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流動化が加速する労働市場 ―― 高度人材の奪い合いの時代になる / 人間社会には競争がついて回る

「すいません、少し間が空いてしまって」

女性

「どうしたのですか? 何かあったのですか?」

「集中して行わなければいけないことがあり、自己都合により2回分お休みしました。前回の続きを話したいと思います。覚えていますか?」

女性

「殆ど断片的です。労働組合運動が曲がり門に来ているということは、理解しました」

「その根底には、経済の大きな変化があります。それを見落としてしまうと、主義、主張の争いになってしまいます」

女性

「いわゆる、運動を巡る路線の問題ということで対立を始めるということですね」

「そうです。そうなると単なる政治闘争、つまり多数派を形成した方が勝ちみたいな世界になります。経済の世界は、そうではなく、ある意味そこに必然性が含まれています」

女性

「だから、経済学が成り立つのでしょ」

「そうですね。そして、経済を根底で動かしているものは人間の欲望なので、どうしても競争原理で動きます」

女性

「そこの理屈がよく分かりません。もう少し丁寧に説明してもらえませんか?」

「経済は売る人と買う人がいて初めて成り立ちます。売る人はなるべく高く、買う人はその反対のことを考えます。その考えや思いは欲望の度合いに比例して強くなります。どこでお互い納得するか、そこに達するまで競争原理が働くということです」

女性

「ということは、経済活動が続いている限り、競争は続くと考えても良いのでしょうか」

「表裏一体のものです。そして、競争を何か悪しきものという捉え方は止めた方が良いと思います」

女性

「競争があるから、活力が生まれるとよくおっしゃっていますよね」

「物事は100%プラスでもないし、常に100%マイナスでもありません。両面から捉える必要があります。競争があるから、活力が生まれるのはプラス面。そして、競争があるから、格差が生まれる、それはマイナス面。そのマイナス面を経済の分野で解決しようとすると上手くいきません」

女性

「政治的に解決するべきだということですよね。ここからが本論です ↓」

 人間社会には競争がついて回る

文明が進展すればする程、新しい技術が今まで以上に早く生み出され、そしてあっという間に製品化されるようになります何故なのか。これも2人の会話で紹介した「人間の欲望」で説明がつきます。より便利なもの、より安くて安全なものを人より早く、人より多く手に入れたいという個々の思いが競争社会を形成します。そこにおいては、資本主義とか、社会主義とかは関係ありません。人間の社会である限りにおいて、競争はついて回ります。そして、必ず競争は激烈化する方向に動きます。但し、作為的にそれを止めないという条件付きでの話です。

最近の中国共産党の動きを見ていると、教育と情報分野について、明らかに人為的に止めに入っています。昨年の8月に「塾禁止令」が出され、中国各地の塾が閉鎖に追い込まれています。また、一時は時代の寵児ともてはやされたIT企業のアリババの創業者のジャック・マー氏の動静が殆ど聞かれなくなってしまいました。このような規制が続けば、中国経済は早晩窒息することになります

(「You Tube」)

 競争不参加は滅亡への道

ここで、競争に参加しないことは可能なのか、ということを考えてみましょう。結論から言えば、参加しないということは、滅亡の道を歩むことを承認することになります。進むか、後退しかありません。休憩という選択肢は人間社会においてはないのです。

かつての時代、「ゆとり」という言葉のもとに、教育内容を大幅に削減したことがあります。大量生産時代を全力で駆け抜け、ふと気が付けば何のための人生なのか分からなくなってしまった。日本は戦後モーレツに働いて高度経済成長を達成したのだから、今度はその富を有効活用して、心身共に「ゆとり」ある生活を目指そう。まずは教育の分野から、という発想だったと思います。その「甘い響き」の文章を読むと、一瞬それが正しい道と思うのかもしれません。実際に、当時の文科省はそう思ったことは確かです。

人間の社会は何か看板を掲げれば、それに現実が追いかけて来る訳ではありません。時代の流れを読み、その流れに乗る必要があります。もっとも「ゆとり」教育の失敗は、何の根拠もないまま、勝手に観念的なシナリオを作り上げて、それに合わせて教育課程を編纂してしまったところにあります。

戦前の軍部が、勝手に勝利のシナリオを思い描いて、無理な作戦を連発した挙句に敗戦を招いたとのと同じ構造です両者ともに分析的な反省がいまだになされていません。また、どこかで同じような過ちを繰り返すだろうと思っています。

(「Sirabee」)

 高度人材の奪い合いの時代になる

現実の動きを紹介します。まず、アメリカのアマゾンが2022年、つまり今年に基本給の上限を従来の2.2倍の約4000万円に引き上げる方針を発表しました(「日経」2022.2.9日付)。理由は、他社への人材流出に歯止めをかけるためとのことです。

アマゾンの文章を紹介します――「優秀な人材をひきつけ維持するために競争力を保つ必要があり、通常の年よりも大幅に報酬水準を引き上げることにした」(同上)とのことです。これから先も、更に最先端の技術開発が求められるようになります。プロのスポーツ界では、金銭によって高い能力をもった選手と契約をしようとしますが、それと同じような状況が早晩ビジネス・カンパニー分野においても当然のように現れることになるでしょう。

2017年に「morich(モリチ)」という会社を設立した代表取締役の森本千賀子氏のインタビュー記事を紹介します(「日経」2022.2.6日夕刊)会社の業務内容は転職あっせんです単なるあっせんではなく、会社の求める高度人材をどこかから見つけてきて、マッチングさせるという仕事です。彼女の話です――「企業は今、中途採用を重視しています。DX推進をはじめ、新事業の参画に異分野の人材を求めており、転職が難しいのならば副業や業務委託で貢献して欲しいと雇用形態も柔軟になりました」。そして「人生100年時代となり、求職者も50年働くなら2、3回転職するのが当たり前という意識が広がりつつあります」と言います。徐々にですが、確実に変化し始めています。変化の最初は、人間の意識から起こります。それが量的に増え、どこかの時点で質的に転換します。その力が制度を変える力となります。

時代は確実に流れており、終身雇用制を汲々と維持する時代ではなく、会社の業態変更に合わせて適切な人材を採るという動きが加速していると言います年功序列賃金体系も先端技術社会においては、実情に合わなくなります。徐々に転換することになるでしょう。そして、これは前回の繰り返しになりますが、その変化は労働組合の在り方にも影響を与えていくことになります。「団結頑張ろう!」の時代は、終焉を迎えつつあるということです。

(「Twitter」)

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