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人口減問題をどのように捉えて解決すれば良いのか ―― お手本は沖縄にあり

「今は亡き司馬遼太郎氏が対談集を遺していますが、その中に5.15事件で暗殺された犬養首相のお孫さんである犬養道子さんと日本人についての話題で対話しています。非常に興味深い内容です(『司馬遼太郎対話選集4 日本人とは何か』文藝春秋、2003年)」

女性

「お二人とも亡くなっておられますが、いつ頃の対談ですか」

「1969(昭和44)年ですね。ただ、内容的に現代の我々が読んでも充分勉強になるものです」

女性

「作家の司馬遼太郎さんについては、よく知られていますが、犬養道子さんについて簡単に紹介していただけますか?」

「この方の人生を辿ると一つの大河ドラマが作れるのではないかと思う位の経歴の持ち主です。70歳位まではヨーロッパを拠点に環境、難民問題に関わった活動をされ、晩年は国内に拠点を移し、大学の教壇に立ったり、評論活動を続けたりという活動をされています。2017年にお亡くなりになっています。96歳でした」

女性

「ヨーロッパのことが詳しい犬養さんと日本の歴史作家の対談なので、さぞや興味深い話の内容だったと想像ができます」

「日本人は、絶対的権力・権威を一つのものに与えるのを嫌がるという司馬さんの言葉が興味深かったですね」

女性

「その根底には、多神教ということがあるのではないでしょうか?」

「そうだと思います。実際の場面で、例えば江戸時代の安政条約の批准の時に、正史、副史、お目付けの3人で臨んだそうです。お目付けというのが外国人には全く分からなくて、通訳は『スパイ』と翻訳した物議を醸したことがあったそうです」

女性

「犬養さんの発言で興味深いものがあれば、お願いします」

「多くあり過ぎて絞るのが難しいのですが、「私、今度ヨーロッパにずっといて、アメリカ人と会うとホッとしていた」という発言があります」

女性

「その理由は何ですか?」

「ヨーロッパ人はとにかく理屈っぽく、相手をすると大変だが、アメリカにはそういったものがない。人種のるつぼなので、寛容性が広がって原理・原則を掲げる厳しさが無くなって、お人よしの部分がでてきたのではないかと言っています」

女性

「ということは、日本人はアメリカ人とは、組みやすしということですか?」

「そういうことでしょう。例えて言えば、ヨーロッパの国は頭が堅い優等生であり、アメリカは頭が柔らかい金持ちの実業家というイメージでしょうか」

女性

「日本はどうなんですか?」

「お二人の言葉を借りると「あっけらかん民族」(司馬)、「面白い民族」(犬養)というものです」

女性

「それは意外なコメントですね。ここからが本論です ↓」

 

  覚醒をして、国内外の難問に立ち向かう時期

「あっけらかん民族」、「面白い民族」と表現していますが、これは雑誌の対談用の言葉なのでこういう表現となっているだけです。正確に言えば、「突き詰めて考えようとしない民族」ということです。

それは例えば、今回の自民党総裁選挙の各候補の取り上げ方を見れば分かりますが、必ずインタビュー形式で行なわれています。アメリカのように、大統領候補が真正面から論争をするような場面を作ろうとしません。本来、個人の政策には、思い込みもあるし、単純な勘違いがあるかもしれません。それを擦り合わせて一つの良いものにすることが出来れば、それはそれで総裁選のメリットだとは思いますが、そういう作業はしません。

日本がカリブ海に浮かぶ島国であれば、アメリカの懐に抱かれてのんびり国民生活を送れることだけを政府が考えれば良いのですが、今や地政学上、世界的にもかなり難儀な地域に位置しているのが日本という国です。つい最近も北朝鮮から日本に向けて弾道弾ミサイルが発射されています。明治維新期のように、そろそろ覚醒をして、国内外の難問に立ち向かう時期だと思っています。

  日本人は連立方程式を解くことが出来ない民族

「少子化の最大の要因となっているのは、未婚化、晩婚化だ」(『日経』社説、2020.6.10日付)。こういう分析を単細胞と言います。社説はさらに「家事・育児を夫婦ともに担うことだ」と薦めています「未婚化、晩婚化」が少子化という結果を招いている要因にはなっていますが、「最大の要因」ではありません。そして、男性の育児休暇の取得率が欧米に比較して低いことは確かですが、これが上がったからといって少子化は解消しません。原因と結果が複雑に絡み合っているからです。

