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文化

日本のアイデンティティを確立した上で観光立国を目指す

文化

 

アイデンティティという横文字がよく分からないんですけど……」

 

「アイデンティティは心理学用語で、高校の『倫理』や『家庭科』でも習うと思います。日本語では、自我同一性と訳します。文字通り説明すると、他人から判断した私と私自身が判断した自分の評価を一致させることです

 

「その説明じゃあ、全然分からないわ」

 

「じゃあ、具体的に言うね。他人から判断した私、例えば周りの人は私のことを知的な香りと危険な香りのミックスブレンドと思っている。そして、私自身も自分のことを知的な香りと危険な香りのミックスブレンドと思っている。こういうふうに、評価を一致させることです」

 

「何、そのミックスブレンドって? コーヒーじゃあないんだから」

 

「あくまでも、例えだよ。そして、コーポレート・アイデンティティとかスクール・アイデンティティといった使い方をします」

 

「あそこの学校はスポーツの盛んな学校だと、周りもそう思っているし、その学校の関係者もスポーツの盛んな学校にしたいと考えているっていうことね」

 

「そうそう。じゃあ、日本のアイデンティティは何?」

 

「えっ、いきなり言われても……。日本語、日の丸、おもてなし」

 

「あのね、連想ゲームじゃあないんだから。考えて下さい」

2019年の訪日外国人が3188万人という報道がありました。7年連続の過去最多とのことです。ただ、2020年度の4千万という政府目標には、届かないだろうと言われています。

ただ、最近は人数のことを気にした報道が増えている感じがします。常に、原点に戻って検証する姿勢が求められると思います。そうしないと、とにかく多くの観光客を呼び込んで、経済が活性化すれば中身は何でも良いだろうという話にもなりかねません。最近起きたIR疑惑は、そういった発想の延長線上で起きた事件と考えます。

2006年に「観光立国推進基本法」(以下「基本法」)を制定し、2008年に観光庁を設立して観光立国に舵を切りました。基本法の前文に、趣旨説明がありますが、「観光は、地域経済の活性化、雇用の機会の増大等国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに、健康の増進、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて国民生活の安定向上に貢献するもの」という経済本位のご都合主義的な捉え方をしています。

本来は、日本のアイデンティティである伝統と文化を世界に発信して、その魅力を直接感じてもらうこと、そして現地での触れ合いを通じての国際交流と国際理解がひいては国際平和に貢献するという捉え方をするべきでしょう
地域経済の活性化、雇用の機会の増大といったことは、その結果として期待されることであって、それは先に追求することではありません。そのあたりの目的の書き方に問題があるので、IR誘致ということで動き始める議員が出てしまうのです。観光立国という、せっかくの良いアイデアが、目的と方法を間違えると変な方向に行ってしまうこともあります。

女性
「だから、私にさっき、アイデンティティの質問をしたのね」

 

「それが個性であり、原点なんです。国、会社、学校といった組織、そして人もアイデンティティは何かを常に自問自答する必要があります。それが歩むべき道となるからです。英語が得意と自他共に認める人は、その道に進む。絵が得意ならば、その技術を磨くということです」

 

女性
「ただ、もしかしたら隠れた才能があるので、敢えて逆方向に行くというのもアリなのではないでしょうか?」

 

「そういう生き方も面白いかもしれないけれど、大体ダメになるというのが私の経験からの結論です。例えば、高級家具の販売がその会社のコーポレート・アイデンティティだとします。少し路線変更をして、庶民でも手軽に買える家具の販売に向いた途端に業績の悪化が始まりました。これは、実際の例です。
高級家具の販売という原点だけを守っていれば、安泰だったのに方向を違えたので失敗してしまったのです。そして、国も同じです。外国の人がこれこそ日本そのものと思っている文化を、いろいろな形やアイデアにして発信することだけを考えます。経済が活性化するという理由だけでカジノを誘致する。ただ、日本には、カネは人がよごれた手で触わるので汚いもの、だから追い求めるものではない、といった観念があります」

 

女性
「宵越しのカネを持たない、と言う江戸っ子の生き方が粋(いき)と言われた時代もありましたよね」

 

「よく知っているね。拝金主義は日本文化とは無縁なもの。カジノはマカオに任せれば良い。欲望で目をぎらつかせた外国人が街中に溢れれば、街の雰囲気も変わってしまう。とにかく、シカゴやマカオの猿真似を日本がする必要はありません。今回のIR疑惑事件は、天の声だと思っています。そして、余分なことを考えている暇がないほど、数多くの文化があります。神社仏閣、温泉、日本庭園、歌舞伎や文楽といった芸能、今、初場所が始まっていますが、相撲も日本の文化です」

 

女性
「地方に行くと、その地方にしかない街並みや古い時代の建造物や遺跡があります。そういった掘り起しができると、それも観光資源になりますよね」

 

「外国人観光客の最近の動きとして、敢えて地方に行って、日本の古き良きものに接したいという希望があることも分かってきました」

一つの石碑、一つの古道、一つの屋敷では観光客を呼びにくい。ただ、そういった点を線につなげて、地域の名産品や宿泊場所、商店街と結び付けて一つの面にすれば観光客を呼び寄せる力となります。そのためには、行政か誰かが音戸をとり、事業を立ち上げる感覚で取り組む必要があります

日本の自然そのものが観光資源なので、ウチは観光地ではないと決めつけないで、問題意識をもって地域の方々の協力のもと観光地開発をして欲しいと思います。そうすることが地域の活性化につながり、ひいては人口減を止める力にもなると思います。

読んでいただき有難うございました

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