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物質的な市場の飽和と共に、資本主義も新たなステージに / 米中が先行し、日本は周回遅れになっている

「政治、経済、教育は相互に関係しますので、総合的、複合的に見ないと判断を誤る可能性があります」

女性

「そういうこともあって、3つの分野を個別的、俯瞰的に話題にしているのですね」

「経済発展は人材づくりが鍵なので教育、そのシステムを法や制度にするのは政治の役割です。日本の政府の発想をみていると、個別的にバラバラに捉えているところがあります」

女性

「選挙公約のイメージが頭の中に残っているんじゃあないでしょうか?」

「それはないと思いますが、日本の行政機構の組織図のイメージが頭にあるのではないかと思います。とにかく、この中で日本が早急に考えなければいけないのが、経済と教育です」

女性

「経済については、アベノミクスということで、重要視してきたのではないのですか?」

「重要と考えてきたのですが、視点が間違っていたと思います」

女性

「それは、どういうことでしょうか」

「今は市場が「目に見える市場」から「目に見えない市場」に移り変わろうとしている時期ですが、従来の発想においての経済刺激策だけを考えています」

女性

「「目に見えない市場」を意識して経済政策を立てている国は、やはりアメリカですか?」

「何と言ってもアメリカですね、そして北欧、中国と続き、そこから周回遅れで日本というイメージです」

女性

「北欧が意外、という印象を受けるのですが」

「北欧の国々は人口密度が低いため、有線による電話線事業ではなく、無線による情報交換事業に早くから研究をしていたのです。そういった成果が現在出ています」

女性

「あと、周回遅れということですが、何周遅れですか?」

「1周から2周遅れになっています」

女性

「ここからが正念場ですね」

「そうですね、このまま引き離されてしまうのか、追いつくのか。今のままならば、更に引き離されます。ここからが本論です   ↓」

 資本主義というシステムは老朽化している

もう資本主義というシステムは老朽化して、賞味期限が切れかかっています。しかも、21世紀のグローバリゼーションによって、これまで先進国が享受してきた豊かさを新興国も追い求めるようになりました。そうなれば、地球上の資本が国家を見捨て、高い利潤を求めて新興国と『電子・金融空間』を駆け巡ります」(水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書、2014年/131ページ)


「老朽化」という言葉を使っていますが、要するに、かつてのような「物質的」な市場が飽和状態に達しているので、それを「賞味期限」が切れているという言葉で表現をしているだけです新たな市場が大きな口をあけています。そのことが分からないと、一生懸命に努力しても、成果に結びつかない可能性が大なのです。

「グローバル時価総額ランキングトップ10」をインターネットで検索してみて下さい。アメリカと中国のIT関連企業がすべて占めているような状況です。その現実を深く認識し、原因を分析し、対策を立てる必要があります。学術会議の問題が話題になっていますが、本来そういった動きを察知して政府に大所高所から提言する役割が学術会議にはあるはずです。そのために、文科系、理科系の多くの学者がそのメンバーになっているのですが、機能しているようには思えません。

 GAFAM(ガファム)の総資産は、この3年間で3倍となる

少し前までは、GAFAと言われていました。現在は、GAFAM(ガファム)と言われています (G/グーグル、A/アマゾン、F/フェイスブック、A/アマゾン、M/マイクロソフト) 。

 GAFAMと東証1部の時価総額を比較したいと思います。2020年5月、「GAFAM」5社の株式時価総額の合計が、東証1部約2170社を上回ってしまったのです。実は、そのおよそ4年前、2017年の1月にはどうだったのかと調べてみますと、その時点では「GAFAM」5社の株式時価総額の合計は、東証1部約2170社の約1/2.5弱だったのです。

そこからわずか4年足らずでどうしてそんなに資産を増やすことができたのか。不思議かもしれませんが、経済学的に言えば不思議でも何でもありません。要するに、新たな市場が開拓され、それに向けて、サービス商品を次々と供給し続けることができたからです。そして、その新たな市場はどの企業も開拓しておらず、一番乗りのアメリカ企業によって利益が独占されている状態が生まれ、そのために巨額の利益が発生したということなのです。ただ、日本も対策を立てれば、まだ間に合います。

 

 日本人の小市民的な発想が新たな市場への参入を遅らせている

【 IT投資の日米比較 

(ハード)  日本  153    アメリカ  418

(ソフト)  日本  133    アメリカ  307

(2000年実績を100としている/ 出典OECD 中山淳史「技術革新は辺境で起きる」『日経』2020.11.14日付)

 

日本企業はここ10年で内部留保を確実に増やしてきたのに、中山淳史氏は、どうしてそれを人材育成や設備投資に回さなかったのか、それは何故なのかと問題提起をします。その根本的原因は、小市民的な発想が経営陣を思い切った行動に踏み切らせなかったのだと思います。

トップの価値は決断にあります。方向性も示せず、決断も出来ないようなトップでは余り置いておく価値はありません。

中山淳史氏はサントリーホールディングスの新浪社長の「トップを含む社外取締役にも努力目標を作っては」という言葉を紹介しています。努力目標を作って、予め株主総会か何かで承認してもらえれば、後はそれをどのように実行するかという問題です。率先垂範が試されるということなのでしょう。変に保身を考えると、思い切った戦略的な行動をとることができなくなります。

 

 IT人材の絶対的不足と、偏在という問題

IT人材の偏在ですが、中山淳史氏は「IT人材は77%が富士通、NECなど既存の情報システムの枠内で滞留している」と言います。そして「米欧主要国は日本と逆で、米国はIT人材の総数が4倍、活動場所も6割以上が非IT企業に散らばっている」、さらに「日本はデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるといいながら担い手人材が不足して身動きが取れない構図だ」(中山淳史「技術革新は辺境でおきる」)と指揮します。

現在、政府はデジタル化を進めるためにデジタル庁を創設するなどして対応しようとしています。

それについて、「デジタル化の掛け声だけでは遅れは取り戻せまい。……人材の流動化が一丁目一番地に来るのはとうぜんであろう」(中山淳史 前掲論文)と言いますが、そもそもIT人材を育成するための大学の学部(情報学部)の受け入れ定員の少なさもさることながら、そのような学部がある大学が殆どないのが現状です。

この辺りについても、後手後手に回っている感じを受けます。

読んでいただき、ありがとうございました。

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