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インフレの波がやってくる ―― ハイパーインフレで資産が吹き飛んだ歴史がある / 財政ファイナンスが常態化している

「前回、戦後インフレのことを少し触れましたが、あのインフレの元を辿ると、現代日本が教訓にすべきことがいくつか出てきます」

女性

「戦費調達のために戦時国債を発行したのが原因とおっしゃっていましたよね」

「経済学用語で言うと財政ファイナンスと言います。歳入が足りないので、日銀が国債を発行してその収益を歳入に組み入れるのです。これを戦前において最初に行った人が高橋是清です」

女性

「その名前、習った記憶があります。名前から察するに、高貴な家柄の出なのでしょうか」

「家柄までは私は知りませんが、その彼、当時は大蔵大臣ですが、なぜ財政ファイナンスを行ったのか、ご存じですか?」

女性

「そんな高度なことは習ってもいません」

「山川の日本史の教科書を見ても何も書かれていませんので、無理はないのかもしれませんが、原因を一言で言うと世界恐慌(1929年)です」

女性

「分かりました。世界恐慌の波が日本に押し寄せて、そのピンチを何とかファイナンスで乗り切ろうとしたということですね」

「財政ファイナンスね。それを1932年から35年まで行い、その後緊縮財政を実施します」

女性

「国の借金を返すためですよね」

「そうですね。その際に、国債を全くゼロにすることは不可能ですので、発行額を徐々に減らしながら増税をするという方法を取りますが、歳出は全体的に減ります。軍事費も削減という話になっていった時に、軍部が激怒します」

女性

「成る程、だから2.26事件(1936年)で軍部クーデターの標的になって暗殺されてしまったのですね」

「そういう経緯があったので財政ファイナンスは加速し、大量の国債が発行され、それが戦費として使われたのです。政権は軍部が事実上握り、日銀を「打ち出の小槌」のように使って戦争を遂行していくことになります」

女性

「今の説明で、私の頭の中で、前回の戦後インフレの話と繋がりました」

「今、ちょうど国は防衛予算の財源のことが話題になっています。国債で賄うのか、増税をするのかという議論にもなっていて、それを聞いて今のことを思いだしたということです」

女性

「歴史は繰り返すということですか。ここからが本論です ↓   画像提供はLINE証券です」

 ハイパーインフレで資産が吹き飛んだ歴史がある

世界恐慌から敗戦をはさんで戦後インフレまでは、政治的にも経済的にも教訓とすべきことがいくつかあります。ところが何故か、歴史や公民関係の教科書を見ても、そういった視点での記述が殆んど見当たりません。ということは、今の政治家の人たちの頭の中には、その辺りの流れや理屈が充分理解されていないのではないかと心配しています。

経済書や教科書には、戦後インフレとして書かれていますが、実際にはインフレは戦時中から進行し、戦後のインフレは単なるインフレではなく、ハイパーインフレです。それまでの通貨単位であった厘や銭が完全に使えなくなりました。それらのお金は完全に紙くずになったのです。

私の義父は戦前に体の弱い自分の母に家をということで、一生懸命働いて得た給料をムダ使いすることなく貯めていたそうです。戦地に召集されましたが、日本に帰ってきたらそのお金で念願の家を買うことを決めていたそうです。シベリア抑留により帰国が少し遅れたこともあり、日本に帰ってきた時には、蓄えたお金で家を買うことなど到底できなかったそうです。歴史は繰り返されると言います。退職金を定期預金で預けて満期になり引き出してみたら、価値が大幅に減っていた、ということが起きることが大いにあるということです。

(「幻冬舎ゴールドオンライン」)

 財政ファイナンスが常態化している

今の政府はバラマキ的な発想をします。コロナ関連の給付金、子育て支援の給付金、旅行代金の援助金などです。まさに「打ち出の小槌」があると言わんばかりに、繰り出しています。今や、財政再建という言葉も聞こえなくなりつつあります。財政ファイナンスが常態化してしまっています。このツケは必ず払わなければいけなくなりますので、経済的には非常に危険な行為だと認識すべきですし、上の図を見ても分かるように、財政的に危険水域に入ってきているのです。

国民生活に重大な問題が発生して、緊急避難的に財政出動が必要な場合以外は、法制度を作って国民にお金を支給するということです。そして、基本的には、今まで構築してきた法制度によって、国民生活の救済を考えるのが大原則です。特例とか臨時の出費を認めることは、場合によっては国民の間に不公平感を生むからです。

(「打ち出の小槌イラスト素材」)

 大きな地殻変動が起き始めている

1つの銃発から第一次世界大戦が起こったように、ロシアのウクライナへの軍事侵攻により世界的な規模で政治的、経済的変動が起きようとしています

冷戦終結後約30年間、世界はサプライチェーンによって結びつきを進め、世界の貿易額もこの30年間で右上がりの伸びを続けましたが、その流れがここで断ち切られようとしています。そのため、インフレが進むことになります。

何故なのか。サプライチェーンというのは、お互い得意な分野の製品に特化して生産をし、それを交易によって融通し合う態勢なので、商品価格は相対的に安くなりますが、チェーンが切れれば逆方向に作用して高くなるからです。

そして日本は大量にエネルギー資源を輸入する国です。貿易収支統計が本日(11/17)発表されました。貿易収支は2兆1623億円の赤字となり、15か月連続です。主な原因はエネルギー関連分野で原油が2倍、LNGが2.5倍という価格の値上がりが影響しています。2011年の3.11の原発事故があってから、原発を止めたことがこういう形で影響を与えています。貿易収支の赤字は、円安要因となります。

インフレ、円安という経済2重苦と隣国3兄弟からの圧力を味わう時代となりました。

(「日本経済新聞」)

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