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共産主義者のバイブル『共産党宣言』を分析する / 生産手段の公有化とは単なる企業の乗っ取り

女性

「ポンペオ国務長官の演説をじっくり読みました。中国共産党を目の敵にしているようですが、何故そこまでと思う人もいるのではないでしょうか」

「日本人に多いかもしれませんね」

女性

「日本共産党の存在が大きいのでしょうか?」

「国会で衆参に議席を得ていますし、地方議員の数も何千人という単位ですからね」

女性

「その割には、共産主義、共産党について余りよく分かっていない人が多いのではないかと思います」

「そんなこともあり、『共産党宣言』を取り上げてみることにしました」

女性

「これが一つのバイブルみたいになっていますよね」

「バイブルですか、上手いこと言いますね。正確に言うと、「共産主義者同盟」の綱領です。これが世に出たのは1848年です」

女性

「その頃の日本は何時代なのですか?」

「江戸時代ですね。日米和親条約の締結が1854年です。その6年前です。開国前夜、そして幕末の激動期がこれからという頃です」

女性

「何となく歴史的なイメージが湧いてきました」

「イギリスでは産業革命が終わり、資本主義的な生産様式が普及をし始めていた頃です」

女性

「賃金労働者という新しい職種が社会に出てきた頃ですよね」

「その労働者を階級として捉えたのですが、これがそもそもの間違いです」

女性

「労働者と労働者階級は、どう違うのですか?」

「労働者というのは、資本家と契約を結んで働きに応じて賃金を得る職種です。階級というのは、その職種を固定的に捉え、本人の努力では乗り越えることのできない固定的な身分として捉えたということです」

女性

「一生、労働者のままということなのですか?」

「労働者階級という言葉を使ったということは、そういうことだと思います。当時は、労働者を無産者と言ったりしました。つまり、財産が無い者は、一生資本家に雇われて働くしかないだろうと考えたのでしょう」

女性

「今の時代とは、捉え方が違うのですね」

「現代は、働きながら財をなす人もいますし、親の資産を相続する場合もあります。資本金がなくても起業ができますし、職業選択の自由が憲法によって保障されています。労働者階級という言葉は、少なくとも日本においては死語です(ここからが本論です)↓」




 マルクスが『共産党宣言』を世に発表したのは、ユダヤ人国家復興のため


マルクス、エンゲルスが『共産党宣言』を世に発表したのは、マルクス、30歳の時です。経済や哲学について多くを学んで、その確信に基づいて出したものではなく、ユダヤ人として国家復興の夢を乗せて、宣言を出したのです

どういうことか、マルクス、エンゲルスはユダヤ人です。ユダヤ人は国家をもたない民として、2000年以上にわたってヨーロッパを中心に流浪の旅を続けていたのです。彼らの頭の中には、常に祖国復興があったのです。

土地は限られています。民族国家を再興するためには、紛争、革命といった動乱を引き起こし、政権を弱体化させ、その間隙を縫ってユダヤ人国家を樹立することを考えたのでしょう

人間は思想や理念を注入されると、それに従って行動する動物です。もちろん全員がそうなる訳ではありません。とにかく、ある程度の理屈をつけて、社会に発信したものが『共産党宣言』だったのですが、彼らが予想した以上のリアクションがあったのではないでしょうか。

『共産党宣言』の第1章の冒頭は、「これまでの社会のすべての歴史は階級闘争の歴史である」という有名なテーゼで始まりますが、このテーゼが間違っています。

少なくとも、日本の歴史を見る限り当てはまりません。階級というのは、生まれによってその所属が決まり、本人の努力では乗り越えることのできない固定的な身分制度のことです。封建の身分制社会の時代は日本でもありますが、階級闘争はありませんでした。

貴族階級と武士階級。貴族は私有地(荘園)を守るために自警団を雇いました。これが後に武士階級になります。彼らは、貴族階級に反逆はしていませんし、朝廷を尊重していました。

