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日本の学校教育で足りないもの(10) ―― 「志」教育 / 自分を見つめ、社会の中での生き方を考えさせる

「NHKの朝ドラ『おかえりモネ』を見ていますか」

女性

「見ていますけど、えっ、見てるんですか? ドラマは見ないって前におっしゃっていましたよね。どんな心境の変化があったのですか?」

「予告編を見て、このドラマを見ようと決めたのですが、東北の自然の美しさを背景に、一人の女性が悩みながら自分の生きる道を探そうと努力しますよね。そんなところでしょうか」

女性

「実は、出演陣も結構著名な方が揃っているのです」

「そうなんですか。私は夏木マリと竹下景子くらいしか知りません」

女性

「竹下景子が語りというだけで後は何となく想像がつきますが、それだけNHKが力を入れているということだと思います」

「あと、このドラマのテーマが、今の青少年に必要な志(こころざし)ですよね」

女性

「志ですか。人生の夢とか、目標ということですよね」

「いやいや、そういうふうに置き換えないで欲しいのです。志は志ですから。置き換えてしまうと、微妙なニュアンスが伝わらなくなってしまいます」

女性

「逆に、それらはどう違うのですか?」

「志は社会の発展と自分の生き方の両方を考えているのですが、夢、目標はあくまでも個人のことだけを考えています」

女性

「だからモネは、社会の役に立ちたいということを常に思い続ける主人公として登場させているのですね」

「そうだと思います。さまざまな出会いときっかけの中で自分の志を見つけるモネを応援したいと思います」

女性

「カッコイイ。今日はどうしたのですか? ここからが本論です ↓」

 

 「志」は社会の在り方を考えながら、自分を見つめ、自己の生き方を考えること

2人の会話にあるように、志と夢・目標は違います。教育的効果があるのは、志です。両者は似ていますが、意味的には全く違います。志には、社会にとっても自分にとってもプラスという2つの視点がそこにあり、さらに自分の生き方を自問自答する姿がそこにはあります。

夢・目標というのは、あくまでも自分個人の価値観だけを至上のものとしますので、場合によっては、社会的に余り意味がない場合もあります。例えば、億万長者になるのが夢・目標だと言って、その実現に向けてひたすら努力します。仮に、その人が億万長者になったとしても社会的な影響は殆どないと思います。志になると、そこから一歩進んで、そのお金で日本の教育環境を整えるために事業を立ち上げるとなれば、1本の道筋が見えてきます。社会的にも良い影響を与えることになるでしょう。

せっかく夢・目標まで立てられたならば、もう一歩踏み込んで世のため、人のためにどうすれば良いかという志を立て、その実現のために人生を歩むことができれば、少なくとも大きく道から外れることはありません。夢・目標だけで終わってしまうと、道を時には外れることもあります。億万長者になるために、不正なことに手を出すかもしれないからです。ここに2つの視点から自分の人生を考えることができる「志」の意義があります。まさに「おかえりモネ」のテーマでもあるのです。モネもこれから自分探しの旅をしながら、社会のために自分に何ができるのかを考えながら生きていくと思います。そんな生き方を日本の子供たちも真似して欲しいと思います。


(「日刊スポーツ」)

 現行の「道徳」の教科書に欠けている視点

教育出版の中学道徳の教科書、中1から中3まで『とびだそう未来へ』が3冊手元にあります。志教育という視点から見てみたいと思います。中1の教科書を開いてみます。一番最初にこの学年で学ぶ項目が6つ提示されています。その中の1つが、「夢や目標を見つけよう」ということで、それに関わる話(教材)が3話用意されています

ちなみに、「夢や目標を見つけよう」というテーマは中1だけで、中2、中3にはありません。それも何か変な構成だなと思います。

【「夢や目標を見つけよう」で扱っている内容】

表題    主な内容
「どうせ無理」をなくしたい 実話 中学からの夢だったロケット開発に取り組み、その体験を伝える活動をしている植松努氏の話。
まだ進化できる/イチロー選手の生き方 実話 日米通算安打4257本を打ったイチロー選手の話。毎日努力をすることの大切さを語る。
幸せな仕事って 創作 中学生が職業調べで寿司屋さんと和菓子屋に行っていろんなことを学ぶという話。

道徳は生き方を学ぶ教科なので、実際に存在した人間が登場しないものは、どうしても迫力と説得力が落ちます。そんなことから、実際に存在した人物の話を題材にすべきだと思います。そして、その際の話のまとめ方が重要となります。

「志」の視点を入れると、生き方の参考になります。イチローの話を例にとりますと、コツコツ小学校のうちから努力をして大リーガーでも活躍する選手になったというだけでは、夢、目標を実現したに過ぎません。しかし、世界で活躍して、多くの野球を愛する人たちに夢と希望を与えたいということであれば「志」になります。要するに、視点が重要なのです。

今度は、東京書籍の中学道徳の教科書(「新しい道徳」)を見てみます。中1から中3まで3冊が手元にあります。この教科書は道徳の内容を「自分自身に関すること」「他の人との関わり」「集団や社会との関わり」「生命や自然、崇高なものとの関わり」という4項目に分けた上で、その項目に関する話を掲載するという編集方針ですが、「志」というのは「自分自身に関すること」でもあるし、「集団や社会との関わり」でもあるので、扱えないことになりますし、実際に扱っていません。

努力して自分の目標を達成したという話は掲載されています。「あきらめない気持ちで」(中2)の中でピアニストの館野泉さんの話が紹介されていますし、「高く遠い夢」(中3)ということで登山家の三浦雄一郎さんの話が載っていますが、いずれも「志」の話にはなっていません。

(「Full-Count」)

  志教育は各ご家庭で実践を

なぜ、こうなっているのかということですが、文科省が「志」を堰き止めていたからです。文科省が教育課程権を握っていますので、そこがウンと言わない限り「志」を入れた教科書が作成できないのです。これも今の教育行政のおかしなところだとは思いますが、それはそれとして、その文科省が最近「志」を認めたのです。

一般社団法人の中に「教育再生実行連絡協議会」という団体があります。「志教育」ということを推進している団体です。そして、教育再生実行会議においては、安倍総理を始めとしてメンバー17名中14名が「志教育が重要」と発言したにも関わらず、これが文科省の中に入ると、「夢」や「目標」という言葉に置き換えられてしまっていたのですが、ようやく2018年3月の「第3期教育振興基本計画について(答申)」の5つの基本的方針の中に「1.夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要な力を育成する」ということで、「志」という言葉が入ったのです

ただ、道徳の教科書に反映されるためには、もう少し時間が掛かると思います。

それを待つ訳にはいきませんので、志教育は各ご家庭で実践していただくしかないと思います。えっ、と思われるかもしれませんが、これは比較的簡単です。何か機会があるたびに、「何でもいいから、社会に役立つ生き方を見つけろ」「人より優れた能力を見つけろ」「分からなければ友達と相談しろ」「友達が何も言わないようなら本を読め」。こんな言葉を子どもに意識的に投げかけてあげて下さい。彼らなりに、意識し始めます。それが重要なのです。そして、時には家族会議を開いて、「おかえりモネ」の話をしても良いですし、「将来の自分」ということでプレゼンテーションをさせてみても良いと思います。

現行の道徳の教科書には「志」の視点が入っていません。学校はあてにできないということです

(「アマナイメージズ」)

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