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ウイグル問題 ―― 日本も米、EUと共同歩調を / 腰が引けているとやがて呑み込まれる

女性

「つい先日の米中外交トップ会談の中でもウイグル自治区の問題が話題になりましたが、ことの発端はいつ頃ですか?」

「もともとのきっかけは、2014年に習主席がウイグル自治区に視察に行った際に爆弾テロに遭遇したのです。相当に怖い思いをしたのでしょう。2度とそういうことがないように彼らを『再教育』しろという指令が出ます」

女性

「そこから職業訓練センターという名目での収容所が造られていくのですね」

「それと同時に主要都市には無数の監視カメラが設置されると同時に、公安警察、特殊警察、城管と呼ばれる監視員が配置されるようになります」

女性

「今、地図を開いて場所を確認しているのですが、タクラマカン砂漠がありますね」

「古代はシルクロードの中継地として栄えた地域で、イスラム教を信仰し、ウイグル語を話すウイグル族が多く住んでいます。8~9世紀にウイグル帝国が興ったことがあるのですが、その後はモンゴルや漢民族の支配を受けます」

女性

「台湾が自国の領土だと主張しているそうですね」

「国際社会においても殆ど無視されている主張ですが、新疆ウイグル自治区を「新疆省」と呼んで、自国の領土だと言っています」

女性

「毎日新聞の中国総局長の米村耕一氏が現場の取材に基づいて結構長めの「ウイグルレポート」をヤフーのインターネットに載せています」

「中国総局長が自ら現場に入ってのレポートです。これは検索すれば読めますので読んで頂きたいのですが、内容よりも『毎日』が動いたというのが大きいと思っています」

女性

「『朝日』や『日経』は報道しませんものね。だけど、偉いですね。総局長自ら、現場を回って。ただ、自由に取材ができたのですか?」

「すべてに尾行がついたそうです。現地で撮った施設の写真も、1枚を除いて全部削除を要求され、その際に「刑務所の写真を削除してくれ」と言ったので、「刑務所」だということが分かったと言っています」

女性

「現地でのインタビューは出来ないですよね」

「すべてチェックされると現地の方は思っていますので、本音を聞くことはできないでしょうね」

女性

「ここからが本論です ↓」

 新疆ウイグル自治区 「苦難」の戦後史

新疆ウイグル自治区は、中国の最西端にある1955年に設立された中国最大の自治区です。その広さは日本の国土面積の4倍以上にあたる約165万平方km。首都はウルムチで、中国西部最大の都市です。現在の人口が2400万人ほど、その約4割を漢民族が占めているそうです

1954年以降、漢民族の大量流入が起こりますが、この頃から自治区の「苦難」が始まります。1958年からおこなわれた中国の「大躍進政策」の失敗によって多くの餓死者が出ていますし、1964年からは、中国の核実験場として用いられるようになり、合計46回の核実験によって放射能汚染が発生しています。

1966年「文化大革命」では紅衛兵によってモスクが破壊され、イスラム教の宗教指導者が迫害を受け、1967年には紅衛兵同士の武装闘争にウイグル族ら少数民族が駆り出されるなど、様々なことが起こり、反漢感情、反中国感情が高まっていきます。それらが、2014年の習近平主席に対する爆弾テロ事件に繋がったと見ています

 

 新疆ウイグル自治区 収容所は500か所くらい

2019年11月24日に、国際調査ジャーナリスト連盟がウイグル内にある「強制収容所」(中国は職業訓練センターと言っている)に関する中国政府の内部文書を公表しました。そもそも何人が収容されているのか、ということですが、中国は人数は流動的ということで明らかにしていません。様々なデータに基づいて計算すると、「収容所」は500か所くらいあり、合計収容人数は100万人くらいではないか、つまりウイグル人の10人に1人が収容されているのではないかと言われています。

物凄い確率だと思いますが、何をすると収容されてしまうのかということです。記録によると38歳の女性はベールで顔を被っていただけで収容されていますし、パスポートを申請しただけで国外への逃亡の恐れありということで逮捕されています。また、携帯電話で誤って国外サイトにアクセスしたために拘束されています。このように、日常の軽微なことにも目を光らせ、何かあると収容しているようです。逆に、そういったプライバシー的な行動もすべて当局によって捕捉される体制が作られているということが分かります。

