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子供の人口減を「子どもの日」に考える ―― 子供を社会の中心に置いていない / 子供抜きの教育政策が進行中

女性

「今日は、子どもの日ですね」

「今でも、♬「ちまき食べ食べ兄さんが……」と歌っているのですか?」

女性

「それは、何の歌ですか? 聴いたことはありますが、歌った記憶がありません」

「『背(せい)くらべ』という歌です。5月5日に兄が弟の背の高さを計ってくれたという歌です。ただ、今はもう、歌詞の内容自体があり得なくなってしまいましたからね」

女性

「どういうことですか?」

「♬「柱の傷はおととしの、5月5日の…」という歌ですが、キズをつけて良いような柱がない」

女性

「歌っていると、あんたね犯人は、と言われる可能性もあるし、さらにキズをつけると、親に怒られます」

「それから少子化が進行して、兄弟がいない子供が増えました」

女性

「一人ではつけられない、ということですね」

「では、♬「屋根より高い鯉のぼり」という歌は知っていますか?」

女性

「そちらは知っていますし、歌ったこともあります。だけど、鯉のぼりを見なくなりましたよね」

「そう言われれば、そうですね。私の子供の頃は、それぞれのご家庭で庭に出したりしていたのですがね。そういう光景も無くなってしまいましたね」

女性

「小学校によっては出しているところもあります」

「そういう行事についてのニュースをNHKは報道しなくなりましたよね」

女性

「最近は、コロナばかりですよね」

「子どもの数が減り続けています。「少子化」と慌てている割には、教育の中心から『子ども』を外し、社会の中心から『子ども』を外しています。それが根本的な少子化の原因だと思います」

女性

「その辺りの詳しい話は本論でお願いします  ↓」

 

 子供の人口、40年連続減少――原因分析が的外れ

毎年総務省が子供の日に合わせて15歳未満の子供の人口を公表しています。今年は約1500万人で、40年連続で減少したとのことです。この調子だと、来年はさらに減少するでしょう。この現象をどう考えれば良いか、一時的なものではなく、コンスタントに減少しているということは、何らかの原因があるはずなので、それを解明し、分析し、対策を講じる必要があります。

少子化の原因について、多くの識者は女性の社会的進出と養育や教育に関わる経済的負担、さらには生涯未婚率が男女ともに上がっている、およそこのようなことを挙げます。いずれも、的外れです。中心線を外した論評が目に付きます。

 子供たちが常に脇に追いやられてきた現実がある

アフリカには「子どもが成長するためには一つの村が必要」という諺があります。どういうことか。子供が成長するためには、多くの人の輪が必要と言っているのです。そして、「一つの村」には、性質の違う3つの集団が存在します。家族と子供集団と地域の人たちです。いずれも、子供の健全な成長のためには欠かせない集団です。そして、それはアフリカに限ったことではなく、全世界、つまり日本にも通じる考え方です。

改めて、その3つの集団が現状においてどうなのかを考えてみますと、心細い限りです。これが少子化の構造的な原因となっています

家庭内暴力(DV)や児童虐待は右上がりに増えています。小中学校でのいじめ、不登校も右上がりに増えています。学校統廃合と市町村合併によって地域が破壊されてきました。特に学校統廃合によって、学区そのものがなくなった地域が多くあります。そうなれば、親は子供の通学負担を考えて転居を考え始めますので、消費が減少し始め、シャッター通りが増え始め、地域は衰退していきます。学校統廃合とその地域の人口推移を調べたことがあります。全国的に調査した訳ではありませんが、学校統廃合を「熱心に」行った自治体ほど、人口減となっています。

両者に因果関係はないというのは、文科省の見方ですが、これは各自がご自身でインターネットを使って確認できますので、確かめて欲しいと思います。調べ方は簡単です。各自治体が学校統廃合を行った件数を調べます。そして、自治体の人口動態も調べることが出来ます。その両者を照らし合わせれば良いだけです。

学校統廃合を「熱心に」行った北海道、東北地方と逆に抵抗した沖縄県を比べられるとよく分かると思います。一番分かりやすいのは、沖縄県です。そのことは、かつてこのブロク(「学校統廃合と人口減」2019.12.4)の中で書きましたので、読んでいただければと思います。沖縄県の多くの自治体は統廃合に反対したのですが、中には賛成した自治体(国頭郡)もあったのです。前者は人口が増え、後者は人口が減っています。この40年間でいえば、豊見城市は2.5倍、浦添市1.9倍、宜野湾市1.8倍、沖縄市1.4倍、糸満市1.4倍と軒並み増えています。学校統廃合を「着実に」行った国頭郡は25%人口減だったのです

(「自治体通信」)

 子供抜きの教育政策は現在も進行している

1年前に全国一斉休校が実施されました。今から思えば不必要だったと思う人が大半ではないかと思います。公立の小中学生は、地元の学校に歩いて通っている子供が大半です。コロナ感染のリスクが極めて低いのは、少し考えれば分かることです。日本は文科省を頂点とした中央集権的な教育行政を行っている国なので、政府の要請一つでそういうことが可能ですが、ミスをした時のリスクはどうしても大きくなります。

文科省は単なる行政省庁なので、トップの人間は必ずしも教育のプロパーではありません。その行政省庁が自治体の状況や地域の特性に関係なく、共通内容を全国一律に実施をしようとしてきました。デジタル教育推進ということで、全国一斉に端末機をこの4月に全国の公立の小中学校に配布しました。子供の状況は関係ないのです。ただ、もう今は全国一律的な教育をする時代ではないのです

子供は個性をもった存在です。教育は個別具体的な細かい対応が出来ればできるほど、子供たちにとっては良いことです。子供を中心に置くというのは、そういうことです

そうなると、一人の子供に一人の大人が良いのではないか、ということになるかもしれませんが、それは物理的に不可能なので、個別具体的に考える場面と集団で考える場面の2つを用意します。個別具体的に考えるのは、最先端の層と「枠」から出た層への対応です。

 英才教育と不登校生徒へのオンライン対応

最先端の層の対応というのは、英才教育です。そういうことを国家戦略的に考える時代だからです

「枠」から出た層というのは、不登校や保健室登校の子供への対応です。文部科学省の調査によると、小学校、中学校、高校の長期欠席者数は、小学校9万89人、中学校で16万2736人、高校で7万6775人。そのうち不登校なのは、小学校5万3350人、中学校12万7922人、高校5万100人です。年々増加傾向ですし、学年が上がるにつれて増えています。

特に中学校に入ると一気に増加。中学3年生では不登校生徒が5万人弱に達します。異常事態だと思っています。

その対応が学校に任されていますが、現場にはそういったことに対応する教員が配置されていません。対応の仕方も含めて、何らかの方針は文科省の責任において出すべきでしょう。そういった子供たちに対してこそ、オンラインでの手当てを考えたらどうかと思いますが、現在は「置き去り」状態です。

出来ないのならば、教育権限を地方の教育委員会に委譲するべきだと思っています。

(「朝日新聞デジタル」)

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