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サナエノミクスをどう評価するか ―― 国家主導の経済政策と少子化対策の課題 / 「大きな政府」への政策転換

「見た目が人間の「ヒト型ロボット」を中国の企業が発表しました」

女性

「いよいよロボットとの共生の時代に入ったのですね。ちなみに、お値段はいくらですか?」

「いろんなタイプがあるみたいで、全身が動くタイプは約2,400万円だそうです」

女性

「どのような動きが可能なんですか?」

「最上位のロボットは関節が62か所あり、ダンスを踊ったり歩いたりすることができるそうです。しかも、視線が会話する相手を追いかけたり、まばたきをしたりもできるそうです」

女性

「鉄腕アトムの世界が段々近づいていますね」

「そのうちロボットと結婚する人も出てくるかもしれませんね」

女性

「それは確実だと思います。すでにAIと結婚した人がいます。先日、テレビで放送していました」

「女性ですか、男性ですか?」

女性

「女性ですね。年齢紹介はなかったのですが、映像で見た感じでは30の半ば位の方のように見えました」

「ここからが本論です ↓表紙写真は「日経ビジネス」提供です」

 アベノミクスからサナエノミクスへ――国家戦略としての経済政策への転換

中国の人型ロボット(ヒューマノイド)の急速な台頭と、日本の遅れについては、ロボット工学の専門家や経済アナリストの間で複数の要因が指摘されています。日本がこの分野で出遅れている背景として、主に3つの要因が指摘されています。1つは、政府の支援体制の違いです。中国は国家戦略として人型ロボットを「新質生産力(新たな生産力)」と位置づけ、巨額の補助金や特区の設置など、官民一体で猛烈な投資を行っています。2つ目は、日本にはモーター、減速機、センサーなどの主要部品を作る技術はあるものの、それを安価に大量生産し、ロボットとして量産・事業化する体制はありません。そして、最後の3つ目のロボットの「脳」を形成するAI技術ですが、アメリカや中国が世界をリードしており、日本は総合力で後れを取っています。

なぜ、このような「差」が生まれたのかということですが、これについては「失われた30年」時代の経済政策の問題があり、このブログで3回にわたって書いてきた通りです(「なぜ日本経済は力を失ったのか」)。経済を発展させるためには、そのための理論が必要であり、それに則った経済政策を採用することが重要です。アベノミクスは、市場メカニズムを重視しつつ、金融緩和と財政政策によって民間投資を促そうとした経済政策でした。国はあくまでも「黒子役」に徹し、経済環境を整え、後は市場の自由な競争に委ねるというものでした。

国の経済政策は、日本だけを見ていて上手くいくものではありません。商取引は国境を越えて行われますし、日々の為替相場は国の経済政策の影響を受けます。そのため、「唯我独尊」的な経済政策では国際競争に勝てません。少なくとも、最先端を走るアメリカや中国の動向を見ながら決める必要があります。米中が国を挙げて最先端技術の導入と市場開拓を行っているのに、日本は「小さな政府」のまま悠長に過ごしていたのです。そんなこともあり、デフレ脱却や潜在成長率の引き上げという当初の目標を十分には達成できませんでした。

(「Science Portal Asia Pacifics-JST」)

 「大きな政府」への転換と国家強靱化構想

アベノミクスとサナエノミクスの経済政策の違いが分かるように、簡単な表を作りました。

項目 安倍政権の時の経済政策(アベノミクス) 高市政権の経済政策 (サナエノミクス)
政府の役割 小さな政府(経済環境を整え、民間の自由競争を促す) 大きな政府(国が主導して投資枠を作り、産業を牽引)
戦略の手法 「構造改革と規制緩和」 「選択的支援(産業政策)」(17分野62品目を国が指定し、集中的に育てる)
投資の動機 「経済の効率化・成長」(潜在成長率を引き上げ、デフレ脱却を目指す) 「危機管理・安全保障」(半導体やAIなど、国防や産業供給網を守る)

大きな政策転換を行おうとしていることが分かると思います。この転換の背景には、「自由競争に任せていたら、日本が世界に買い負ける」という強い危機感(地政学的・安全保障上の変化)があります。

経済や財政の議論だけで国策を決めるのは極めて危険です。国家全体のグランドデザイン、つまり国家戦略を立てた上での経済政策でなければいけません。本質的な「国家の強さ」は、小手先の予算調達ではなく、「人口(少子化対策)」と「人材(教育)」という国家の土台があって初めて成り立ちます。高市政権が掲げる国家全体のグランドデザインは、経済・防衛・教育を包括した「総合セキュリティ・国家強靱化戦略」という枠組みです。

「強い経済」を支える人材をつくるため、従来の文部科学省主導の一律の教育から、「個人の能力の最大化」と「国富に直結する先端人材の育成」へシフトしようとしています。子どもの教育や習い事に使える国費の「教育バウチャー」を世帯に直接支給する政策の検討が始まっています。世界に通用するAIやロボット、半導体の技術者を育てるため、10兆円規模の「大学ファンド」の支援対象を、文系・理系の一律配分から「世界トップレベルの研究成果を出せる特定大学(国際卓越研究大学など)の理系学部」へ傾斜配分しようとしています。

(「日テレNEWS  NNN」)

 地域共同体の再生なくして少子化は止まらない

少子化対策については、従来の「児童手当を月数千円増やす」といった現金ばら撒き型の対策では効果がないという反省から、サナエノミクスでは「若者が結婚し、子どもを育てたいと思える環境の構造改革」を掲げています。

①「教育・医療・保育」の完全無償化(現物給付):現金ではなく、第2子以降の保育料、高校・大学の授業料、子どもの医療費を国費で直接「無料」にする現物給付化を進め、子育て世帯の将来の金銭的不安(教育費の壁)を直接取り除く方針です。②「新婚リノベ住宅」の大量供給:若者が結婚に踏み切れない最大の理由である「住居コスト」に切り込み、全国の空き家や公営住宅を国・自治体がリノベーションし、新婚・子育て世帯に超低額で賃貸・譲渡する国家プロジェクトとして進めることが提案されています。③「減税」による負担軽減:高市首相が強く主張する「食料品の消費税減税(年5兆円規模)」は、子育て世代の生活コストを直接下げるための少子化・物価高対策の目玉として議論されています。

ただ、これらは従来の少子化対策の発想から抜け切れていません経済政策は国主導で行うことが重要ですが、少子化対策は地方が主体的に動けるような財政環境を国がつくることが大事です。①から③の政策は、効果がないとは言いませんが、根本的な解決には至らないでしょう。少子化を人間の身体に例えて説明すると、単なる病気ではなく、細胞レベルの異変が起き始め、それが転移しようとしています。従来の対症療法的な対策ではなく、細胞そのものの活性化、つまり地域を共同体として再生する事業が必要なのです。そして、サナエノミクスに対する評価ですが、経済政策については高く評価できます。しかし、少子化対策については、なお抜本的な見直しが必要だと考えます。

(「幻冬舎」)

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