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最先端のIT国家には、まだまだ遠い道のり / 科学技術と教育政策に手を抜いたツケが回っている

「日本のデジタル競争力がどんどん下がっています。憂うべきことです」

女性

「ちなみに、何位ですか?」

「スイスの有力ビジネススクール「IMD」が発表した2020世界デジタル競争ランキングによると、日本は27位で昨年より4つ順位を落としています」

女性

「あらあら、結構悲惨な結果ですね。ちなみに、日本の近隣諸国はどうだったのですか?」

「韓国8位、台湾11位、中国18位です」

女性

「それよりも下ということですが、その原因は何ですか?」

「原因は様々な要因が絡み合っていますが、コロナ禍で10万円の給付金を配るだけで、あれだけもたついたので分かるように、ビッグデータの活用や、企業の機敏な対応が進んでいないためです」

女性

「何となく分かる気がしますが、ただ立ち上がりは早かったという記憶がありますが……」

「2000年12月の臨時国会で「IT(情報技術)基本法」を制定しています。ただ、シンガポールは1992年に「IT2000」構想を打ち出していますし、アメリカでは1990年の頃から関連法を次々に作っていました」

女性

「立ち上げの時点ですでに遅れていたということですね」

「そうですね、その基本法を制定する時に、実は何故日本は遅れてしまったのかという議論をしています。簡単に言うと、ここ10年で総理大臣が10人変わったというように政情不安だったからということが原因となされていました」

女性

「ただ、政権交代がその後に、確かありましたよね」

「2009年の9月から3年3か月の間、民主党政権でした」

女性

「安倍元首相が『悪夢の3年間』と言って物議を醸しだしたこともありましたよね」

「日本の野党と与党は、アメリカと違って考え方や価値観が全く違いますので、政権が変わると行政の連続性が途絶えることがあります」

女性

「トップが変わるので、そういうことも考えられますよね。ただ、どの程度の影響だったのですか?」

「それは検証が難しいと思います。影響はあったことは確かですが、確たる数字で表わすことはできないと思います」

女性

「ここからが本論です ↓」




 第1回IT戦略会議 議事録を読む

 第1回IT戦略会議は2001年1月に行われています。当時は森総理大臣です。挨拶の中で5年以内に最先端のIT国家にするつもりであるというようなことを述べています。その当時の日本のその発言に、日本のマスコミは殆ど反応しなかったようですが、外国のマスコミは衝撃を受けたようです。しかし、そういう戦略的なことを安易に言うこと自体、問題があると思います。

戦略的な手の内を最初に宣言してどうする、という感じです。それでその目標が達成されれば良いのですが、達成されずに終わってしまっています

IT国家として、その中身を評価する場合は、ハードとソフトの両面から検証する必要があります

 

 「宣言20年、なお10位圏外」(『日経』2020.7.18日付)

IT競争力ランキング  12位

電子政府ランキング   14位

ビジネス環境ランキング 29位

 この世界は因果関係で成り立っている社会です。結果を招いた原因が必ずあるということです。この惨状の原因は、旗振り役がおらず、IT人材が養成されていないからです。

日本人の悪い「クセ」は、何か看板を掲げると自動的に物事がそこに向かって進んでいくと思っているところがあります。改正教育基本法をそれなりに苦労して国会を通しました。それで理想的な教育が日本で行われると思ってしまうのです。それを推進する主体を決める必要があるのですが、そういうことを何故かしません。

「IT基本法」も同じです。それを制定したので、日本はIT国家になると思い込んで、会議を立ち上げただけで舞い上がって根拠レスでIT大国になると高らかに宣言していますこの時も、統括する組織をつくっていません。今回、菅内閣になって、そのことに気が付いたのか、ようやくデジタル庁を立ち上げました。

 

 教育、科学技術問題を防衛問題として認識する必要あり

第1回IT戦略会議が開かれ、5年以内に世界最先端の国家になると宣言した頃の日本は「ゆとり教育」の時代です。学校5日制が始まっており、子供たちの学力低下が話題になり始めた頃です。文明が進展すれば、そこで使う技術は複雑化します。当然、それに比例して学習内容、教育内容は難化します。時代の流れに逆行するような「ゆとり教育」による弊害がやがて起きることになります。

教育に手を抜いたり、戦略的な誤りをしたりすると、それが時を経て様々なことに波及します。現在の世界の大学ランキングの低下に何らかの影響を与えていると考えられます日本の大学の「地盤沈下」が目立ち始めています。逆に中国の大学の躍進が目立ちます。イギリス教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エディケーションが今年の9月に発表した最新の世界大学ランキングによりますと、中国の清華大学がアジア勢で最も高い20位に入りました。日本勢の最高は東京大学の36位、京都大学が54位で世界のベスト200校に入った日本の大学はこの2校だけです

文科省が大学をやたらとつくって全入態勢をつくったため、質的低下が著しく国立大学などは軒並みランキングを下げています。今から10年くらい前は100位あたりにいた東北大学は220位、東京工業大学は330位、大阪大学380位です。

そういったことが科学技術力の低下を招くことになります。「科学技術指標2020」によりますと、ハイテク関連分野での中国の論文数が伸びており、数でいえばアメリカを抜いて世界一になりました。次世代の技術とされる量子技術関連で言えば、この分野でも中国はアメリカを抜いてトップとなりました。中国は日本の4倍以上の論文数を発表しています。やがて、ノーベル賞を大量に輩出するような国になるだろうと言われています。隣国が軍事、経済、科学技術大国になれば、日本はやがては呑み込まれることになるかもしれません。

教育や科学技術の問題は、日本の防衛問題であることを深く認識する必要があります。そして、この問題を文科省だけに任せて良いのかも含めて、その対策に国の総力を上げて取り組む必要があるのです

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