための標準時間がそれぞれ定められています。それを頑なに守ろうとすれば、休校をして授業が出来なかった分をどこで補おうかということになりますそうすると、夏休みを使う必要がありますが、かと言って全部使う訳にはいきません。お盆もありますので、せいぜい2週間でしょう。

 どうしようか。そこで出てきたのが、9月入学説でしょう。今の文科省の発想だと、飛び乗りそうです。そこが、現場を知らない行政官が集まって教育行政を行っている恐さです。実戦経験がない者が大本営にいて、戦争の指揮をするようなものです。授業時間しか頭にないと判断を誤ります。要は、その学年で習得する知識、技能が身についているかどうかで判断すれば良いと思います。

 社会全体に影響を与えるような根本的な変更ではなく、「緊急事態」ということで教育課程を柔軟に解釈すれば済む話だと思います履修時間をある程度幅を持たせるようにし、それで処理をする。遠隔授業とか、課題提出についてもある程度授業時間に含めて構わない(現在は、授業時間に含めることができませんので、法令の改正が必要です)、その判断については地元の教育委員会に任せる、私立学校については学校長に任せるとすれば良いと思います。

 児童や生徒たちは、大人が考えている以上に柔軟に対応してくれると思います。休校でなくなった分を教室の授業で手当てするという発想ではなく、ユーチューブや遠隔によるビデオ授業などによって手当をする。その結果について気になるようであれば、今年度だけの「進級判定特別試験」のようなものを導入したらいかがでしょうか

 現場を知らない政治家、行政官だけで重要な教育問題について拙速に決定しない方が良いと思います。そんなことよりも、感染者ゼロの岩手県やその他感染者が少ない県、市区町村から順次学校を再開させることを考えたらいかがでしょうか。危険ということで家に退避させ、それが長期化すれば、体力が落ちて却って感染しやすい状況をつくるだけです。

ウイルスを完全にシャットダウンして生活することはできません。このわずか数か月で世界中に広まったのを見れば分かると思います。要は、ウイルスの感染力と人間の体力、免疫力の力関係だと思います。子供たちに規則正しい生活と適度な運動、それを保障するためにも、学校再開を市区町村ごとに判断する位のきめ細やかさが欲しいものです。

読んで頂きありがとうございました




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