(「鉄条網のある職業訓練所」jp.wsj.com)

 ビッグデータを2014年頃から

中国共産党当局は、例の爆弾テロ事件があった2014年頃から、個人データを収集し始めたようです2019年5月に国際人権機関ヒューマン・ライツ・ウォッチが報告書を発表していますが、それによるとウイグル人の個人のデータ、身体、家族関係、宗教、政治的傾向に関するデータなどを収集すると同時に、モスクの資金の流れやリーダー的人物の行動など36種類のデータを集めていると指摘しています。

そういったデータと警察の携帯電話アプリを組み合わせ、顔認識機能を備えたモニターと様々なチェックポイントでのスニッフイング(データを解析して盗み見ること)、携帯電話の発信履歴、IDカードや車両の移動ルートと距離などを把握して、統合システムの中に組み込むことによって立体的な監視体制が構築されています2017年6月に、この監視体制の中で割り出された「不審者」15,683人を再教育センターという名の監獄に入れたのです。

さらに、各国の中国大使館が、駐在国のウイグル人に関する情報を本土の中国政府に提供しています。そのため、国内の家族に会いに行っただけなのに、中国に帰った途端に逮捕されるという事態が起きるのです。

そして『産経』に在日ウイグル人女性ミヒライ・エリキンさんの死亡の記事が掲載されました。彼女は中国の上海大学を卒業した後、東京大学大学院で勉強する傍ら、日本人や在日ウイグル人の子供たちに英語やウイグル語を教えていたそうです。彼女の父親は、ウイグル語を教える私塾を運営していたそうです(ちなみに、自治区内の学校では、ウイグル語を教えることはできません)。彼女の父親や親族が収監されたという情報が彼女の元に届きます。

父親を捜しに行きたいと彼女、あなたも捕まってしまうと、友人が必死で説得します。というのは、「ミヒライさんには特に身が危険である事情もあったミヒライさんの親族の一人が、亡命した欧州でウイグル族の窮状を訴える『有名人』だったから」(「あるウィグル女性の死」『八重山日報』2021、3,6日付)ですが、彼女は帰国をしてしまいます。2019年の夏のことです。その後、上海の病院に入院しているという写真が送られた後、2020年12月24日に亡くなったという連絡が入ったそうですが、死因や死去した場所は不明とのことです。享年30歳でした。

 

 深刻な人権問題に発展したウイグル問題

人権重視を掲げるバイデン米政権は、新疆ウイグル自治区での人権侵害を「ジェノサイド(民族集団虐殺)」と認定しました。EUもまた「ジェノサイド」と認定し、3月17日の大使級の会合で中国の当局者に制裁を科すことを決めたのです。

EUの制裁というのは、「グローバル人権制裁制度」というもので、この制裁を科すためには加盟27か国の全ての賛成が必要なものです。要するに、どの国も反対していないということです。EUの中には、中国との貿易関係が深い国があります。中国のことだから制裁に賛成したということで報復措置をとってくる可能性は充分考えられます。

ただ、それを勘案したとしても、中国の行為は明らかに「ジェノサイド」であると認定し、やめさせるべく制裁決議に踏み切ったということです。日本は中国と経済的な結びつきが強いのですが、それはそれ、これはこれ、駄目なものは駄目ということで国会で「ジェノサイド」と認定し、非難決議をあげて欧米と歩調を合わせることを考えるべきでしょう

なお、無料通信アプリ「LINE」利用者の個人情報のデータベースに、中国の関連会社からのアクセスが32回に及んでいたことが判明しました。つい最近のニュースです。「LINE」は日本の国民の7割が利用しています。プライバシー情報を集めれば、国民を統治する道具としても使えることはウイグルの例を見れば明らかです。

たぶん中国は、将来的なことをにらんで日本人のデータ収集を始めたのかもしれません。世界征服は我々の感覚だと冗談のような話ですが、彼らは真面目に考えていると思います。北海道の原野を中国は買い占めていますが、やがてそこに収容施設が建つかもしれません。何が起こるか分からない時代です。時代の流れも加速しています。用心するに越したことはありません

読んでいただき、ありがとうございました。

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