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コミュニティースクール と スーパーシティ / 上手くタイアップ出来れば地域が活性化して人口も増える

「コミュニティースクールとスーパーシティというテーマでいきたいと思います」

女性

「それ、ミスマッチじゃあないですか?」

「どうしてですか?」

女性

「コミュニティースクールは教育問題ですが、スーパーシティというのは教育とは関係のない問題ですよね」

「それか今までの発想ですよね」

女性

「それでは、駄目ということでしょうか?」

「スーパーシティというのは、簡単に言えば高機能型集約都市です。何のためにそのような都市づくりをするのかと言えば、地域の活性化だと思います。コミュニティースクールも地域の活性化という狙いがあるはずです」

女性

「両者には、共通の土壌があるということですね」

「共通の土壌があるのだから、バラバラに考えるのではなく、有機的に考えるということが重要だと思います」

女性

「目指しているものは大きく違っていないので、力を合わせてGOということですね」

「そうですね、地域には人口減という大きな問題もあります。それを見据えながら、街づくりと教育づくりを行うというイメージですね」

女性

「そういうことを今まで言った人はいるのですか?」

「多分いないと思います。日本は縦割り行政的な思考に馴らされてしまっている影響があると思います」

女性

「その考え、特許をとったらどうですか?」

「単なる提案は特許をとれませんからね。それより、これを読んで少しでも現実に動いてくれる人がいれば嬉しいと思います」

女性

「ここからが本論です ↓」

 コミュニティースクールとスーパーシティ ――有機的な連携が必要

今日のテーマを見て驚かれた方がいるかもしれません。コミュニティースクールというのは教育問題であり、スーパーシティというのは政府が改正国家政略特区に基づいて政府が選定するものです。ただ、教育学というのは学際的な学問なので、様々な分野からのアプローチが望ましいのです。

両者に共通しているのは地域の活性化という点ですが、お互いに有機的に連携して協力するという考えは余りないように見受けられます。ただ、対象地域は同じなので、可能な限り有機的な連携を模索すべきと考えます。というか、バラバラの発想でそれぞれが動いていたのでは、大きな力になりません。大きな力になっていないため、地域は衰退し、少子化が進行しているということです

少子化を仕方がない、宿命論的に言う方がいますが、完全な敗北主義です。原因あるところに結果があります。その原因を取り除けば、結果は現れるのです。日本の全ての地域で少子化が進行している訳ではありません。沖縄のように、地域の文化を守る態勢がとられているところは人口が増えているのです。その経験に謙虚に学ぶことも大事なことです

 (「朝日新聞デジタル」)

  少子化に苦しみながらも、スーパーシティ特区入りを目指す

子どもたちの教育の問題と地域の高機能化、さらには地域の少子化の問題は、すべて同じベクトルで考える必要があります。今までの論調を見ていると、それぞれバラバラに考えられているし、所轄官庁もバラバラです。これでは力が分散して、結局何の成果も得られないということになりますし、実際にそうなっています。

話が抽象論になっていますので、具体的に話をしたいと思います。そのための「材料」を探していたのです。地域が狭く、独立性が高く、それなりの歴史と伝統があるが少子化が進行して過疎化と学校統廃合が行われ、それでもなおかつスーパーシティを志向している自治体を探していたのです。何故、そういった自治体を探していたのかと言いますと、分かりやすいデーターが得られると思ったからです。

そんな自治体がある訳がないと普通は思います。ところが、天から降ってきたように『日経』の紙面一杯にそれに該当する自治体の記事が載ったのです。

「3800人自治体の挑戦――和歌山・すさみ町特区へ名乗り」という表題の記事が『日経』(2021.4.14日付)に掲載されました。

その記事の「さわり」の部分だけを紹介します――「人口減や高齢化など社会課題に対応するため、先端技術を通じた持続可能な街づくりを後押しする政府の『スーパーシティ』構想に、和歌山県すさみ町が名乗りを上げる。民間企業と共同でデータ連携基盤を構築して交通・防災・医療の利便性向上と、観光資源を生かした先端サービスの実現を進め、交流人口を呼び込む構想だ。人口3800の小規模自治体は地元の再生を果たせるか」というものです。

「交流人口」という耳慣れない言葉が使われていますが、要するに観光資源を生かしての町おこしをしつつ、高機能な街づくりを果たそうという計画です。ただ、この計画の中心に「子ども」はいません。地域の中に「子ども」を真ん中に置くことを考えないと、必ずその地域は衰退し、人口減は進みます。「特区へ名乗り」を上げても、「子ども」を見る視線がないとダメなのです。

 (「susami-kanko.com」)

 廃校にした小学校にいた在校生の数の涙が跳ね返ってくる

すさみ町は、紀伊半島のほぼ先端に位置する農林水産業と観光業が主要産業の町です。南紀白浜空港から車で30分の位置にあります。世界遺産に登録された熊野古道や稲積島の原生林など、豊かな自然美が魅力の地です。

しかし、このすさみ町は「高齢化と人口減で……直近50年で人口は半数以下に減少。4半世紀でさらに半減するという予測もある」(『日経』2021.4.14日付)とのことです。

何とか巻き返しをということで、県と共同で「南紀熊野スーパーシティ構想」を進める計画を立てているのが、すさみ町町長の岩田勉氏です。

町土の9割を超える林野に、階段状に広がる美しい海岸線を伴う。小さい町だが、それゆえに住民同士のつながりは温かい」(『日経』同上)とあります。この温かいつながりを絶やすことなく代々にわたって繋げていく努力を今までしてきたのかということです。周りの自然がいくら美しくても、それだからといって地域を活性化させるまでの力はありません

学校統廃合、特に小学校を廃校処分にすると、その学区域が急速に衰亡します。すさみ町が廃校にした小学校の数々を見てみることにします。以下は、「haiko-riderのブログ―――すさみ町の廃校休校巡り」を参照にして作った表です。

廃校の年 小学校名 1969年度の在校生の数
1970年 大己(たいき) 小学校 26名
1971年 大附(おおつき)小学校 11名
1971年 競智(きょうち) 小学校 16名
1971年 上戸川(こどがわ) 小学校 9名
1973年 協和小学校 39名
1973年 太間川(たいまがわ) 小学校 17名
1978年 大鎌小学校 14名

沖縄県では、在校生が0になっても廃校とはせずに休校措置をとっています。例えば、石垣市立平久保小学校がそうです。2021年度に休校が決まりました。

地元の『八重山日報』によると、平久保小の児童数は15年度9人、16,17年度8人、18年度5人、19,20年度4人、21年度は1人が卒業し、3人残る予定だったそうですが、転校のため0人となり休校となったそうです。「学校がなくなると、地域がなくなる」ということで廃校にはしない、移住者を受け入れるためにも残すということです。本来はそのように行政がサポートして地区に学校を残すように努力すべきなのです。

統合するから学校を移れと言われて喜ぶ在校生はいません。廃校を喜ぶ、地区の住民もいません。上の在校生の数をすべて合計すると132名となります。子供の後ろには各家庭や親族がいますので、少なくとも500人位の人たちが悲しんだり、苦しんだりしたと思われます。涙の数が人口減として跳ね返ることになります

現在は小規模校でも、オンラインや様々なことを工夫すれば運営することができます。スーパーシティの中には、遠隔授業も入っています。可能であれば、地区に再び小学校を設置する。それができなければ、スーパーシティ構想を導入したからといって人口減は止まらないでしょう。学校がなければ、夫婦で移住してくる訳にはいかないからです。

読んでいただき、ありがとうございました。

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