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危機の時代には独裁体制が人を惹きつける / 民主主義の考えに基づく新しいシステムを構築する必要あり

「『民主主義 少数派に』『民主主義が衰えている』という記事が『日経』(2020.10.26日付)に載りました」

女性

「ここに、「民主主義は退潮、非民主主義は伸長」とありますね」

「スウエーデンの調査機関V-Demのデータを載せてくれていますが、それによると民主主義国が87か国、非民主主義国が92か国です」

女性

「世界を見渡すと、民主主義が必ずしも主流ではないのですね」

「今までは主流だったのですが、ここに来てひっくり返ってしまったのです」

女性

「そうなった原因は何ですか?」

「コロナの影響も間接的にあると思いますが、低成長と富の偏在、格差の顕在化などです。こういうことがあると、国民の中から不満が出て、場合によっては体制がひっくり返ります」

女性

「よくヒトラーが例に出されますが、ヒトラーも選挙で政権を獲ったのですよね」

「第一次世界大戦に敗れたドイツは多額の賠償金に悩まされます。1929年の世界恐慌もあり、ヒトラーが政権を獲る頃は大量の失業者とインフレに悩まされる状態でした。しかし、彼は手腕を発揮して、それらの難問を解決し、国民に熱狂的に支持されていきます」

女性

「民主的に選ばれたけれど、独裁者になっていったということですね」

「そうですね、政治的手腕は高かったと思います。戦争前に死んでいたならば、ドイツ史上最も偉大な宰相と言われただろうと評価する人がいる位です。ただ、その成功で自信をつけるのです」

女性

「そこから暴走が始まるわけですね」

「突然、民族意識に目覚め、ユダヤ民族の大量虐殺に走り、ベルサイユ体制打破を掲げて突き進みます」

女性

「中国は中華民族ということを言い始め、周辺のチベット族、ウイグル族やモンゴル族を圧迫しています。何か似ている感じがします」

「ここ近年は特に目に余るものがありますが、独裁色を強めると、対外的に強く出てくるというのは、歴史が教えるところです」

女性

「それにしても、日本の反応が悪いですね」

「そうですね。ここからが本論です ↓」




 危機の時代に民主主義は逆作用する

民主主義というのは、選挙によって代議員を選出し、その議員たちが集まって議会政治が行われるという一連のシステムを意味しています。そのため、議会制民主主義とか国民主権主義と言ったりします。主権者国民によって選ばれる国会が「国権の最高機関」(41条)とされ、その国会を中心に国政が行われています。

その民主主義というシステムが危機の時代に上手く作用しないのではないかということです。どういうことか。危機を感じるセンサーの感度が人によって違うからです

かつて韓国で、修学旅行生を乗せたセウォル号の沈没事故がありました。その際の船内の状況が明らかになっています。船が大きく揺れた時、反応は大きく分けて3通りでした。大変だと思い救命具の所に走り寄った生徒達、茫然として何があったのかという感じの生徒達、逆にこのスリルを楽しもうとスマホなどで記念撮影をする生徒達です。危機感をもって対応しようとした生徒は全体の1割程度だったそうです

セウォル号と同じような状況が、社会の危機の際にも起きるということです。つまり、危機を危機として捉えない人の方が多くいることは間違いないでしょう。ということは、民主主義社会は多数決で決まりますので、先進的な動き、望ましい動きは期待できないということになるのです。

 

 「資本主義経済も危機の中で上手く機能しない」(グレン・ワイル)

マイクロソフト主席研究員のグレン・ワイル氏が「民主国家も資本主義経済も危機の中でうまく機能しないことがはっきりした」(「収穫逓増モデルへ対応急げ」『日経』2020.10.28日付)と言っています。

民主国家については、今説明した通りですが、資本主義経済がどうして機能していないと言っているのかということについて説明します。

資本主義経済の生命は自由競争ですが、「収穫逓増(ていぞう)の法則」が当てはまるIT関連産業が発達すればするほど、寡占が進み、自由競争が奪われるからと言っています。収穫逓増の反対の意味として収穫逓減という言葉があり、資本主義経済では一般的な現象として説明されていることです

どういうことか。「一定の土地からの収穫量は、資本・労働の投入量の増大に応じてある点までは増加するが、その点を超えるとしだいに減少するという法則」(「Goo辞書」)と一般的に説明されています。例えば、ある土地から50本のキュウリが獲れたとします。良質の肥料を蒔いて70本になったとします。そこから肥料を蒔いたり、人手を増やしてもそれに比例して収穫量は増えないということです。そして、この法則はモノ作りの工場にも当てはまります。

ところが、「世界最大級のテクノロジー企業は巨大な収穫逓増プロセスの所有者」(グレン・ワイル 前掲論文)と言っています。どういうことかと言いますと、データを集めれば集めるほど、そして様々なネットワーク同士が繋がれば繋がるほど収益は増える傾向となります。多くの人が顧客として登録されれぱ、広告料も高くとれるからです。だからどうしても独占事業になりがちで、競争が阻害される方向に物事が進み、資本主義のシステムはこの事態に対して無力です。

 

 民主主義の考えに基づく新しいシステムを構築する必要あり

それではどうすれば良いのかということですが、

再び、グレン・ワイル氏です。彼は「収穫逓増プロセスをうまく運用できるのは資本主義ではなく民主主義だ」(前掲論文)と言います。ただ、彼の言う民主主義というのは、「民主主義の説明責任と市場の柔軟性を融合させた新しい社会形態」と言います。こういった社会実験において台湾とエストニアでは成功を収めていると言います。

そして、何よりも大事なことは起業家が「旺盛な公共精神でもってテクノロジーの活用に臨むこと」と言います公共の利益優先といった利他の精神が求められると言います。そして、「新しいより良い制度を早急に構築することが必要」と言っています。

ポスト資本主義の時代です。新しい事態に対応することが次から次へと増えています。頭をデジタルの時代に対応すべく、切り替える必要があります。

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