源平の合戦を機に、武士階級がやがて政権を握りますが、貴族階級と権力闘争をした訳ではありません。そして、武士階級は最後は政権を朝廷に返還します

そして、固定的な身分制度を前提にした階級社会は、江戸時代で終わっています。四民平等の明治の時代となり、本人の努力次第で、社会の中で活躍する有為な人材に自分を高めることができる社会となったのです。

というか、マルクスもエンゲルスも日本の歴史について殆ど何も知らなかったと思いますヨーロッパの市民革命を見て、思いついたテーゼだったと思います。

社会には、予め定まった発展法則はない

マルクスは、社会には発展法則がある。資本主義社会→社会主義社会→共産主義社会になるのは歴史の必然であると言ったのです。しかもこれを左翼学者が「科学的社会主義」と、「科学」をつけてしまったのです

科学」というのは、帰納法的に導き出されるものです。つまり、データサンプリングをして、そこから法則を見いだすのが「科学」です。最初から共産主義という結論が出されていて、それを当てはめようという態度は科学とは言いません

そもそも資本主義というのは、経済学用語ですが、社会主義、共産主義というのは政治学用語です。だから中国やベトナムのように、資本主義的生産様式を採り入れながらの一党独裁体制が現実に成り立っているのです

資本主義のアンチを社会主義と捉えるのも間違っています。資本主義は競争市場での価格形成によって成り立ちますが、需要と供給が交錯するため必ず「波」を打ちます。「波」があるので、社会の経済活動が円滑に動くのです。海には波があります。波が生命を育んでいるのです。人間の脈や脳波は正常であれば「波」を打ちます。「波」が無くなった時は、死ぬ時です。同じ理屈です。

この波を計画経済で抑えよう、あるいは無くそうとするのが社会主義、共産主義の考え方ですが、簡単に言えば「波」を無くして、社会を殺そうという試みに他なりません。だから、鄧小平が現れるまでの中国、北朝鮮、キューバが経済的に上手く行かないというのは、こういうことなのです。

日本共産党はしきりに「生産手段の社会化」ということを言っています。簡単に言えば大企業の国有化です。それを言うと衝撃が大きいので「オブラート」に包んでいるだけです。政権を取れば国有化するのは、簡単です。「大企業国有化法案」を国会で通して、立法化すれば良いだけです。

中国では、つい最近金融9社を国有化してしまいました。その9社というのは、2017年に香港で謎の失踪をした肖建華氏が率いる「明天系」の金融機関です。9社の総資産は約14兆円にものぼりますが、この会社の経営権を共産党当局によって接収され、取締役会や株主総会は効力を失い、現在は当局が送り込んだ人間が経営陣を運営しているのです(「金融9社を実質国有化」『日経』2020.7.21日付)。

日本共産党が言う「生産手段の社会化」というのは、こういうことなのです言葉を変えれば、共産党による単なる大企業の乗っ取りです。今、しきりに中国共産党を批判していますが、選挙で票を取るための、あくまでも一時的なポーズです。「アメリカ帝国主義」と「日本独占資本」を2つの敵だとしている綱領的立場を変えてはいないからです。綱領的立場を変えずに野党連合を呼びかけること自体が、あり得ない話です。その時々に言うことを変えて、何とか政権を奪取したいと思っているだけの政党です。

「『生産手段の社会化』という目標で、大事な点の一つは、『社会化』されるのは『生産手段』だけで、『生活手段』は、社会化の対象にならない、すなわち、個人個人の私有財産の権利が、この分野では保障される」(不破哲三『新・日本共産党綱領を読む』新日本出版社.2004年/369ページ)と得意げに書いていますが、要するに個人の財産権はある程度保障するし、自由に起業して構いませんよ。だけど、その企業が大きくなった場合は、共産党による資本収奪がありますよと言っているに過ぎません。中国で行っていることを、日本でも行おうとしていることを表明しているのです

共産主義者の書く文章は、裏の真意と本音を読み取ることが大事なのです。

 

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