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【香港国家安全法】「大分水嶺時代」を共産主義者と対峙しながら生きる / 日本のアイデンティティと伝統文化を世界に向けて発信せよ

「香港国家安全法」の概略を新聞各紙が報道していますが、見ましたか?」

女性

「ああいう、法律の文章は苦手なんです。新聞の見出しだけを見て、何か大変なことが起こっているな、ということは分かりました」

「新聞報道だけでは今一歩判断しにくいということを承知で聞いて下さい。法の原則は属地主義ですが、それを逸脱している箇所もあります」

女性

「属地主義から、説明してもらえませんか?」

「属地主義というのは、犯罪を行ったその国ないしはその場所の法によって裁かれるという原則です」

女性

「ある意味、当然だと思いますが、そこから逸脱した規定があるということですね」

「効力範囲」という項目があって、その中に香港以外の地域から香港に対して危害を加えるような犯罪を行った場合は、その者に対して本法を適用すると書かれています」

女性

「これは例えばどういうケースが考えられるでしょうか?」

「電話、手紙、SNSなどによって香港に住んでいる人と連絡を取り、その内容の如何によっては犯罪の対象とするということです」

女性

「その人が仮に東京に住んでいた場合は、どうなるのですか?」

「中国の警察が東京まで捕まえに来ることはないと思いますが、その人が中国内に入った時に身体拘束を受ける可能性があると思います」

女性

「何か、恐いですね」

「最後の文章がすごいですね。「本法の解釈権は全国人民代表大会常務委員会に属する」とあります」

女性

「法を作ったところが、司法権をもつということですね」

「そうですね。権力分立の考え方はないということでしょう」

女性

「法を作った人が、一番分かっているはずという発想ですかね。(ここからが本論です ↓)」




 現代は「大分水嶺時代」

「香港国家安全法」が中国共産党政府の手によって制定されました。ただ、考え方、理念は2千数百年前の春秋戦国時代に韓非子が説いた法治主義の流れを汲むものです。

韓非子の法治主義は、ヨーロッパの大陸法が説くところのそれではなく、刑罰主義であり厳罰主義を意味しています。それに対して、自由、平等というのは西洋人権思想に基づくものであり、今回の事案は、時を超えて東西のイデオロギーが真正面からぶつかった事案と捉えることもできます。

大分水嶺時代」というのは私の造語ですが、現代の「激変」する、まさに分岐点にさしかかった時代を言い表しています。こういった時代は、「二股外交」はあり得ません。股が引き裂かれてしまうからです。さらに、政治と経済は別という考え方も許されません。

そして、リーダーは勝負をかける時代です。テニスに例えれば、後ろに下がってボールを繋げているだけのリーダーでは勝負に負けるでしょう。観客を沸かせることもできません。そういう試合を見せられた観客は、できれば交代して欲しいと思い始めます。そういう時代だと思います。

 「韜光養晦(とうこうようかい)」の時代から「一帯一路」の時代へ

国際的な地殻変動が起きていることは、数字の上からも確認できますヨーロッパ地域の地盤が下がって、アジア地域の地盤が上がっています。21世紀になった頃は、その比率はおよそ6:4でヨーロッパ地域が上だったのですが、この10年で逆転をしています。

アジア地域をこの間引っ張ったのが中国とインドです。インドはイギリス、フランスに肩を並べるところまで来ています。

特に中国は、2011年に日本を抜いて世界第2の経済大国となり、それからおよそ9年ですが、その差は縮むどころか、ますます開く傾向をみせています。ちなみに、昨年(2019)の両国のGDPを比較してみると、中国は日本の約2.6倍(米ドルベース)です。

中国はさらにイノベーション力でも世界をリードしようとして、ハイテク世界戦略「中国製造2025」を推進しています。そして例えば、次世代通信規格(5G)の普及を加速していて、既に5G対応のスマートフォンの契約は5000万件を突破しています。「年内には国内で対応スマホが100機種出そろい、契約数で世界の7割を握る見通し」(「日経」2020.5.12日付)とのことです。

中国で5Gサービスが始まったのは2019年11月。米韓に半年遅れた。ただ、その後の普及が速い。……2020年3月末には5千万件を超えた」(「日経」2020.5.12日付)のです。そういった経済力とイノベーション力に裏打ちされた自信があるのでしょう。あと、習近平主席の個人的な資質も手伝って、かなり強引な政治運営が目に付くようになりました

アメリカと中国の2国で約34.2兆ドル(2018年)、世界の約4割を占めます。そういうこともあり、「2大国」ということを2012年あたりから習近平が言い出しています。20世紀の終わり頃は「韜光養晦(とうこうようかい)」と鄧小平は言っていました。

「韜光養晦」というのは、光を韜 (つつ)み、養い晦(かく)す、と読み下します。国力が整わないうちは、国際社会で目立つことをせず、じっくりと力を蓄えておくという意味であり戦略です。才能や野心を隠して周囲を安心・油断させておいて、その間に力を蓄えるという処世術でもあったのです

1990年代に鄧小平が唱え、当時の中国の外交、安保の方針となりました。ただ、これを逆読みすると、国力が整えば、国際社会に敢然と打って出て良いという教えにもなります。習近平は機は熟した、と判断したということでしょう




 日本のアイデンティティと伝統文化を世界に向けて発信する時代

大分水嶺の時代」というのは、舵取りを一歩間違えると、奈落の底に真っ逆さまという状況が起きてしまう時代です。ただ、日本の政府や政党は押しなべて、そのような危機意識は持ち合わせていないように見受けられます

波高しになっていることまでは分かっていると思いますが、人は常に平常心でいたいという心理が働くため、根拠のない楽観論で日々過ごすことになってしまっています。日本の政府の対応を見ていると、その時々の政治日程に追われてしまって、長期的視点・展望に立った改革・施策を打ち出すことが出来ていません

吉田一郎氏の著書『消滅した国々』(社会評論社 2012年)によると、第二次世界大戦以降崩壊した国は183か国とのことです。なじみのあるところで言えば、ソ連、東ドイツ、チェコスロバキア、ユーゴスラビア、南ベトナムなどです。現在世界の国の数は190余国。それと同じ位の数の国が合併や分離により消滅してしまったとのことです。日本人は島国に住んでいるため、他国や他民族を動態的に捉える感覚が鈍く、危機意識が低いと言われます。


日本のアイデンティティと伝統文化を世界に向けて発信し、積極的に理解を求める時代です。

 観光立国にふさわしい情報戦略と、令和の時代にふさわしい科学技術、教育戦略を立てる必要があると思います。

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(アイキャッチ画像は日本経済新聞より)

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