ようこそ日本の危機へ!このブログでは主に最新のニュース、政治、教育問題を取り上げております。

菅総理辞任表明でなぜ株価が上がったのか ―― 短期買い、長期売り / 基礎体力(ファンダメンタルズ)をつける必要あり

女性

「菅首相の突然の辞任表明、びっくりしました。まだ、総理大臣になったばかりという印象をもっているのですが……」

「約1年でしたね。結局、短命内閣で終わってしまいましたね」

女性

「総理大臣になった時は、市会議員からの叩き上げ総理とか、令和おじさんということで、内閣支持率もかなり高かったですよね」

「組閣当時は74%でしたね。その数字は、歴代3位です。政権発足の時は、どの内閣の時も期待感があって高いのですが、歴代3位という高さだったので期待した人が多かったと思います」

女性

「それが7月の世論調査では、支持率が30%を切ってしまい、(「時事通信社」)不支持が49.8%になりました。原因は、どんなところにあったのですか?」

「とにかく、「コロナ禍内閣」でしたよね。それしかなかった、という感じです。天が味方をしなかったということでしょうか」

女性

「天運という言葉があることは確かですが、天に見放されたという一言でまとめてしまう訳にはいかないと思うのですが……」

「中国古来の教えに『天の利、地の利、人の利』と言うのがあります。戦国武将の中にはこの3つを規準に戦略を考えていた人もいたのです。その3つが揃って始めて勝利ができると考えたのです」

女性

「天の利、人の利は分かりますが、地の利というのは何ですか?」

「戦う場所ですね。いわゆる地勢というものです。山あいなのか、平野なのか、城内なのかによって戦い方は異なります。だけど、これを説いた孟子は、天の利よりも地の利、地の利よりも人の利ということで、人の和が一番大切だと言っていたのです」

女性

「総裁選に出るために20人の推薦人が必要ですが、その人数すら集めることができないのではないかという噂も流れましたからね」

「人の利が無くなったので、追い込まれて辞任したということでしょう」

女性

「ここからが本論です ↓」

 菅総理辞任表明でなぜ株価が上がったのか

株式市場がどのように反応したかで、今回の辞任に対する経済界の「真意」が分かります。菅首相退陣の一報が伝わった3日正午前、取引中だった大阪取引所では日経平均株価の先物価格が数分間で約200円も上昇し、東京株式市場も午後の取引開始から株価が急上昇したのです。そして、日経平均株価の前日終値からの上げ幅は一時600円を突破し、約2カ月ぶりに2万9000円台を回復しました。要するに、これが株式市場の率直な反応なのです。

何故、一国の総理が辞任したニュースが流れて平均株価が上がったのでしょうか。下がるのが普通だろうと思われる方も多いのではないかと思います。「歓迎している」と報じたマスコミもありますが、大きな不安材料がなくなったというだけです。つまり、このまま菅総裁のもとで任期満了となっての衆議院選挙では、自民党は勝てないだろう、そうなると、もしかしたら政権交代もあるかもしれない、どのような政権がつくられるか分からないし、どのような経済政策が行われるか分かりません。不安材料が一杯の状況だったのです。その不安材料の一つが、思ってもみなかった本人の辞任意向の表明によって払拭されたのです。それを好感して株価が上がったので、すぐに日経平均30,000円を超すような動きを始めると思います

株式市場の関係者から言わせれば、首相が代わっても代わらなくても、どうでもいいことです。政局さえ安定してくれれば良いだけなのです。ただ、完全に安定した訳ではありません。総裁候補をめぐって多くの方の名前が挙がっていますが、この人だろうという予測すら出来ない状況です。一番気になるのが二階幹事長がどうなるのか、ということです。彼が政権中枢に留まるならば、総選挙で自民党は勝てないと思っている国会議員も多いですし、実際にそうなるでしょう。

(「下野新聞社」)

 株式市場にとってのプラス材料

そういった政局の動きを横目で見ながら、株価が動くことになりますが、経済的なプラス要因としては超がつく程の低金利状況にあり、企業の流動性資産保有の比率が高まっていることです。流動性資産というのは、現金も含めて株や債券のようにすぐに市場に流すことが出来るような資産のことですが、その総量が高まっており、その資金の何割かが株式投資に向かうと思われます。さらに、各家庭には、この1年以上にわたる自粛によって旅行やレジャーさらには飲み会といったことに本来使われたであろうお金が預金というかたちで眠っています。その何割かが、やはり株式投資に向かうのではないかと思われます。その動きは、前回のブログでデータとして示した通りです。

そして何よりも日本銀行がETF(上場投資信託)によって金融政策の一環として株式買い入れ政策を続けていることです。このように、中央銀行が自国の株価を支えるようなことを行っているのは日本だけですが、この禁じ手と思われるような政策を日本銀行は10年以上にわたって続けています。この10年間で買い入れた株式の総額は簿価にして35兆円を超えてしまい、止めるに止めれなくなってしまっています。簡単に言えば、日本企業の大株主は日本銀行ということです。ということは、株価が大きく下落した場合は日銀が買い支えるはずなので、国民は安心して株を買えば良いのかもしれません

(「ビジネス+IT」)

 株式市場にとってのマイナス材料

不安材料のことも頭に入れておく必要があります外国人投資家の動向です。彼らの日本企業、日本経済を見る目は最近に於いては、厳しいものがあります。もちろん、個々に奮闘している企業がありつつも、総体として力強さが無くなってきている、そのため彼らは日本株を売りに入っているのです。日本株の売買において、外国人投資家の占める割合は約60%にも及びますが、彼らの動きを見ると、昨年まで3年連続で売り越しているのです。外国人投資家が日本企業に対して不満を抱いているという記事が『日経』(2021.9.4日付)に掲載されていましたので紹介します――「7月、米コロンビア大が開いた日本株をめぐる討論会では、成長力を高める姿勢が弱い多くの日本企業が「スリーピー(眠い)」と攻撃された」。

彼らの哲学はプラグマティズムなので、業績が上がらない企業の株は処分してきますし、国として明確な成長戦略をもたずにもたもたしている国は切り捨てようとします。日本の平成の30年間は失われた30年でした。GDPはあっという間に中国に抜かれ、2019年の労働生産性は先進37か国中の26位となり、ついに韓国にも抜かれる有様です。体系的な成長戦略不在、大局観に立って国を指導するリーダー不在では、仕方がないことなのかもしれません。

(「NHK.JP」)

労働生産性を高めるためには、国民一人ひとりの能力を高める必要があります学校教育、社内教育、高等教育、職業訓練といったことを体系的に組み合わせるような戦略が求められています。ただ、そんなことは1970年代の頃から言われ続けて来たことです。票に結びつかない「地味な仕事」なので、政治家が長年避けてきたことです。最近では、話題にもしなくなりました。総裁選の論点にすらなっていません。

実は、こういった日本の動向を外国人投資家たちは海の向こうから冷静に観察しています。すべて日本企業の株式を売買するための判断材料とするためです彼らの現在の判断は、短期目線では買い、長期目線では売りというものです。

(「論座」)

「岡目八目」という言葉があるように、彼らの判断が正しい場合が多いと思います。彼らに長期目線で買いと判断されるようになるためにも、大局を見て判断できる強力なリーダーシップがとれる政治家の出現が待たれるところです。

(「くまだとしはるのCOMPLEXFILE-FC2」)

読んでいただき、ありがとうございました。

よろしければ「ブログ村」のクリックをお願いします。

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ
にほんブログ村

最新情報をチェックしよう!