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デジタル化は喫緊(きっきん)の課題 / 労働組合運動は終焉の時代を迎えつつある

「労働組合のナショナルセンター(全国中央組織)である「連合」が次の衆議院選挙に向けて、基本方針を決めたそうです」

女性

「そうなんですか。私の職場には労働組合があって、一応組合員ですがほとんどよく分からないまま執行部の役員の方に任せきりになっています」

「典型的な今の労働組合員ですね」

女性

「先輩から、「昔は団結がんばるぞー、とやったんだよ」と言われたことがありますが、今はそんな雰囲気はないですね」

「そのことについて、どう思っていますか? 昔のように頑張るべきとか、いや、このままでとか、どうですか?」

女性

「あくまでも私の感覚ですが、今は仕事がかなり細分化されてしまって、自分の持ち分の仕事をとにかくこなす、周りと比較しても仕方がないという感じになっています」

「それじゃあ、組合活動という意識にまで行きにくいですね」

女性

「そうですね、ただ、お任せしている負い目があるので、なるべく執行部に協力しようという気持ちはあります」

「選挙の協力のお願いということで、職場に何か要請が来ていますか」

女性

「いえ、まだありませんが、いつも選挙の告示があると、すぐに執行部や連合の方から投票要請や決起集会の動員、応援政党の街頭演説の際の運動員、ビラ撒き要員などの協力要請が来ます」

「衆議院選挙は間違いなくこの1年以内にありますので、心の準備をする時期かもしれませんね」

女性

「私は政治的な話題は好きですが、そういう選挙運動とか、労働運動は何となく苦手なんです」

「そうですか。まあ、得意な人は少ないと思いますので、ごく普通の感覚だと思いますよ」

女性

「ここからが本論です ↓」




 労働組合運動終焉の時代 

労働組合運動そのものが変わらざるを得ない時代になってきています

労働組合運動は、一つの職場で多くの労働者が働き、同じような労働をしているというような前提のもとに成り立っている言葉です。そんなところから「ベア(ベースアップ)」という言葉が生まれたのですが、「春闘」や「ベア」という言葉は今後5年以内に死語になると思っています。逆に、この言葉が5年後にも生き残っているようでは、日本社会は「ヤバい」状態と考えた方が良いと思います。

日本の労働組合関係者の発想は、製造業を想定していると思います。ただ、世界の主な潮流は製造業からサービス業、さらにはデータサービスにかなり早いピッチで進んでいます。そういった影響を受けて、賃金体系を変えている企業が増えています。「年功制が限界に来たトヨタ」というのは『日経』の「社説」(2020.10.7日付)です。社説は「トヨタの動きを機に、ほかの企業も年功賃金にメスを入れるべき」「日本の経営者は労使協調を重視し、世界では異質な年功賃金を温存してきた。社員の定着率を上げられるなどの利点があったが、いまは競争力低下という負の側面が強まっている。大胆な改革をこれ以上、先送りすべきではない」と結んでいます。

例えば、ソニー今年度から、優秀な若手・中堅の従業員の年収を最大で標準より250万円高くするとのことです。このように、従来の横並びの給与体系を見直すと同時に、会社に対して貢献度の高い社員に対して報いるシステムを導入する企業が今後も増えることが予想されます。

そして、ソニーは日立製作所やパナソニックで構成する2020年の電気大手の統一交渉に参加するのを見送っています組合運動というのは、一律に同じ労働を全体として行うという前提の言葉です。時代の流れの中で、組合運動そのものが縮小、そして無くなっていくことになると思います。

 

 日本の労働生産性が落ちているのは、デジタル化の流れに乗り遅れたため

「一瞬先は闇」という言葉がありますが、世界は生き馬の目を抜くような競争社会ですので、油断大敵です。もたもたしていると闇どころか、真っ暗闇の奈落の底に落ちることもあります

IT基本法を作って、5年以内にIT先進国になると宣言したのが2001年です。達成できていないのは、政治家のレベルの低さの問題です。なぜならば、行政組織を俯瞰的に見ることができ、国家戦略も含めて法的手当など様々な施策を打ち出すことが出来る立場の者は政治家しかいないからです。途中、民主党に政権交代がありましたが、そういうことがあったとしても、国家の戦略的な事業に関することについては、継続できるようにする必要があるのです。

日本生産性本部が2020年の9月に「生産性白書」を発表しています。その中で、日本が経済成長するためには、落ちている労働生産性を上げるしかないこと、そのためにはデジタル化や人材投資など8項目について提言しています。

ところで、労働生産性が低いとのことですが、算出の仕方は、GDP(国内総生産)を就業者数で割って出します。2018年の統計によると、OECD加盟国36か国中、21位で低迷しています

 人材を育て、確保するための投資を急ぐ必要あり

低迷の原因ですが、一言で言えば、世界の経済の趨勢や流れを読み間違えて、周回遅れになってしまったからです。昨日のブログで「収穫逓減の法則」と「収穫逓増の法則」のことを書きました。「収穫逓減の法則」が適用されるのが製造業です。ある限界点を境に、収益が伸びなくなります。一方、IT関連業は「収穫逓増の法則」が適用されます。そして、実際にそうなっています

アマゾン、純利益3倍」―—『日経』の昨日(2020.10.30)の1面の記事の標題です。米IT関連の大手4社が2020年7月~9月期決算を発表したそうですが、それによりますと「アマゾン・ドット・コムとアルファベット(グーグル親会社)、フェイスブックの3社の純利益が四半期ベースで過去最高を更新した」とのことです。このように、実際の数字にも表れています。

こういう状況の中で、どうすれば良いのかということです。現在の日本経済は、負のスパイラルの中に入ろうとしているところです。立て直すならば、今しかありません

まず、人材を育て、その人材を確保することです。日本にいなければ、外国から来てもらうようにしなければいけません。アメリカではIT企業が日本のエンジニアの採用を増やしていて、人材の海外流出が懸念される中で、防衛的に日本企業の中には高いスキルをもった人材に高い報酬を払うという動きが出始めています。

研究開発費の項目で見ると、日本企業が他国企業に比べて劣っていることが分かります。「日本全体としてデジタル時代への投資が劣後しているようでは、国としての将来も危うくなる」(『日経』2020.2.2日付)と指摘しています。

本来、今話題の日本学術会議には、こういった戦略的なことを大所高所から提言する使命があるのです。その役目を満足に果たせないまま、政府のお荷物的組織に成り果てています。そこには、現在の日本の病んでいる姿が映し出されているのです。

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