「今日が共産党大会最終日なので中国の話題でいきたいと思ったのですが、かなり重大なことが決められたようですし、人事面など詳しい報道を見た後に見解を発表したいと思います。マスコミが言っているようなことを、ここから発信しても仕方がありませんからね」
「では、円安問題ですか?調べてみると、3/19の当ブログの中で「円安はこれからも進行するでしょう」「株式相場は、しばらくは上がったり下がったりの繰り返しとなります」と予言されています。ほぼ、その通りになりましたね」
「1か月前の9/22のブログでは「150円はあっという間に行くと思います」と指摘しています」
「昨日、為替介入をしたみたいで、少し値を戻しましたよね」
「値幅から考えると10兆円程度の介入をしたのではないかと思っています」
「金額は公表しないのですよね」
「そもそも覆面介入でしょ。手の内を明らかにするようなことは何も言わないということです。ただ、これから何回か介入をせざるを得ない局面がたびたび現れると思います。問題なのは、資金がもつかどうかということです。あと、約100兆円位の資金はあると思いますけど……」
「そんなに円安への圧力は強いのですか?」
「ダブルでかかっています。1つは、そもそも日本の経済のファンダメンタルが弱くなっているということにプラスして、貿易赤字が増え始めています。もう1つは、米国の金利の値上げは、中国とロシアの通貨への攻撃という意味合いもあります」
「後者については、報道されていませんけど……」
「アメリカが公式発表していないので書けないだけです。本来は、専門家が見抜いて指摘する必要があるのですが、専門性が細分化されているので、気が付かないのではないかと思っています」
「専門性の細分というのは、どういうことですか?」
「経済と国際政治に関わる事案なので、両分野に関心をもって深めている人は少ないのではないかと思っています」
「ここからが本論です ↓表題の写真は日本経済新聞社の提供です」
円安基調はこれからしばらく続く
バイデン大統領に「ドル高を容認しますか」とインタビューをしていた方がいました。自国の通貨の価値が高くなることを認めない国家の指導者などいません。つまらないことを聞くものだな、と放送を見て思っていました。
多分、協調介入をする動きがあるかどうかを探りたかったのでしょう。ただ、そうやって介入をしたからといって、円安基調は大きな流れとして存在し続けます。世界からの通貨があらゆる市場に流れ、巨大な波を形成しています。それを1国や2国が介入したからといって大きな流れを変えることは絶対に出来ません。それがアメリカと日本が協調しても同じです。今や人為が及ぶ力以上のところで実際の経済は動いているからです。
為替介入というのは、海の防波堤程度の役割だと思った方が良いでしょう。通常の波には対応はできます。しかし、台風が来れば、あっという間に乗り越えられてしまいます。考えることは、防波堤を築くことではなく、大きな波が起きないように、根本的な対策を立てることです(波が起きるのは仕方がないこと。それまでを止めようとするのは社会主義思想)。それを殆ど考えもせず、防波堤のことだけを財務当局者や与野党議員は言っています。そして、マスコミは防波堤だけに焦点を絞って報道してくるでしょう。防波堤を高くしろ、波が乗り越えてしまうような防波堤を作った政府の責任云々という調子だと思います。
(「Yahoo!ニュース-Yahoo!Japan」)
グローバル時代の水準になぜ戻ったのか――油断と怠慢、そして長期的視点がなかったため
1ドル150円というのは、32年前の水準とのことです。32年前というのは冷戦が終わり、グローバル時代の幕開けと言っていた頃です。国境を越えて、自由に資本と労働力、モノとサービスが交換できる時代に入ったと殆ど手放しで、これからの明るい未来の到来を確信していた時代です。言ってみれば、おめでたい時代だったということです。
油断大敵とは、よく言ったものです。本来なら、その期間に経済のファンダメンタルを強化するための国家戦略を打ち立て、そのシナリオに従って基礎体力を付けなければいけなかったのです。殆ど、何もしなかったツケがここに来て一挙に出始めているということです。
高度経済成長政策が上手くいって、世界の経済大国として脚光を浴びたので油断があったのでしょう。無名の選手がグランドスラムの大会でいきなり決勝の舞台に立ったようなものです。それはそれとして自信をもっても良いのですが、大会終了後は、次の大会に向けて基礎トレーニングと応用技術の習得に努力を重ねる必要があったのですが、それを完全に怠ってしまいました。油断し過ぎて、しなくても良いのに、他の選手に技術を伝授したり、サポートまでしたりする始末です。当然、自分のランキングは下がります。
この世界が競争社会であることを完全に忘れ、自分の地位は不動になったという完全な錯覚の元、この30年間を過ごしたということです。その結果が150円の円安という数字であることを理解する必要があります。
(「PPS」)
財政的に崖っぷちであることを政府関係者は認識されたし
約30年間の怠慢が今の円安を生んだというのであれば、どこをどのように改善すれば良いのかということです。日経は「円安招いた『日本病』」(10/22日付)ということで、1面トップで記事を掲載しています。円安を俯瞰的に捉えようとしており、正しい視点だと思います。
この30年間基礎トレーニングをしなかったと書きましたが、それは具体的に言うと財政再建を途中で放棄して、最近では放漫財政になっています。そのため、通貨供給量が他の先進国に比べて圧倒的に多く、日銀のバランスシートは対GDPで260%を超えG20で最悪になっています。つまり、利上げが全く出来ないような状況になっているということです。
例えば、円安が進行して経済に影響を与えるならば、政策金利を上げるというのが常道ですが、それが出来ないのです。もし、仮にそれを行ってしまえば、長期金利が上がり、日銀は債務超過に陥り、政府は支払いの金利が急増して予算を組めなくなる恐れが出てきます。為替介入しか選択肢がないのです。
この30年間で、GDPが3.5倍に拡大した米国では、マネタリーベースが9倍に増加したのに対して、日本は殆どGDPが伸びていないのにも関わらずマネタリーベースは約14倍の増加です。どうしてこういうことが起きたのか、いくつもの原因があります。本来なら、経済のことが良く分かっている人が政府関係者の中に入ってコントロールすれば良かったのかもしれません。与野党の議員の質問を見ていると、経済のことがよく分かっていないなと思う人が散見されます。根本の原因は、そんなところにあるのではと思っています。そして、現在もなお「バラマキ」的な発想で政策対応をしています。その発想が危険だということを、誰かきちんと説明して止めさせた方が良いと思っています。
改善についての具体的なプランについては、次回に中国のことを触れたあとに、お話をしたいと思います。
(「時事通信」)
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