「食料品や調味料が値上げされるということで、困ったなと思っています」
「そう言えば、今朝のニュースで言ってましたね。企業努力の限界だと」
「値上げ止む無しということですね」
「今年は多分、食料不足という問題が世界的に起きるのではないかと思います」
「えっ、本当ですか? 気候変動が原因ですか?」
「それもありますし、中国が食料の備蓄を進めています」
「理由は何ですか? というか、あの国はそういうことをきちんと説明しませんよね」
「確たる理由は分かっていませんが、備蓄局は小麦を1.5年分備蓄したことを発表していますし、市民に対して各家庭で生活必需品を備蓄するよう『緊急通達』を新年早々に出したそうです。表向きの理由は、新型コロナに対する備えということらしいです」
「新型コロナへの対策は万全だと、つい最近まで言っていましたよね」
「だから、本当の理由ではないと思います。食料不足から不満が拡大して政権が倒れることが多いので、予防的に備蓄を増やしているのかもしれません。ただ、日本も各家庭で備蓄を考えた方が良いかもしれませんね。地震も頻繁に起きていますからね。ここのところ。今日も小笠原諸島で地震がありましたからね」
「万が一に備えろということですね。ただ、食料品関係の値上がりは、どうしょうもないですよね」
「私の予感だと、インフレが普通に起きると思います。アメリカも日本も市場にカネをばら撒いています。それに比例して財が増えれば良いのですが、そういう状況になっていません」
「アンバランスから通貨膨張(インフレ)が起きると学校で習いました」
「そして、為政者は適度のインフレを歓迎するところがありますからね。デフレよりましだということで」
「今年は、食料危機、インフレといったことに注意をするということでしょうか」
「社会の動向に合わせて、会社は戦略を考えるように、個人も生活防衛、さらには自分の人生設計を考えるということでしょう。読者の方が社会の波に上手く乗れるようなことを今年1年また書いていきたいと思っています」
「サーフィンのイメージですね。波が高い時こそ、様々な知識が必要だと思います。ここからが本論です」
食料大量輸入国の日本
食料安保という言葉があるように、為政者は食料の安定的確保に気を配る必要があります。食料が不足し、それが値上がりをし始めると、国民は政治に対して不満を抱き始めます。世界の歴史を見ると、天変地異があり、食料が不足し、人心が乱れ、暴動が組織的な動きとなって時の政権が倒されるということを繰り返してきました。ヨーロッパの革命や中国の動乱はこのパターンです。天変地異が一つの合図になってきました。だから、現在起きている世界的な気候変動は、世界的な動乱の前触れになる可能性もあるのです。
日本は食料は大丈夫とタカを括っていると、大変なことになるかもしれません。もう少し警戒をする必要があるのです。
データを紹介します。主要な食品の自給率(2017年度)を見てみると、米(主食用)100%、いも・野菜・きのこ類も高いのですが、それ以外は低く、総合食料自給率は38%です。飼料用を含む穀物全体の自給率が低いのも気になります。畜産物(肉・卵・乳製品)に影響を与えるからです。先日のニュースで、コンテナ船の停滞によって牧草が海外から入らなくて困っている酪農家の状況を放映していましたが、牧草の殆どを輸入に頼っているとのことです。
豚肉49%、鶏肉64%、鶏卵96%、牛乳・乳製品60%ですが、同様に外国産飼料で育てられたものを除外すると、それぞれ6%、8%、12%、26%と著しく低下します。有事の場合は、肉製品や乳製品が完全に不足するということが分かります。
(「スポーツから経済社会」)
林業が農業、漁業の盛衰のカギを握る
かつての時代の天変地異は一時的なものでしたが、現代の気候変動は恒常的なものです。そのために国際的に対策を取ろうとしていますが、これだけに期待をかける訳にはいきません。国として地域の林業・農業・漁業をいかに守り育てるのかという長期戦略を立てるべきですが、どの分野も人材が不足がちで多くの不安要素があります。ここでは、マスコミが余り取り上げない林業について見ていくことにします。
林業は非常に地味ですが、農業、漁業にとっても極めて重要な業種になります。森や林が生命の源だからです。手入れの行き届いた山から流れる川の水が多くの栄養素を運ぶため、周辺の農地は実りある作物を手に入れることができますし、沿岸にプランクトンが多く発生しそれを目当てに多くの魚が集まるからです。ハゲ山になった瞬間に、農業、漁業が壊滅的な打撃を受けます。まさに、北朝鮮がそうです。あの国は、山の木を全部切ってしまって段々畑にしてしまったのですが、案の定、農林水産業すべてがダメになりました。
伐採と植林、間伐などの手入れを一つのサイクルとして行って、山としての命を保つ必要があります。地味ですが、機械に代替できない仕事ですので、どうしても専門的な人材を確保する必要があります。
(「山長商店」)
食料自給率を高めるための努力を始める時代
全国の林業人材の育成状況を調べてみました。林業人材育成のため、特に平成に入ってから多くの林業大学校と呼ばれる機関が設置され、林業人材育成の大きな柱となっています。現在、林業大学校の数は全国で 18 校です。 18 校の合計定員は320人です。ただ、これでは人材不足です。特に、これからCO2の問題もあり、木造建築や木造高層マンションの需要が増えると思います。完全に人数的に間に合っていません。
原因は2つあります。1つは、林業の労働生産性が低いということです。それが低いため、就業希望者が多く集まらないということです。その辺りについては、これも新しい試みということで放送で紹介していたのですが、ドローンやパソコンを使って森林管理をするという動きを導入しているようです。
2つ目は、そもそも希望者の問題です。林業は長く携わってもらう必要があるというか、長く携わらないとよく分からない業種です。その点が、他の産業分野と違うところです。本当に緑を愛し、森林を育てることを生きがいと感じてくれる人をいかに多く育てるか、これはもう教育の力しかないと思います。
中央集権的に全国一律ではなく、林業が必要な山間地域の学校においては、そういった後継者を育てることを意識したカリキュラムを組む裁量を現場に認める必要があります。英語の1、2時間を削って、山に入って実体験を重ねる、それを時には授業として認定していくということも必要でしょう。
今でこそ「ハイテク・データ」国家を目指すような流れになっていますが、日本の風土は農林水産業に適していますし、もともとは完全食料自給国家だったのです。そこに戻れとは言いませんが、自給率を高めるための努力を始める時代です。
(「みやざき林業大学校」)
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