 「少子化に歯止めがかかるとすれば、再び『日本の未来』に展望が開けた時だろう」(河合雅司「少子高齢時代」『産経』)とポエム記事を載せている新聞もあります。政党も含めて、少子化対策が迷走化しているのは、日本人は連立方程式を解くことが出来ない民族だからです。

(「ニッポンドットコム」)

 重要な問題は、文化と歴史を踏まえて考える

前回のブログに書きましたように、日本にとって重要な問題については、文化と歴史、さらには特性を踏まえて考える必要があります。そうしないと、間違った答えを導き出す可能性があるからです。

人口減のように、連立方程式を解くような課題は、もともと日本人は苦手です。解いた人に教えてもらえば良いのではと考えるかもしれませんが、それが正解かどうかを判定することが出来ないので始末が悪いのです。そういう場合は、人口減を克服したような地域の成功例に学ぶことだと思います。良いお手本が、沖縄県にあります。

(「note」)

 人口減対策のお手本は沖縄県にあり

 沖縄県は日本で唯一人口の自然増を達成している県です。人口減で悩んでいる自治体は、沖縄県に視察に行けば良いと思います。聞くと見るとでは大違いという言葉があるように、問題意識をもって現地に行けば、何かのヒントを得ることが出来ると思います。

(「沖縄タイムス」)

沖縄県が人口を増やしているのは何故か。3つの理由があります県のアイデンティティが確立し、地域ごとに文化があり、地域の中心に学校(小学校)を位置付けていることです。沖縄には全校生徒12人の小学校や全校生徒9人の小中学校があります。地域で子供たちを育てようという意識が強いのです(国頭郡を除く)。地域も一つの組織である以上、会社などと同じような考え方で組織の活性化を図ることが出来ます。一番大事なのは、自治体のアイデンティティです。「観光の街」「林業の町」「高原野菜と環境の町」など、何か決めます。会社と同じです。会社も「コーポレント・アイデンティティ」が重要です。これが揺らいでしまうと、組織は崩れ始めます。例えば、家具で有名だった○○商会。もともと高級家具が売り物だったのですが、方針を廉価多売路線に切り替えました。これは、「コーポレント・アイデンティティ」の根本的変更に繋がります。日本で言えば、男系から女系天皇容認に舵を切るようなものです。体軸が歪むことにより、様々な弊害が組織内に発生することになります。

次に地域の住民がまとまるためには、まとまる場所とまとまるきっかけが必要です。かつての時代は、神社かお寺が地域の人の拠り所だったのですが、現代は公立の小学校、中学校でしょう。後は、地域の文化を継続して伝える作業をするために地域にネットワークを張り巡らせます。そのネットワークの中に、男女の出会いネットワークを組み込みます。もともと日本はお見合い文化でした。それを人為的に構築する必要があります。そこまで地域を創ることができれば、その地域は人口を永続的に維持してくれると思います。

 何も考えないで小学校を廃校にしたり、伝承文化を伝えるための努力を怠ったり、市町村合併によって地域を破壊し、地域のまとまりをなくして地域崩壊に向かったりということが起き、そういう中で人口減少が進行したのです。少子化・人口減を防ぐためには、それとは逆の方向、つまり人間関係を形成できるような地域づくり、一体感が保てるような文化の構築に向けて働きかけをすれば良いのです

(「沖縄県」)

とにかく基本は、小学校の卒業生が母校に自分たちの子供を入学するようにするためには、行政として、何をどのようすれば良いのかを考えることです。その方途が地域ごとに確立すれば、日本は人口減を克服できると思います。最近はスーパーシテイということで高度情報化を目指す動きが自治体の中にありますが、人間関係を構築できるようなシステムを入れることが重要です。

読んでいただき、ありがとうございました。なお、本日、さらには1週間後に目を手術するため、しばらくブログを書くことが出来ないと思っています。ご了承下さい。

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